異世界で俺はチーター

田中 歩

文字の大きさ
上 下
71 / 124

{第六十九話} はいよ~

しおりを挟む
飯とは言ったものの、何処で食べよう?
「ご飯はどうする?」
取り合えずおじさんにオススメのレストラン的な場所を聞こうかな。
「ご飯なら、ここの食堂で食べれば?安いし旨い!」
郵便局に食堂何てあったのか、それならそこで決まりだな。
「姫様もここの食堂でいい?」
「はい」
「案内しよう」
おじさんの後をまるでRPGの様に一列に並んで食堂へ。
ザッザッザッ
3階に上がり、食堂に入ると昼時という事もあってか、賑わっていた。
そこに居るここの社員はおじさんを見ると皆挨拶をしている。
おじさんへの挨拶への仕方等を見るにやはり、おじさんは部下に慕われているようだ。
そこへ、ネイがやってきた。
「京一、調べ終わったわよ?」
「分かった、飯にしよう」
「はいはい」
おじさんが向かった先には料理を受け取る場所とは違う方向に歩いていったので付いて行くと、どうやらここの食堂は食券式らしく、食券機が置かれ社員は当たり前の様に列を作り買って行く。
「オレ達も食券買うか」
オレ達も食券を買う列に並んだが、前に並んだ社員がおじさんを見るや否や前に譲ってくれるがおじさんは断た。
「飯を食う時くらいは上下関係はいらないだろ?別に急いでるわけじゃ無いからなw」
だってよ、おじさんらしいな。
しばらく並んでいるとオレ達の番が回って来た。
さっきまで後ろに並んでいたせいでよく見えていなかったが食券機に書かれているメニューは「カレー」や「ラーメン」「牛丼」と言った現世で良く見る普通のメニューばかりだ。
周りを見渡すと社員達もカレーやラーメンを食べていた。
「どうしようかな~...ロースカツ定食に決めた!」
食券機に10000ギル硬貨を入れ、お釣りと食券を取った。
異世界の硬貨が普通に入り、お釣りも「ギル」が普通に落ちてくる。
「俺は「いつもの」って決まってるんだよな~」
おじさんは1000ギルを入れ、何も書かれていないボタンを押すと食券が出てきた。
お釣りが出てこないところを見ると。どうやら1000ギルピッタリらしい。
ネラとネイは蕎麦を買っていた。
ネラは冷たい蕎麦でネイは暖かい蕎麦で少し違うが。
さてさて、姫様は何を選ぶのかな?
「???」
あれ?頭の上で「?」が飛び交ってるぞ?まさか、文字が読めないなんて事は無いよな、日本語ならまだしも、異世界の言語で書かれているぞ?
「姫様?どうした?」
「書かれている物が良く分からなくて、例えばこの「ラーメン」って何ですか?」
あーそーゆーことね完全に理解したわ。
現世の食べ物が異世界に無いのか、それか存在はしても名称が違うのかも知れない。
なら一つ一つ料理の特徴を説明していくしかないな。
「それはだな、中華麺と呼ばれる麺とスープを主にし、様々な具例えば「チャーシュー」や「メンマ」「味付け玉子」等を組み合わせた麺料理だ」
スマホを取り出し、Wikiで調べて読んだだけなんて言えない。
後ろでおじさんがニヤニヤしているが、そんな事はしらん!
「じゃあ、それにします!」
「了解、オレがお金を入れるから「ラーメン」って書かれたボタンを押してくれ」
オレ達は食券を受付のおばちゃんに渡すと、番号が書かれた料理が出来たときにブザーが鳴って教えてくれるヤツを貰った。
しかた無いだろ、名称を知らないんだから。
「出来たらコレで呼ぶからね~」
「わかりました」
端の方に皆ですわり、雑談をして料理を待っているとブザーが鳴った。
「オレが取りに行ってくるわ」
「わるいな」
「ありがとうございます」
「良いってことよ!」
おばちゃんのもとへ行くと蕎麦を二つ渡された。
もちろん、ネラとネイの物だ。
「まずは先に出来た蕎麦からね~残りも出来次第呼ぶからソレはもってってよ」
「はい」
オレは両手に蕎麦の乗ったお盆を持ち、皆のもとへ。
「持ってきたぞ~」
「ありがとうございます」「ありがと~」
「来た順に食べていいよ」
「分かりました、先にいただきます」「いだきま~す!」
蕎麦を運び終わり、席に着こうとした瞬間にまたブザーが鳴った。
「また行ってきま~す」
おばちゃんの所に行くと今度はラーメンが置いてあった。
「おばちゃん、ラーメンもってくよ~」
「はいよ~また呼ぶからね~、蓮華と箸はそこのを持ってって~」
「はいよ~」
ヤバイおばちゃんの「はいよ~」にはまってしまったw
「はいよ~」
姫様の前にラーメンを置いた。
「これが、ラーメン...」
「そう!これが、ラーメン!ちなみにですけど、箸の使い方分かります?」
蓮華と一緒にお盆の置かれた割り箸を指差した。
異世界に箸が存在するのか?ここの食堂って時点で、おじさんの手が回ってるからな。
この食堂に箸が置いてあってもなんら不思議じゃない。
よって、ここの社員が箸の使い方に慣れてるのは当然で、周りの社員は何食わぬ顔で箸を使っている。
姫様はそうは行かないだろう、使い方を知っているのか?
「はい、お父様から教わりました」
「あの国王ならありうるな...」
完全に盲点だったわ...
王に教わったと言うだけあって、持ち方や使い方はまるでお手本の様でオレの方がヘタクソな気がする位だ。
姫様の箸の使い方に関心していると、ブザーが鳴り出した。
「行って来ま~す!」
おばちゃんのもとへ料理を取りに行くと、そこには海鮮丼が置いてあった。
どうやらおじさんが頼んだのはコレらしい。
「醤油も持ってって~」
「はいよ~」
お盆の上に醤油刺しを乗せ、おじさんのもとへ持っていく。
「はいよ~」
「お~これこれ!やっぱ朝上げたばかりの魚は新鮮さが違いますわ~」
「帝国って海に面してたっけ?」
「お隣のノタセアから毎朝取れたてを使って十食限定で仕入れてるんだ。ノタセアは海に面してるし島もいくつもあるからな」
「だからとはいえ、お隣の国からどうやって朝一でここまで?」
「おいおいwここは郵便局だぜ?wしかも、俺が管理しているからには一日で目的地に届ける事など造作でもない」
「お、おう」
これで、オレ以外全員の料理は持って来たって事はオレのロースカツ定食は最後って事?
いつもそうなんだよな~現世でもレストランとかでオレが頼んだ料理が一番届くのが遅い。
まぁロースカツだし、一々揚げていると思えば遅いのも仕方が無いか。
ため息と付くと、ブザーが鳴った。
いっぺんに呼んでくれ!w
「これで最後だね、何度も悪いね」
「いえいえ」
番号札を引き換えにロースカツ定食を受け取り皆のもとへ向かうと、一番最初に出来上がったネラとネイはもう食べ終わり、食器を返しに行く所だった。
そんな2人とすれ違い席に座った。
ちなみに姫様は、ずっとラーメンに息を吹きかけ冷ましているせいで時間が掛かっている。
どうやら、姫様は猫舌らしい。
「いただきま~す!」
さて、オレも食べるか。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転移で無双したいっ!

朝食ダンゴ
ファンタジー
交通事故で命を落とした高校生・伊勢海人は、気が付くと一面が灰色の世界に立っていた。 目の前には絶世の美少女の女神。 異世界転生のテンプレ展開を喜ぶカイトであったが、転生時の特典・チートについて尋ねるカイトに対して、女神は「そんなものはない」と冷たく言い放つのだった。 気が付くと、人間と兵士と魔獣が入り乱れ、矢と魔法が飛び交う戦場のど真ん中にいた。 呆然と立ち尽くすカイトだったが、ひどい息苦しさを覚えてその場に倒れこんでしまう。 チート能力が無いのみならず、異世界の魔力の根源である「マナ」への耐性が全く持たないことから、空気すらカイトにとっては猛毒だったのだ。 かろうじて人間軍に助けられ、「マナ」を中和してくれる「耐魔のタリスマン」を渡されるカイトであったが、その素性の怪しさから投獄されてしまう。 当初は楽観的なカイトであったが、現実を知るにつれて徐々に絶望に染まっていくのだった。 果たしてカイトはこの世界を生き延び、そして何かを成し遂げることができるのだろうか。 異世界チート無双へのアンチテーゼ。 異世界に甘えるな。 自己を変革せよ。 チートなし。テンプレなし。 異世界転移の常識を覆す問題作。 ――この世界で生きる意味を、手に入れることができるか。 ※この作品は「ノベルアップ+」で先行配信しています。 ※あらすじは「かぴばーれ!」さまのレビューから拝借いたしました。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

チルドレン

サマエル
ファンタジー
神聖バイエルン帝国ではモンスターの被害が絶えない。 モンスターたちは人を攻撃し、特に女性をさらう。 そんな義憤に駆られた少女が一人。彼女の那覇アイリス。正義感に厚い彼女は、モンスターを憎んで、正義と平和を果たすために、剣を取る。 アイリスが活躍したり、しなかったりする冒険活劇をご覧あれ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ひだまりを求めて

空野セピ
ファンタジー
惑星「フォルン」 星の誕生と共に精霊が宿り、精霊が世界を創り上げたと言い伝えられている。 精霊達は、世界中の万物に宿り、人間を見守っていると言われている。 しかし、その人間達が長年争い、精霊達は傷付いていき、世界は天変地異と異常気象に包まれていく──。 平凡で長閑な村でいつも通りの生活をするマッドとティミー。 ある日、謎の男「レン」により村が襲撃され、村は甚大な被害が出てしまう。 その男は、ティミーの持つ「あるもの」を狙っていた。 このままだと再びレンが村を襲ってくると考えたマッドとティミーは、レンを追う為に旅に出る決意をする。 世界が天変地異によって、崩壊していく事を知らずに───。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜

月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。 蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。 呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。 泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。 ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。 おっさん若返り異世界ファンタジーです。

処理中です...