30 / 45
第30話 失われた王冠
しおりを挟む
「何で私がこんなボロ布を纏わねばならないのだ……」
「仕方ないだろう、お前のその恰好が目立つんだから、そうそう王冠も外しておけよ」
「王冠もか!?」
「当たり前だ、どこの世界に王冠を被った一般女性が居るんだよ!!」
王冠を被り、派手な装飾の鎧を着ているキャスリンを連れて街中を歩くのはいくら何でも目立ちすぎる。
そのため彼女をマントで覆い服屋へ急ぐ。
「あたしこの街に来るの初めて、凄い綺麗な街だね~~~」
「そうだろう、この街はつい最近ここまで大きくなったんだ、中立地帯にずっと住んでいたリリアンには珍しいだろう?」
「うん!! やっぱりアクセルさんに付いて村を出てよかった!!」
「それよ、お前さ勝手に出て来て両親は心配してるだろう?」
「ううんそれは大丈夫、あたしは孤児だから……村のみんなに育てられたんだけど、いつまでもお世話になってちゃいけないと思って……」
ぐっ、予想外に重い話しになった。
それはさておき、俺たちは無事アルバトロス商業特区に戻ってきた。
馬車に追いすがる王国兵を俺の矢で追い払いながらなんとか振り切った。
それからは独走状態、馬がへばって給水に止まった以外はほぼノンストップでここまで来れた。
街に到着後ボギーと別れ、この目立つ女王様に服を買うために移動中だ。
「おおっここだ、女性服専門店」
華やかで煌びやかな看板のいかにも女性が喜びそうなお店だ。
キャスリン、リリアンと一緒に店に入る。
こいつは……場違いなところに来てしまったな。
店内にはずらりと色とりどりの女物の服がハンガーに掛かっており、ショウウインドウには希少そうな宝石や金がふんだんにあしらわれたアクセサリーが飾ってある。
俺には縁のない絶対に一人では来ない店……少し眩暈を覚えた。
「うわ~~~、綺麗なお洋服がいっぱい!!」
瞳を輝かせてはしゃぐリリアン。
「フム、中々悪くない店だな……」
キャスリンが商品を物色しながらつぶやく。
「いらっしゃいませ!! 何かお探しでしょうか!?」
ピンクのスーツを着た品の良い女性店員が話しかけてきた。
「この店で一番高い服はどれだ? この私が着るのだ、それ相応の価値のあるドレスを出せ」
「ちょっと待て、今はそうじゃないだろう? 目立たない服を買いに来たんだ」
こいつ、自分の置かれている状況がまだ分かってないらしい。
逃避行中に高価な上、派手で歩き辛い服を買ってどうするよ。
「あの……」
「ああ済まない、日常生活で着る機能的な服を見せてくれないか?」
「はい、でしたらこちらです」
案内されたコーナーはごく一般的な、庶民が着る服が並んでいる。
「なんだ面白みがない」
「仕方ないだろう?」
「興が削がれた、貴様が服を見繕え」
「何?」
俺に女の服を選べだと?
自慢じゃないが生まれてこの方、彼女すらまともにいたことが無い俺に?
正直どれを選べばよいか分からない。
しかしこんな落ち着かない店にいつまでもいられない。
ここはキャスリンと顔がよく似ているイングリットが着たら似合いそうな服を選んでみるか。
「これなんかどうだ?」
俺は山吹色が美しいワンピースを選んだ、イングリットが着ていたピンクのワンピースにデザインが少し似ている。
「ふーーーん、もうそれで良い……さっさと買ってくるがよい」
「いや、ここで着替えるんだよ
すみません、これを買います……着て行ってもいいでしょうか?」
「ありがとうございます!! さあお嬢様はこちらへどうぞ!!」
店員の案内で試着室に入るキャスリン。
鎧を脱ぐゴトゴトという洋服屋ではあり得ない音を立て着替えが始まった。
「済まぬ店員、服の着方が分からないのだが……」
「お手伝いします」
「ウム、頼むぞ」
恐らく帝国の生活では服を一人で着替えることなどなかったのだろう。
こいつはこいつで今の状況は大変なんだよな。
「どうだ? おかしなところは無いか?」
試着室のカーテンが開くと、自信満々にポーズを決めた山吹色のワンピースを着たキャスリンが立っていた。
「ああ、似合ってるぜ」
「キャスリンお姉ちゃん綺麗……」
俺の服のチョイスに間違いはなかった……そもそもイングリットというモデルが居るんだ、似合わないはずがない。
「それでこちらはどうしましょう……」
脱ぎ捨てられた鎧を見て困り顔の店員。
「持ち帰りで……」
「ありがとうございました!!」
俺はリュックに鎧をしまい込み、店員に見送られながら三人で店を出た。
「なあ、この鎧、捨てていいか?」
「何を言う!? それは由緒正しき王家の鎧だぞ!! それを捨てるだと!?」
「仕方ないだろう? この鎧があると色々と面倒なんだよ……重くて嵩張るし、売ったら売ったでそこから足が付く……それで王国兵に見つかったら俺たちは終わりだ」
「むむっ致し方ない……処分は任せる……だが王冠は、王冠だけは残してはくれぬか?」
「それはむしろ持ってろ、王冠はただの飾りではないからな……お前を女王たらしめる大切なものなのだろう?」
「ああ……恩に着る……」
そんなに悔しそうな顔をするなよ……俺だって意地悪で言ってるんじゃないんだから……そこから暫く俺たちを沈黙が支配した。
「ところでアクセル、さすがに歩き疲れたぞ……今宵はどこのホテルに泊まるのだ?」
「そうだな……ここなんてどうだ?」
丁度この間見つけた安宿の前に来ていたのでそこを指さす。
「どこだ?」
「だから、こ・こ」
キャスリンが建物を見るなり顔色が見る見る青ざめていく。
「私にこんな馬小屋のような宿に泊まれと言うのか!? 私は絶対にご免だからな!!」
こいつ、どこにこんな外見の馬小屋があるんだよ。
っていうか宿の前で堂々と大声でこき下ろすんじゃない。
「あたしはここでもいいよ?」
「リリアンはいい子だねぇ……」
もう困った女王様だな……仕方ない、ここはアルバトロスを頼るか。
「これはこれはアクセルさん、先日はボギーがお世話になったそうで……」
アルバトロスは出会うなり俺に礼を言った。
その後ろでサムズアップしているボギー、昨日の事は何とか誤魔化してくれたようだな。
「悪いんだがホテルを手配してくれないか? 後ろの女王様が高級ホテルじゃなければ絶対に泊まりたくないと抜かすもんでな」
「ひっ、人聞きの悪い事を言わないでくださる!?」
「え~~~と、その女性はイングリットさんではないのですか?」
しまったな、結局こうなったか……このいきさつを語るとせっかくボギーが誤魔化してくれた事が無駄になっしまう……だがそうもいかない、許せボギー。
「実は……」
俺はここ数日の事をアルバトロスに話した。
「何故遠慮なんてなさったんです? 言ってくださればいくらでも協力させて頂いたものを……」
「いや、直前に生命の種の捜索を依頼しただろう? これ以上迷惑はかけられないなと」
「やれやれ、我々とあなたの関係はそんな薄っぺらいものではないでしょう?
もっと我々を頼ってください、もちろん報酬は頂きますが」
「分かったよ、それじゃあ早速……」
「ホテルの手配ですね? シェリーさん」
「はい、畏まりました社長……では皆さんこちらへ」
俺たちはシェリーに案内され部屋を出る。
「ボギー、ちょっといいですか? 話しがあります」
「へっ、へい……」
きっと彼はこれから根掘り葉掘り社長に尋問されるのだろう、本当に済まんな。
その後、以前俺たちが泊まった高級ホテルにキャスリンとリリアンはご満悦だった。
そして次の日。
「王国のホテルも中々だったな、悪くなかった」
「さいですか……」
ホテル内のサロンでキャスリンに会った。
すっきりした顔しやがって……。
前も言った通り俺はこういうお高い宿では熟睡できないのだ。
「あれ? ところでリリアンはどこ行った?」
「さあ、知らぬぞ? あの子供、私とはそんなに仲は良くないのでな」
何だろうこの胸騒ぎは……俺の勘が良からぬ事が起こっていると告げてくる。
「悪い、お前の部屋に入るぞ」
「何!? ちょっと待て!! 女の寝起きの部屋に入るでない!!」
キャスリンが呼び止めるのも聞かず、俺はキャスリンの宿泊した部屋に入った。
この部屋はツインでリリアンも一緒に泊まっているのだ。
「部屋には居ないか……まさか外に行ったのか?」
他におかしな点は無いか? キャスリンの寝ていたと思しきベッドはシーツが皴々になって片方に寄っているが、リリアンが寝ていた方は使用された痕跡が無い。
それに荷物が無くなっている、それもリリアンの物だけでなくキャスリンの物もだ。
「お前、王冠は持っているか?」
「今起きたばかりよ、まだ今日は見てないわね……それがどうしたの?」
「無くなってるぞ、王冠」
「ななな、何ですって!?」
これはどういうことだ? 考えられることはいくつかある。
その一……第三者、賊がホテルに侵入、リリアンをさらい、王冠を盗み去った。
しかし窓から侵入した痕跡は無い、土足で部屋に入ったならカーペットが汚れているはずだがそれも無い。
正面玄関から入ったなら従業員が気づくはず。
その二……ホテルの従業員に犯人が居る。
それはなるべくなら信じたくはないな、あのアルバトロスに管理するホテルだ、信用できる人間が揃っているはず。
その三……これが一番確率が高く、一番信じたくない事案なのだが敢えて言う。
リリアンが王冠を持ち去った……だ。
「仕方ないだろう、お前のその恰好が目立つんだから、そうそう王冠も外しておけよ」
「王冠もか!?」
「当たり前だ、どこの世界に王冠を被った一般女性が居るんだよ!!」
王冠を被り、派手な装飾の鎧を着ているキャスリンを連れて街中を歩くのはいくら何でも目立ちすぎる。
そのため彼女をマントで覆い服屋へ急ぐ。
「あたしこの街に来るの初めて、凄い綺麗な街だね~~~」
「そうだろう、この街はつい最近ここまで大きくなったんだ、中立地帯にずっと住んでいたリリアンには珍しいだろう?」
「うん!! やっぱりアクセルさんに付いて村を出てよかった!!」
「それよ、お前さ勝手に出て来て両親は心配してるだろう?」
「ううんそれは大丈夫、あたしは孤児だから……村のみんなに育てられたんだけど、いつまでもお世話になってちゃいけないと思って……」
ぐっ、予想外に重い話しになった。
それはさておき、俺たちは無事アルバトロス商業特区に戻ってきた。
馬車に追いすがる王国兵を俺の矢で追い払いながらなんとか振り切った。
それからは独走状態、馬がへばって給水に止まった以外はほぼノンストップでここまで来れた。
街に到着後ボギーと別れ、この目立つ女王様に服を買うために移動中だ。
「おおっここだ、女性服専門店」
華やかで煌びやかな看板のいかにも女性が喜びそうなお店だ。
キャスリン、リリアンと一緒に店に入る。
こいつは……場違いなところに来てしまったな。
店内にはずらりと色とりどりの女物の服がハンガーに掛かっており、ショウウインドウには希少そうな宝石や金がふんだんにあしらわれたアクセサリーが飾ってある。
俺には縁のない絶対に一人では来ない店……少し眩暈を覚えた。
「うわ~~~、綺麗なお洋服がいっぱい!!」
瞳を輝かせてはしゃぐリリアン。
「フム、中々悪くない店だな……」
キャスリンが商品を物色しながらつぶやく。
「いらっしゃいませ!! 何かお探しでしょうか!?」
ピンクのスーツを着た品の良い女性店員が話しかけてきた。
「この店で一番高い服はどれだ? この私が着るのだ、それ相応の価値のあるドレスを出せ」
「ちょっと待て、今はそうじゃないだろう? 目立たない服を買いに来たんだ」
こいつ、自分の置かれている状況がまだ分かってないらしい。
逃避行中に高価な上、派手で歩き辛い服を買ってどうするよ。
「あの……」
「ああ済まない、日常生活で着る機能的な服を見せてくれないか?」
「はい、でしたらこちらです」
案内されたコーナーはごく一般的な、庶民が着る服が並んでいる。
「なんだ面白みがない」
「仕方ないだろう?」
「興が削がれた、貴様が服を見繕え」
「何?」
俺に女の服を選べだと?
自慢じゃないが生まれてこの方、彼女すらまともにいたことが無い俺に?
正直どれを選べばよいか分からない。
しかしこんな落ち着かない店にいつまでもいられない。
ここはキャスリンと顔がよく似ているイングリットが着たら似合いそうな服を選んでみるか。
「これなんかどうだ?」
俺は山吹色が美しいワンピースを選んだ、イングリットが着ていたピンクのワンピースにデザインが少し似ている。
「ふーーーん、もうそれで良い……さっさと買ってくるがよい」
「いや、ここで着替えるんだよ
すみません、これを買います……着て行ってもいいでしょうか?」
「ありがとうございます!! さあお嬢様はこちらへどうぞ!!」
店員の案内で試着室に入るキャスリン。
鎧を脱ぐゴトゴトという洋服屋ではあり得ない音を立て着替えが始まった。
「済まぬ店員、服の着方が分からないのだが……」
「お手伝いします」
「ウム、頼むぞ」
恐らく帝国の生活では服を一人で着替えることなどなかったのだろう。
こいつはこいつで今の状況は大変なんだよな。
「どうだ? おかしなところは無いか?」
試着室のカーテンが開くと、自信満々にポーズを決めた山吹色のワンピースを着たキャスリンが立っていた。
「ああ、似合ってるぜ」
「キャスリンお姉ちゃん綺麗……」
俺の服のチョイスに間違いはなかった……そもそもイングリットというモデルが居るんだ、似合わないはずがない。
「それでこちらはどうしましょう……」
脱ぎ捨てられた鎧を見て困り顔の店員。
「持ち帰りで……」
「ありがとうございました!!」
俺はリュックに鎧をしまい込み、店員に見送られながら三人で店を出た。
「なあ、この鎧、捨てていいか?」
「何を言う!? それは由緒正しき王家の鎧だぞ!! それを捨てるだと!?」
「仕方ないだろう? この鎧があると色々と面倒なんだよ……重くて嵩張るし、売ったら売ったでそこから足が付く……それで王国兵に見つかったら俺たちは終わりだ」
「むむっ致し方ない……処分は任せる……だが王冠は、王冠だけは残してはくれぬか?」
「それはむしろ持ってろ、王冠はただの飾りではないからな……お前を女王たらしめる大切なものなのだろう?」
「ああ……恩に着る……」
そんなに悔しそうな顔をするなよ……俺だって意地悪で言ってるんじゃないんだから……そこから暫く俺たちを沈黙が支配した。
「ところでアクセル、さすがに歩き疲れたぞ……今宵はどこのホテルに泊まるのだ?」
「そうだな……ここなんてどうだ?」
丁度この間見つけた安宿の前に来ていたのでそこを指さす。
「どこだ?」
「だから、こ・こ」
キャスリンが建物を見るなり顔色が見る見る青ざめていく。
「私にこんな馬小屋のような宿に泊まれと言うのか!? 私は絶対にご免だからな!!」
こいつ、どこにこんな外見の馬小屋があるんだよ。
っていうか宿の前で堂々と大声でこき下ろすんじゃない。
「あたしはここでもいいよ?」
「リリアンはいい子だねぇ……」
もう困った女王様だな……仕方ない、ここはアルバトロスを頼るか。
「これはこれはアクセルさん、先日はボギーがお世話になったそうで……」
アルバトロスは出会うなり俺に礼を言った。
その後ろでサムズアップしているボギー、昨日の事は何とか誤魔化してくれたようだな。
「悪いんだがホテルを手配してくれないか? 後ろの女王様が高級ホテルじゃなければ絶対に泊まりたくないと抜かすもんでな」
「ひっ、人聞きの悪い事を言わないでくださる!?」
「え~~~と、その女性はイングリットさんではないのですか?」
しまったな、結局こうなったか……このいきさつを語るとせっかくボギーが誤魔化してくれた事が無駄になっしまう……だがそうもいかない、許せボギー。
「実は……」
俺はここ数日の事をアルバトロスに話した。
「何故遠慮なんてなさったんです? 言ってくださればいくらでも協力させて頂いたものを……」
「いや、直前に生命の種の捜索を依頼しただろう? これ以上迷惑はかけられないなと」
「やれやれ、我々とあなたの関係はそんな薄っぺらいものではないでしょう?
もっと我々を頼ってください、もちろん報酬は頂きますが」
「分かったよ、それじゃあ早速……」
「ホテルの手配ですね? シェリーさん」
「はい、畏まりました社長……では皆さんこちらへ」
俺たちはシェリーに案内され部屋を出る。
「ボギー、ちょっといいですか? 話しがあります」
「へっ、へい……」
きっと彼はこれから根掘り葉掘り社長に尋問されるのだろう、本当に済まんな。
その後、以前俺たちが泊まった高級ホテルにキャスリンとリリアンはご満悦だった。
そして次の日。
「王国のホテルも中々だったな、悪くなかった」
「さいですか……」
ホテル内のサロンでキャスリンに会った。
すっきりした顔しやがって……。
前も言った通り俺はこういうお高い宿では熟睡できないのだ。
「あれ? ところでリリアンはどこ行った?」
「さあ、知らぬぞ? あの子供、私とはそんなに仲は良くないのでな」
何だろうこの胸騒ぎは……俺の勘が良からぬ事が起こっていると告げてくる。
「悪い、お前の部屋に入るぞ」
「何!? ちょっと待て!! 女の寝起きの部屋に入るでない!!」
キャスリンが呼び止めるのも聞かず、俺はキャスリンの宿泊した部屋に入った。
この部屋はツインでリリアンも一緒に泊まっているのだ。
「部屋には居ないか……まさか外に行ったのか?」
他におかしな点は無いか? キャスリンの寝ていたと思しきベッドはシーツが皴々になって片方に寄っているが、リリアンが寝ていた方は使用された痕跡が無い。
それに荷物が無くなっている、それもリリアンの物だけでなくキャスリンの物もだ。
「お前、王冠は持っているか?」
「今起きたばかりよ、まだ今日は見てないわね……それがどうしたの?」
「無くなってるぞ、王冠」
「ななな、何ですって!?」
これはどういうことだ? 考えられることはいくつかある。
その一……第三者、賊がホテルに侵入、リリアンをさらい、王冠を盗み去った。
しかし窓から侵入した痕跡は無い、土足で部屋に入ったならカーペットが汚れているはずだがそれも無い。
正面玄関から入ったなら従業員が気づくはず。
その二……ホテルの従業員に犯人が居る。
それはなるべくなら信じたくはないな、あのアルバトロスに管理するホテルだ、信用できる人間が揃っているはず。
その三……これが一番確率が高く、一番信じたくない事案なのだが敢えて言う。
リリアンが王冠を持ち去った……だ。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。


【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです
山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。
今は、その考えも消えつつある。
けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。
今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。
ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる