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第六章 存在意義
5 売られたアレム
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気がつくとアレムはどこかのベッドに寝かされていた。知らない天井が見える。ここは屋根裏部屋のようだが、割と裕福な家に見える。起きあがろうとして、手足が鎖で繋がれていることに気がついた。服はそのままだが、口も布で縛られている。
「おや、起きたか!」
部屋の隅にいた男が駆け寄ってきた。男はでっぷりとした腹に脂ぎった顔、べたついた髪を額に撫で付けた容姿をしていた。唇は分厚く顔に大きなイボが何個かある。
「ああー、綺麗だ。この肌の色、髪の色、瞳の色、最高だ! 金を積んだ甲斐があったよ……」
男は近づいてくるとアレムの顎を掴んで舐め回すように全身を物色した。アレムは体調の悪さもあり吐き気がした。そして自分が騙された事に気付いた。しかしあの新聞記事まで偽物かどうか分からない。アレムを助けるというのは偽りでも、記事の内容が本当であれば遅かれ早かれこうなっていたのかもしれない。自分が惨めで仕方なかった。虚しくて涙が滲んだ。
「ああ、泣き顔もそそるな……」
男は横たわるアレムの上に覆い被さってきた。男の手がアレムの太ももを撫でた。全身に鳥肌が立つ。服の裾から手を差し込んできて直接腰を触られた。
「スベスベだ……勃ってきちゃったよ……」
アレムは歯を食いしばり、全身の力を込めて膝で男の股間を蹴り上げた。足首を鎖で繋がれているので威力は半減だったが、ダメージは与えられたようだ。
「うおおおおおおお!!」
男の悲鳴が響いた。股間を押さえて悶絶している。
「お前……お前……!」
男が立ち上がり、殴られると覚悟したが男は手を出してこなかった。
「クソ……! せっかく大金はたいて買ったのに傷をつけられるか! 明日からたっぷり可愛がってやるからな!!」
男は股間を抑えたまま部屋から出て行った。ひとまず目の前の危機が去ったことには安心したが、アレムはどっと疲れた。明日にはあの男に蹂躙されるのだろう。そうなったら全力で抵抗し、ダメだったら舌を噛むしかない、そう思って目を閉じた。元々、自分は存在してはいけない人間だったのではないか、そう思うと涙が頬を伝った。ウィルエルと共に眠った日々は夢だったのかもしれない。幸せだった一瞬の日々を思い返しながら浅い眠りを繰り返し、気がつくと夜が明けていた。天窓から差し込む光の色から、天気はあまり良くないことが分かった。体はだるく頭は重い。
日が高くなると早速男が戻って来た。アレムは覚悟を決めて体に力を込めた。男はアレムに近づくと、縄でベッドにぐるぐるとアレムを縛りつけた。
「これで暴れても無駄だぞ」
ほとんど身動きができない状態にされた。確かに、昨日の蹴りのようなことは出来そうにない。暴れようとするが縄が体に食い込むばかりでほとんど体が動かない。口を覆う布の隙間から呻き声が漏れた。
「さあ、お楽しみの時間だ」
男は舌なめずりするとアレムの服をはだけさせた。乳首にむしゃぶりついてくる。首は固定されていなかったのでぶんぶんと頭を振って抵抗の意志を示した。アレムは吐き気を堪え、歯を食いしばって耐えた。ざらざらとした感触が乳首を這い回る。
「ああ、最高だ……、たまらない……」
男は隆起した股間をアレムに擦り付けてくる。全身鳥肌が立ち、頭に血が上った。「クソ、クソ……、気持ち悪い……!」布の隙間から叫んだが声にならない呻き声となる。男はアレムのズボンに手をかけた。もうダメだ。アレムは舌を噛みちぎる覚悟を決めた。
「おや、起きたか!」
部屋の隅にいた男が駆け寄ってきた。男はでっぷりとした腹に脂ぎった顔、べたついた髪を額に撫で付けた容姿をしていた。唇は分厚く顔に大きなイボが何個かある。
「ああー、綺麗だ。この肌の色、髪の色、瞳の色、最高だ! 金を積んだ甲斐があったよ……」
男は近づいてくるとアレムの顎を掴んで舐め回すように全身を物色した。アレムは体調の悪さもあり吐き気がした。そして自分が騙された事に気付いた。しかしあの新聞記事まで偽物かどうか分からない。アレムを助けるというのは偽りでも、記事の内容が本当であれば遅かれ早かれこうなっていたのかもしれない。自分が惨めで仕方なかった。虚しくて涙が滲んだ。
「ああ、泣き顔もそそるな……」
男は横たわるアレムの上に覆い被さってきた。男の手がアレムの太ももを撫でた。全身に鳥肌が立つ。服の裾から手を差し込んできて直接腰を触られた。
「スベスベだ……勃ってきちゃったよ……」
アレムは歯を食いしばり、全身の力を込めて膝で男の股間を蹴り上げた。足首を鎖で繋がれているので威力は半減だったが、ダメージは与えられたようだ。
「うおおおおおおお!!」
男の悲鳴が響いた。股間を押さえて悶絶している。
「お前……お前……!」
男が立ち上がり、殴られると覚悟したが男は手を出してこなかった。
「クソ……! せっかく大金はたいて買ったのに傷をつけられるか! 明日からたっぷり可愛がってやるからな!!」
男は股間を抑えたまま部屋から出て行った。ひとまず目の前の危機が去ったことには安心したが、アレムはどっと疲れた。明日にはあの男に蹂躙されるのだろう。そうなったら全力で抵抗し、ダメだったら舌を噛むしかない、そう思って目を閉じた。元々、自分は存在してはいけない人間だったのではないか、そう思うと涙が頬を伝った。ウィルエルと共に眠った日々は夢だったのかもしれない。幸せだった一瞬の日々を思い返しながら浅い眠りを繰り返し、気がつくと夜が明けていた。天窓から差し込む光の色から、天気はあまり良くないことが分かった。体はだるく頭は重い。
日が高くなると早速男が戻って来た。アレムは覚悟を決めて体に力を込めた。男はアレムに近づくと、縄でベッドにぐるぐるとアレムを縛りつけた。
「これで暴れても無駄だぞ」
ほとんど身動きができない状態にされた。確かに、昨日の蹴りのようなことは出来そうにない。暴れようとするが縄が体に食い込むばかりでほとんど体が動かない。口を覆う布の隙間から呻き声が漏れた。
「さあ、お楽しみの時間だ」
男は舌なめずりするとアレムの服をはだけさせた。乳首にむしゃぶりついてくる。首は固定されていなかったのでぶんぶんと頭を振って抵抗の意志を示した。アレムは吐き気を堪え、歯を食いしばって耐えた。ざらざらとした感触が乳首を這い回る。
「ああ、最高だ……、たまらない……」
男は隆起した股間をアレムに擦り付けてくる。全身鳥肌が立ち、頭に血が上った。「クソ、クソ……、気持ち悪い……!」布の隙間から叫んだが声にならない呻き声となる。男はアレムのズボンに手をかけた。もうダメだ。アレムは舌を噛みちぎる覚悟を決めた。
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