異世界で俺はチーター

田中 歩

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{第六十二話} 超ハンデマッチ

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「そんな睡眠学習?を繰り替える一週間が過ぎ...
あらかたの修行も終わった。
一週間の修行?
「あんなもの修行のうちに入らないわ!」と本当に毎日修行している方に怒られそうな内容だが、異世界チート主人公なので「こんな物か...」と、鼻で笑って流してくれるとうれしいです」

「おじさん?誰れにしゃべってんの?」
おじさんは誰もいない方向に一人で誰かに話かけるように喋っていた。
きっと、オレには見えないおじさんの友達がそこにいるんだろう。

「さて、修行の結果を見る為に俺と勝負だ!」
おじさんが指をパチンと鳴らすと「ゴゴゴゴ...」と地面が揺れだした。

「おじさん、地面が揺れてるんだが?地震か?」
結構ゆれている。
これは、鍛えられたバランス感覚のおかげで何とか立っていられる位だ。

「結構揺れるな...震度6強位か?」
なんて冷静なんだろう。

あれ?おかしいぞ?なんかエレベーターに乗っている感じがする。
下を見ると、地面が丸くくり貫かれていた。
どうやらオレは丸くくり貫かれた天空高く上昇している平原だった場所に立っているらしい。

もう、ヤバい。
結構の高さまで来たぞ?東京にあるタワーに床がガラス張りで「下が見えるよ」見たいなのが今、ここで体験できる。
多分同じ位の高さだ。
あと少しでツリーの高さまで行きそうだ。

「これ、どこまでいくんだ?」
なんか、高所恐怖症に目覚めそうだ。

「もっと行っとく?」
なにその、飲み会で「二件目行っとく?」見たいなノリは?
まぁ、オレは未成年だからよく知らんけど。

「いや、もういいです」

「おいおいw若いんだから、もうちょっといけるだろ?w」
「若い」関係無いだろw
しかも、お酒が飲めない新入社員(オレ)に、お酒をすすめる上司(おじさん)見たいになってるじゃん。
まぁ、オレは未成年だからよく知らんけど。
それに学生だし。
あれですね、俗に言う「アルハラ」ってヤツですね。わかります。
まぁ、オレは学生だし、未成年だからよく知らんけど。

「もう十分な高さだろ?」
もう、ツリー。

「まあ、ここまで来ればもう十分でしょう」
ここでおじさんと戦うの?マジで?
落っこったら死ぬぞ?間違いなく死ぬぞ?死んじゃうぞ?
「見て~ママ~おせんべいになちゃった~アッハハハ!」じゃ、済まされない高さだぞこれ...

「あの~落っこちたら100%死ぬんだが?」

「大丈夫です、その時は私が助けます」
ネラがいるなら安心。

「あの~...俺は?」

「京一様は自分で何とかできるでしょう」
「自分で何とかしてください」

「厳しいな...」
ん?おじさんが作ったんだよな?
おじさん、悲しそうな顔してるぞ?

「はいはい、ネラは審判兼昌の救護をよろしく」
完全にふてくされてるなw

「わかりました」
ネラは相変わらず、無表情でそっけないと言うか無関心と言うか...

「じゃあ、俺は武器は使わず素手のみで行くが、お前は剣なり銃なり好きに使うと良い」
「そして、勝利条件は俺にダメージを与えれば良い」
「または、俺を場外から戻れなくする」
え?それでいいの?勝ったわ。

「おk」

「では、行くぞ!」

GOSでおじさんに切りかかるが、余裕でかわされる。
「完全に見切った!」と言った感じか。

「おいおい、その程度か?wお?w」

「うっせ!w」

おじさんは距離を取ると空中を蹴って移動し始めた。
右へ左、上や下、オレを中心に一定距離を保って縦横無尽に飛び回る。
GOSで空中に板を出して、それを床にして飛んでいる。
その板が出現するのは一時的な物で、出して飛んで飛んだら消える。
しかも、見ている感じ同じところには二度と出していない。
GOSの板を頼りにおじさんが何処へ移動するか予測できると思ったが、甘かったらしい。
剣は間合い的にあたらないし、銃を撃っても簡単にかわされてかすりすらしない。
クリエイトでショットガンを出してみたが、間合いが遠くなっだけで状況は変わらない。
しかも、急に間合いを詰めて来て煽ってくる。

「当たれなければどうということはない!」
だとよ、実にウザい。

武器縛りしたせいでおじさんは身軽で動きが早い。
どんどん早くなるせいで、動きが見えなくなってきた。
こういった場合は、相手よりも早い速度で移動すれば良いのだろうが、オレにそんな事は出来ない。
さて、どうしよう...?
お!一ついい事思いついたぞ!

「おいおい、どうした?w」
また、間合いを詰めて来て煽って来た。
この時を待っていた!
GOSを使い、オレを中心に3mくらいで壁を出し半円形状で囲った。
この距離なら剣の間合いの内だ「当たる!」と思ったが、かわされたし壁をワンパンで簡単に破壊された。

「びっくりしたw良い考えだが、間合いを詰めるのはリスクもある」
「俺がその気になれば、さっきの一瞬で余裕殺れた」
あれ?おかしいな、今の「やれる」は「殺れる」聞こえたぞ?漢字おかしくね?

「だたよけてるのも飽きてきたし、そろそろこっちからもいきますか!」
え?マジやばくね?
次の瞬間、おじさんが突っ込んできた。
おじさんの攻撃一つ一つが早く、重く、痛い。
かわしたり、受け流したりするのでいっぱいいっぱいだ。
受け流したり、ガードしたりしている腕をGOSで覆ってるおかげで腕に目立った外傷はできていない。

「GOSで腕を覆うとは考えたなwこっちは拳が痛いぜw」
「俺も使えばいいのだろうが、使っちゃたら武器になっちゃうからな」
「盾とかも出せない、結構ハンデがデカかったかな?」
いや、まったく?そんな事は無いが?
どんなにかわそうが、どんなに受け流そうが、じりじりと押されていく。
気づけば、踵が丸いフィールドの淵から飛び出した。
一瞬つま先立ちになったが、GOSで床を延長したおかげで何とかなった。

「床の延長はズルくね?w」
「ジャッチー!意義あり!」
おじさんは、審判のネラへ意義を申し立てた。

「意義を却下します」
「床の延長は合計1㎡までなら許可します」
「ちなみに京一様は合計0.01㎡までなら許可します」
「あくまでこれは、床を延長できる面積であって、空中に床を出す事には関係ありません」
おじさんのハンデがさらに増えたなw

「マジか~0.01か~異論は?」

「認めません」
おじさんの異論は却下された。
なんか、おじさんが可愛そうに思えてきたぞ?
そして、ネラのおじさんへの容赦の無さと来たら...
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