異世界で俺はチーター

田中 歩

文字の大きさ
上 下
61 / 124

{第五十九話} まぁ、食べましょ?

しおりを挟む
貴族達がいなくなった会場には、オレ達と数人の使用人しかいない。
あとは、ほとんど手がつけられていない貴族達に振舞われた食事だが、使用人が片付けようとしている。
これはもったいない!

「オレ、アレ食っていい?」
「夜ご飯食べてないんだよね」
ビュッフェ形式に並んだ料理を前にフォークを持って自分の皿に盛ろうとしている今のオレを止められる者はいない。

「そうだな、このまま捨てるくらいならみんなで食べてしまおう」
「私もちょうどお腹がすいていたんだ!」
王のその一言で、みなフォークと皿を持った。
そこへ団長が戻ってきた。

「これは、どう言う...?!」
皿とフォークを持ったオレ達を見て驚いている。

「この料理を捨てるのはもったいないから、みんなで食べようって話ですw」
「まぁ、食べましょ?」
オレは団長に皿とフォークを渡した。

「...では、私もいただこう!」
団長は受け取った皿をしばらく無言で見つめていたが、しばらくするとフォークを片手にすごい勢いで食べ始めた。
食べ始めた団長を見てオレ達も食べ始めた。

「やっぱり、箸がいいな...」
だって、オレは日本人ですから!
とりまのクリエイトで箸を生成。

壁際に並んで立っているメイド達の一人から視線を感じたのでそっちを見ると...

なんと わかいしようにんが かべぎわで
りょうりを たべたそうに  こちらをみている!
さらとフォークを わたしますか?

→はい

 いいえ

こんなメッセージウィンドウが見えたような気がしたので、彼女のもとに駆け寄り皿をフォークを渡した。

「君達も一緒に食べないか?オレ達だけじゃあこの量はとてもじゃないけど食べきれないしw」

「し、しかし...」
さすがにメイドが王達と一緒に食事をすることはまずいらしく、ほかのメイドたちも皿を受け取るのを渋っていた。
そこへ、メイド達の人数分の皿とフォークをもった王が登場。

「さあ、君達も食べたまえ」
王も皿をメイド達に差し出すが、受け取ろうとしないので仕方なく。

「ちなみに、これは国王命令だが?」
そう言い、王が笑うと、メイド達はうれしそうに皿を受け取った。

やはり、大人数で食べたほうがおいしいですな~と思いながら肉をもぐついているとオレに王が駆け寄ってきた。

「君はやさしいんだな...」

「まぁ、彼女達が食べてそうにしていたからなw」

「まぁ、それもあるが...」

「?」
頭の上で「?」が踊っているオレを見て笑いケーキのほうに行ってしまった。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

「は~もうお腹いっぱいだ」
盛られた料理は無くなり、みなのお腹の中に入った。
メイド達は食べ終わったばかりなのに、もう片付けはじめている。
仕事が早いな。
ちなみにネラは無言で誰よりもたくさん食べていた。

「おじさん、この後の予定は?」
「無いならオレは宿をとりにいくが?」
また、アレを宿の受付でやるか?w

「ここに泊まれば?」
「ハネット、部屋空いてるよな?」

「ああ、もちろん」
メイドの一人が王にカギを渡した。

「これが、部屋のカギだ、好きに使ってもらってかまわない」
「王都にいる間はここに泊まるといい」
カギが豪華な時点で、部屋はもっとすごいのだろう。

「宿探しの手間が省けたな」
現世でも家からあまり出ないオレが異世界で宿探しとか、どんな拷問だよwと思っていた所だ。

「昌、これをやろう」
なにやら紋章が彫られたラペルピンをおじさんに渡された

「なにこれ?」
左胸の襟にとりあえずつけたがなにこれ?

「俺の貴族の紋章だ。これを見せればお前は宮殿とかの門番は素通りできる」

「貴族になちゃったw」
異世界にきたら貴族と仲良くなって王との中を...と考えていたら、おじさんのおかげで目標達成!
スムーズに行き過ぎて怖いな...

「ちなみに、お前がこの紋章つけてなんかやらかすと、俺の評判にかかわるからな?」

「だからおじさんは襟につけてないんだなw」
おじさんの襟ラペルピンはついていなかった。

「いや、普通に付け忘れただけだ」
今更焦ってつけてる。
遅いw

「ちなみに明日の予定は?」
やることが無ければ王都を観光でもしようかな...

「特訓だ!」

「は?」

「お前にいろいろとチート能力を与えたけど、やっぱりどんなチートも使えなきゃ意味無いよな」

「お、おう。今更かよw」
前々から薄々感ずいていた。

「と、いう事で明日は特訓するぞ!」

「期間は?」

「一週間!」

「は?」

「明日は朝早いから早く寝なさい!」

「オカンかw」
「わかったよ、でもオレ部屋の場所がわからん...」
カギだけ渡されてもな...

「私がお部屋までご案内します」
あ、さっきのメッセージウィンドウの人だ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

彼女の後に続き会場を出て部屋にオレとネラは向かう。

「先ほどはありがとうございました」

「いえいえw」

「私、そんなに食べたそうにしていましたか?」
あ、これは...考えて答えないといけないやつだ。

「いや、そんな事は無いけど」
「さすがにあの量の料理をオレ達だけて食べきるのは無理だなと思っていた時に、たまたま目に入っただけだ」
「まぁ、食べたそうにまったく見えなかったと言えば嘘になるけどなw」

「そうだったんですねw私を含めてほかの子たちも喜んでいましたよ」
「あんな豪華な食事はめったに食べられないですからね」
あれの食事はこの世界では豪華な食事になるのか。
現世では普通に少し高めなビュッフェレストランにいけば食べられる味だった。
どれだけ現世が恵まれてるかわかるな。

「それはよかった」
本当によかったよ...色々と。

「こちらがそのカギの部屋になります」
「ベッドも2つご用意しております」
「では、私はこれで」
ニコりと笑い名前も知らないメイドは去っていた。

「ここか...」
もう扉から豪華だもん!

扉を開けたその先は完全に、五つ星ホテルの高級スイートだった。
行った事無いけど。

ベッドもフカフカでこれは、人をダメにするベッドだ。
スーツを脱いで下着姿になってベッドにダイブ!

「スヤァ...」
今日一日は色々あったせいかオレはベッドにダイブするなり、すぐに寝てしまった。

ネラは脱ぎ捨てられたスーツを拾い、昌を見つめた。
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

深夜...

「マスター...ぐっすり眠っていますね」
「でも、あなたは起きていますよね?」
ネラは疲れて深い眠りについている昌に話しかけるが、ぐっすり眠っているのでまったく起きる様子は無い。

「いつから気づいていた?」
目は瞑っているし、起きた様子もない。
しかし、口だけは動きしゃべった。

「最初からです」
「確信したのはあの森での一件ですが」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

主人公を助ける実力者を目指して、

漆黒 光(ダークネス ライト)
ファンタジー
主人公でもなく、ラスボスでもなく、影に潜み実力を見せつけるものでもない、表に出でて、主人公を助ける実力者を目指すものの物語の異世界転生です。舞台は中世の世界観で主人公がブランド王国の第三王子に転生する、転生した世界では魔力があり理不尽で殺されることがなくなる、自分自身の考えで自分自身のエゴで正義を語る、僕は主人公を助ける実力者を目指してーー!

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...