異世界で俺はチーター

田中 歩

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{第三十一話} じゃんけん

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「失礼します旦那様、客人をお連れしました」

扉を開け、使用人達に囲まれ奥に座る王と思われる人物に挨拶をする。

「陛下、今日は姫様達の護衛の件で参りました」

団長が頭を下げる。それに続きオレとネラも頭を下げる。

「アギルか...そこの二人は...」

団長が頭を上げ、オレとネラの紹介する。

「この二人は今回のパーティーで陛下ならびに姫様達の護衛を頼んだ者達です」

紹介が終わったのを確認し、オレとネラも頭を上げる。

「どうも陛下、今日は皆さんの護衛をさせていただきます。ショウと申します」

「同じく、ネラと申します」

頭を深く下げる。

「そうか、しかしその格好は...」

「スーツといいます」

「スーツ...?スーツか...何処かで...」

何かブツブツつぶやき考え込みはじめた。

「そうか...あの時の...」

しばらくすると、使用人達に下がるよう命令した。結果今はこの部屋には王と団長とオレらしかいない。

「そうか!そうであったか!」

王はイスから立ち上がり、こちらに駆け寄ってきた。さっきの重々しい面影とは裏腹に今は笑顔でとてもうれしそうだ。

「そうか、君達なら信用できる!」

オレの手を握り上下に勢い良く上げ下げする。(何だろうこのデジャブ感...?)

「そういえば、アギルはどこへ行っていたのだ?出かけていると聞いていたが...」

「バルシュ議員に頼まれ「ティアド」の情報収集をしておりました」

「この忙しい時にバルシュは何を考えているのだ...」

そこにドレスで着飾り、頭にティアラをつけた姫様と思われるオレと同い年くらいの女の子が部屋に入ってきた。

「お父様、準備ができました」

「おお、ティア!かわいいぞ~」

王は女の子に抱きつく。

「お父様、服が乱れるのであまり抱き付かないでさい」

見るからに嫌がっている。

「かわいいな~かわいいぞ~さすが我が娘だ」

自分の娘がかわいすぎてしょうがないパパにしか見えない。

「そちらは...」

「おっと、すまない」

王は軽く咳払いをした。

「私はティアと申します」

ドレスのスカートを広げ頭を下げる。

「僕は姫様達の護衛をさせていただくショウと申します。精一杯護衛させていただきます」

「同じく、ネラと申します」

「ええ、頼みましたよ。お父様が認めた方なら安心できます」

「コンコン」扉をノックする音がした。

「誰だ?」

そう返事をした王はさっきまでのパパでは無く最初の王の顔に戻った。

「執事のティングです」

「そうか、入れ」

扉を開け入ってきたのはさっきの執事だった。どうやら名前は「ティング」らしい。

「奥様の準備ができました」

そういうと、執事の後ろから姫様を大人にして色っぽくした感じの女性が出てきた。

「アギルさん、今日はよろしくお願いしますね」

やさしい笑顔で微笑んでいる。

「おや?そちらの方は?」

「初にお目にかかります、ショウと申します。姫様達の護衛をさせていただきます」

「同じく、ネラです」

「そうでしたか、私はこの国の王妃のフレイヤと申します。今日はよろしくおねがいしますね」

そういうと、やさしく微笑んだ。

「紹介等もすんだようですので、馬車に案内します」

執事につれられて外に止まっている馬車に案内された。

「アギルさん、僕達はどうしたら...」

「陛下達がこの馬車に乗りますので一人はこの馬車に乗りもう一人は馬車の後を付いていってもらえるか」

「わかりました」

「それと、私は来国された貴族の方の護衛がありますので...」

「わかりました、ここは僕達におまかせ下さい」

「では頼んだぞ」

そう言い、馬に跨り去っていった。

「ネラはどっちがいい?」

「私はどちらでも」

「わかった、じゃんけんで決めよう!買ったほうが馬車な!」

「わかりました」

「言っとくけどオレ、じゃんけんでは負ける気しないから!」(ドヤ顔)

「最初はグー、じゃんけん...」



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 



姫様達に続いて馬車に乗る。

「よいしょっ」(良かった~カッコつけて負けなくて...)

全員が乗り込むと馬車は動き出した。

「ショウさん」

軽くスーツの袖を引っ張る。

「はい、何でしょうか?姫様」

「先ほど、ネラさんとしていた「じゃんけん」とはどういうものなんですか?」

「簡単に勝敗を決める時に使う遊び見たいな物です」

「どうやって勝敗を決めるのですか?」

「まずは、手を握ってください」

「はい」

姫様がオレの手を握ってきた。

「お、おふ...」

「どうかされましたか?」

「えーっと、僕の手を握るのではなくて...こうです」

自分の手を「グー」にしてみせる。

「し、失礼しました、こうですね」

姫様はあわてて、手を離す。

「はい、そうです。それを「グー」といいます」

「手を握る」ではなく「拳を握る」といえば普通に伝わっていたのではないか?っと思いつつ...

「「グー」ですね」

「次は手を開いてください」

「はい」

「それが「パー」です」

「「パー」ですね」

「最後に「ピース」ってわかりますか?」

「はい、こうですよね?」

「そうです、それが「チョキ」です」

「「チョキ」ですね、わかりますた」

「この三つを使って勝敗を気めます。まず「グー」は「チョキ」に勝てます。「チョキ」は「パー」に勝てます。「パー」は「グー」に勝てます」

「それぞれに勝てるのと負けるのがあるのですね」

「はい、そうです。その「グー」「チョキ」「パー」を掛け声とともに同時に出して勝敗を決めます」

「同じ物どうしだったらどうなるんですか?」

「それは「あいこ」といってもう一度やり直しです」

「わかりました」

「では、やってみましょう。僕が「最初はグー」といいますのでまずは「グー」を出します。そこは全員一緒です」

「はい」

「次に「じゃんけん、ポン!」っと言いますので「ポン!」のタイミングで「グー」「チョキ」「パー」の中から好きな物を出してください」

「わかりました」

「では、いきますよ~。あ、姫様も掛け声を一緒に」

「はい」

「さいしょはグー、じゃんけんポン!」

「今回は僕が「グー」で姫様が「パー」なので姫様の勝ちです」

「ルールはわかりました、どういった時につかうんですか?」

「そうですね~...例えば、姫様は家族とお菓子を食べています」

「お菓子は大好きです」

「それは、良かった。そして少ししたらお菓子が最後のひとつになってしまいました」

「それはこまりました...」

「そうですね、誰が最後のひとつを食べるか決めなくてはなりません」

「はい」

「そんなときに「じゃんけん」を使います」

「なるほど、わかりました。今度、そういった場面がありましたら「じゃんけん」をしたいと思います」

「ぜひ!」

姫様はとても満足気な笑顔をしていた。

「ショウ殿とか言ったか?」

「はい」

「私ともその「じゃんけん」とやらをしてはもらえぬだろうか?」

「いいですよ」

「私もその後にお願いできますか?」

「もちろんです」

王様や王妃、姫様達はお堅い人だと思っていたがどうやらそうではないらしい...
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