異世界で俺はチーター

田中 歩

文字の大きさ
上 下
39 / 124

{第三十七話} オレの過去

しおりを挟む
こんなにも本気でダッシュしたのはいつぶりだろうか?
通学は基本チャリだし、体育にに走る事は無い...もし、走れと先生に言われても「だが断る!」と決め顔で言っただろう。
なにせ、中学の体育でグラウンドを10周走るとか言う授業があったが最初の「よーい、ドン!」から歩いた。
そんな事をしていたオレが自分から走ろうと思ったのは姫様と王妃のおかげだろう。
そんな事を考えながらオレは庭園の方に走る。

「ネラ、状況は?」
ネラは姫様と王妃を守りながら、警戒態勢に入っている。

「今のところは、何も起きていないですが...こちらに近づいて来ています」
姫様達を透明な板で囲う。

「ショウさん、コレは?」
少し驚いた様子で聞いてきた。

「この中に入れば、攻撃を受けないでしょう」

「そうですか、突然現れて驚きました」
そりゃあそうだ、こんな得体の知れないものに突然囲まれたら誰でも驚くだろう。

「ネラ、メイドを二人に」

「はい」
一応念のため、姫様達のところに居てもらって、オレとネラは森へと向かう。

「どうする?なにか良い作戦ある?」
森の近くの影に隠れ作戦?を練る。

「私が後ろに回って敵を倒していきますので、マスターはここで逃げて来た敵を倒してください」

「分かった、頼んだぞ」

「はい」
ネラが走っていってしまった。

オレの「色々聞きたいから何人か殺さないでね」は聞こえていただろうか?
きっと、聞こえていただろう。
きっと...


しばらくここで待っているが、誰一人森から出で来なかった。
変わりに森から敵だと思われる敵の悲鳴が聞こえてくる...
そんな悲鳴が数分続いていたが突然静かになったと思うと男が一人こちらに走ってきた。

「うわー!やめてくれ!」
敵に、しかも結構おじさんだ。
そんな人にこんな事を言わせるなんて森の中で何が起こっているのだろうか...
そんな彼はオレを見てさらに叫んだ。

「やめてくれ、殺さないでくれ!」
森の中で襲ってきた女と同じ格好をした男が目の前に出てくるとかドッキリにもほどがあるだろうw
敵ながら同情するよ...w

「どうも、出来れば暴れないでほしいのですが...」
その言葉を聴いて男は簡単に降参した。
本当に彼は森の中で何を見たのか。
その後すぐに、ネラがこちらに歩いてきた。
ものすごい殺気を放ちオーラが見えるくらいだった。
ネラ、怖い!絶対怒らせちゃいけない人間だよ!
ネラの強はオレの半分?ありえないだろ?w

「一人こちらに来ませんでしたか?」
普通に聞いてきたのだろうが、怖い!とにかく怖い!

「ここに居るよ」
オレは縄で縛った男の方を指差した。
ブルブル震えている、相当怖いのだろう。

「お手を煩わせてすいません」

「大丈夫だ、問題無い」
オレにも分かるぐらいの殺気を放っていた。
ネラ、恐い!

「では、お聞きします。あなたは誰に頼まれてこんな事を?」

「お、オレは悪くないんだ...」

「そんな事は聞いてません、誰に頼まれたのか聞いているんです」
その様子は一方的過ぎて男に同情したくなってきた。

「街の酒場で飲んでいるときに「ゼム」とか言う男にたのまれたんだ」

「酒場の名前は?

「な、名前は「カナレット」だ」

「そうですか、分かりました」

「だから、頼む殺さないでくれ!」

「どうしますか、マスター?」

「どうやら「ゼム」とか言う男に雇われたただけみたいだから騎士団長にでも身柄を渡せばいいだろ」

「分かりました」
話をしているとネラが急に黙った。

「敵がまたこちらに近づいています」

「なんだと?!」

「コレはどういうことですか?」
ネラはそう言い男をに睨む。
睨みすぎて男を睨み殺しそうなくらいだ。

「し、知らない!」
どうやら本当に知らないようだ。

「きっと「ゼム」とか言うやつがこいつらのほかにも雇ったんだろう」

「そのようですね」
ネラが銃を構える。
どうやらネラの武器は銃らしい。
見た感じ「M92F」だろう、しかもサイレンサーとフラッシュライトが着いている。

「今度はオレが行く!」
オレは銃を構える。
オレのは特に何もアタッチメントは無いが、とても使い古された感があるくらいだ。

「分かりました」
走って森の中に入って行くと額を打ち抜かれた男が木にもたれ掛かっていた。

「こ、コレは...」
良く見るといたるところに撃ち殺された男達の死体あった。

「おぇ、吐きそう...」
すべてヘットショット一発で殺されているためグロさはあまり無い。
しばらく森の中を進むと男達の集団を見つけた。
モブの中に一人いような殺気を放つ男が大声を上げた。

「おい!そこに居るヤツ!隠れてないで出て来い!」
やはりそこらへんのザコとは違うようだ。

「ど、どうも~...」
木の陰から出てくうオレを見た男が隣に居た部下らしき男を殴り飛ばした。
殴り飛ばされた男は木に強くぶつかり地面に倒れた。

「お前が情報を漏らしたのか!」
地面に倒れた男をさらに殴ったりけったりしていた。
やられている男は傷だらけだった。
そんな男を見てオレの中の記憶の奥底にカギを掛け仕舞い込まれた暗い記憶が顔を見せる。
やはり、忘れたと思っていた事でも何かのきっかけで思い出してしまうらしい...

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

中学時代のオレはいじめを受けていた。
殴られてけられるのは当たり前でそれだけですめばましな方だった。

「おい!昌!今日も来たのか?いつも悪いなw」

「お、おはよう...政宗くん...」
声を振り絞って挨拶をした

「持ってきたよな?」

「あ、あぁ...もちろんだよ...」
お金を取る事もたびたびあった。
昼休みになると「プロレスごっこ」と言う名の暴力が始まる。

「行くぞー!」
政宗の拳が腹に入って吐き気がした。
そこにもう一発入ったときには思いっきり給食を吐き出した。
そんな吐いたオレを見てクラスの女子が悲鳴を上げる。

「キャー!」「キモイ!」「汚い!」
オレがいじめられている時には何も言わず静かなくせにこういう時は一番に騒ぎ出す。
そんな女子の悲鳴を聞いて先生が駆けつけた。
先生達もいじめに気づいていたのだろう。
シャツを出したりベルトをつけなかったり第一ボタンを外しているのにはすぐに気づいて注意してくるくせに、いじめには気づいても気づかぬふりをする。
そんな先生達もいじめをしている政宗達と同じに見えた。
その日は吐いたのを理由に早退した。
母親には何故吐いたのかを聞かれたが心配を掛けまいと「食べ過ぎただけ」と答えた。
それでもオレは次の日も学校に行った。
学校に行くのをやめる事は正宗達のいじめに屈した事と同じと思ったからだ。
そんな謎の負けず嫌いを持っているくせに政宗達にやり返す勇気は出なかった。
そんなある日、事件は起こった...
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》 猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。 不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。 何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。 ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。 人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。 そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。 男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。 そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。 (

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

処理中です...