もう、いいのです。

千 遊雲

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もう、いいのです

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昔、魔王を倒した国があった。

女神の加護を得た勇者が生まれた国だった。

けれど、女神に愛されていた勇者が死んでから、その国は緩やかに衰退へと向かっていった。

強力な力を宿していた勇者が亡くなったから?

女神の愛し子である勇者を死なせたから?

理由は明らかになっていないが、一説には最後の国王が王子だった頃に婚約者だった少女を酷い振り方をして、国民の心も女神の心も離れてしまったからなんてものもある。

その国の王は最後まで結婚をせず、けれど薬指に青い宝石の飾られた指輪をつけながら、国の滅びを一人で見届けたとか。

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