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第91話 決死の召喚魔法
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『さあ、ここでここで死になさい!! 女装癖の王子様!!』
ウォオオオンーーーーー!!
スキュラの無数の足が犬型の魔獣に変化しシャルロットに襲い掛かる。
「なっ……今はそんな事関係ないだろう!? それに僕は自分の事を男だと思った事は無いよ!!」
スキュラの煽りを真に受け赤面するも魔獣に剣で応戦するシャルロット。
魔獣の爪を弾き、別の魔獣の牙をレイピアを水平に両腕で構え凌ぐ。
「姫様後ろじゃ!!」
「えっ!?」
シャルロットの背後から更に別の魔獣が迫り、彼女の背中に爪を振るった。
「きゃあっ!!」
金属製の防具の背後が紙の如くいともたやすく切り裂かれた……そしてそのまま突き飛ばされうつ伏せに地面に倒れ込む。
「大丈夫ですかな姫様!!」
「うん、これくらい平気……」
デネブに肩を借り立ち上がる。
「儂ら二人ではこの状況をどうにか出来るとは思えん……ここは一度退きましょう」
「そ、そうだね……」
いつもならつい向きになって力押しで状況を打開しようとしてしまう癖のあるシャルロットだったが、流石に今回ばかりはそれも無理と判断した。
ここで自分が倒れるという事は世界の滅亡を意味するからだ。
『あら、私があなた達を逃がすとでも思う?』
「何だろう……微かに振動がしないかい?」
スキュラの言葉の直後、遠くから何かが迫ってくるような騒音と振動が伝わって来る……そしてそれは段々と大きくなっていく。
「あれを見なされ!! 津波ですじゃ!!」
「何て事……!!」
デネブの声に海岸のある方角に目を移すと、見上げる程の高さの波の壁がこのマウイマウイ首都に目がけて迫って来るではないか。
「内陸の方へ逃げよう!!」
『ウフフフ……私は水にまつわる自然現象を操ることが出来るのよ……だからこんな事も出来る』
スキュラが天高く両手を掲げる……すると今まで雲一つなかった青空が途端に曇りだす。
その黒ずんだ雲から叩きつけるような豪雨が降り出し、シャルロットたちを容赦なく襲う。
「きゃっ!! これじゃ歩く事もできない……!!」
「姫様!! 儂の方へ来るんじゃ!!」
デネブがシャルロットの腕を引き寄せたのち魔法を唱える。
「魔法障壁!!」
二人を魔力で出来た透明な球体が包み込む……それによって豪雨の圧力からは解放されたがしかし……。
「助かったよデネブ」
「じゃがこれも一時凌ぎ……あの津波が押し寄せては一溜りも無いですじゃ」
「あっ!!」
シャルロットがひと際大きな声を上げた。
「どうしたのじゃ!?」
「エイハブが危ない……もしまだ眠っているのなら津波に飲み込まれてしまう!!」
後方の家屋にエイハブを置いてきたのだ、仮に目を覚ましていたとして、建物の中に居ては迫りくる津波への対処が間に合わない。
「僕行ってくる!!」
「あっ、待ちなされ!!」
シャルロットが魔法障壁の球から抜け出す……その際、魔力の球は分離しシャルロットを包んだまま彼女は走っていく。
俊足のシャルロットを高齢のデネブが追える訳も無く、彼はそこに立ち止まった。
「やれやれ……自分の身も危ういというのにあのお姫様ときたら……」
眉間に皺を寄せるも穏やかな眼差しをシャルロットの走り去る背中に向ける。
『あら? おじいさんは行かないの? それともここで溺死するのを待つ気かしら?』
スキュラがいたずらな微笑みを湛えデネブを見下ろしている。
「こんな老いぼれの命、いつ尽きるとも惜しくはない……せめて次代の礎になれるのならその方が恰好が着くというもの……じゃがな、タダでくれてやるほど儂の命は安くはないぞ?」
先ほどとは打って変わって鋭い眼光をスキュラへと向ける。
一瞬その迫力に気圧される。
『こ、コケ脅しだわ……あなたにこの状況をどうにか出来るのかしら?』
津波の怒号は益々大きくなっている……もう時間がない。
「儂が研究していた魔法は召喚魔法じゃ、ドジを踏んで別世界に飛ばされたことがあるが、この儂がそこでの有り余る時間をただ怠惰に過ごしたと思うかの?」
デネブの魔法の杖の先端に魔力が集中していく……それに連動して彼の足元には大きな円形の魔方陣が放射状に増えていく。
『まさか……何かを呼び出す気?』
かつてない程の魔力の放出……デネブの膝ががくがくと激しく揺れ、地面に付きそうになる。
「まだじゃ、まだ倒れるわけにはいかぬ……」
額に汗を滲ませ苦しそうに呼吸をする。
デネブには既にここまでの魔法を使い熟す体力も魔力も残ってはいなかったのだ。
杖を握っている腕は半透明に透けており、反対側の景色が見えていた。
先のバエル戦で消えていった男たちと同じ症状だ。
『さ、させないよ!!』
あまりの迫力に戸惑い魔法発動をただ見つめてしまっていたスキュラはふと我に返りデネブに向かって足の魔獣を嗾けた。
「出でよ!! 火竜サラマンダーーーー!!」
デネブの背後に巨大な深紅の鱗を持ったドラゴンが姿を現した。
彼の頭越しに猛烈な炎を口から吐き散らし魔獣たちを一瞬で炭化させた。
『ギャアアアアアアア……!!』
当然、自分の足を変化させて作り出した魔獣を焼き払われてタダで済むわけがない……あまりの激痛にスキュラは耳を劈くほどの悲鳴を上げた。
慌てて自ら自身の足を切り落とし、炎の延焼を防いだのだった。
「形勢逆転じゃな……観念せい!!」
凄んではいるがデネブの顔色が良くない……肩で大きく息をしている。
スキュラは考えた、召喚獣は召喚者が死ねばその場から消える事が多い……
今ここでデネブを討てばサラマンダーは消えるはず。
仮にそれが上手くいったとして消えるまでのタイムラグにサラマンダーに反撃されるか相打ちになるかの確率の方が圧倒的に高い……かといってまともにサラマンダーとやりあって彼女に勝てる保証がない……相性的に言って最悪の相手なのだ。
そうとなればスキュラのとれる行動はただ一つ……。
『これで勝ったと思わない事ね!! 津波はもうそこまで来ているのよ、海の藻屑と消えなさい!!』
そう言い残し、スキュラは一目散にその場から逃げ出した。
彼女にしてみればシャルロット一行さえ殲滅出来れば手段はどうでもいいのだから。
「逃がしたか……まあそれでも良い……まずはあの津波を何とかしなければな……」
デネブは敢えてスキュラの追撃をしなかった、彼の残り少ない魔力を別の事に使うためだ。
スキュラの言う通り津波は目前に迫っていた、今からではどうやっても逃げられない程に。
「サラマンダーよ、あれを防ぐことは可能か?」
津波を指さすデネブに対し高所から彼を見下ろすサラマンダーは誰にモノを言っていると言いたげな表情をした後大きく身体を後ろに逸らし胸部が膨らむほど大量に息を吸った。
そして前方に顔を突き出すと共に開口、夥しい程大量の炎を吐き出した。
ゴアアアアアアアアアアア……!!
業火が少し離れたところに炎の壁を作る……それは一斉に横へと広がり街全体を遮る形で展開した。
直後、津波が炎の壁に衝突すると、炎と水は相殺し合い激しく水蒸気を発生させた。
しかし海水の量が圧倒し、炎が徐々に押し戻されていく。
「どうしたサラマンダー……お前の力はそんな物か? それでも誇り高き火の竜か?」
デネブのその言葉に奮起、サラマンダーは吐き出す炎の火力を上げた。
再び炎の壁は勢力を取り戻し津波を押し戻していく。
「そうじゃ……それでよい……」
ガクリと膝を付くデネブ……それと同時にサラマンダーの身体も透けていく。
しかしサラマンダーは最後まで力を出し尽くす。
デネブが顔から地面に倒れ伏すまでそれは続いた。
サラマンダーが完全に消え、津波を完全に消滅させるには至らなかったが、それでも人の足首くらいが水に浸かるほどまでには抑え込むことに成功したのだった。
「ハァハァハァ……柄にも無く、年甲斐も無く熱くなったわい……」
最後の力を振り絞り、建物の壁に背中を預ける。
半身は水に浸かったままだ。
「儂はここまでの様だ……あとは頼んだぞい姫様……我が最愛の弟子、ベガよ……」
うわ言の様につぶやいたデネブの身体はやがて腕だけではなく全身が透明化し消えていく……その場には彼が着ていたブラウンのローブだけが残った。
ウォオオオンーーーーー!!
スキュラの無数の足が犬型の魔獣に変化しシャルロットに襲い掛かる。
「なっ……今はそんな事関係ないだろう!? それに僕は自分の事を男だと思った事は無いよ!!」
スキュラの煽りを真に受け赤面するも魔獣に剣で応戦するシャルロット。
魔獣の爪を弾き、別の魔獣の牙をレイピアを水平に両腕で構え凌ぐ。
「姫様後ろじゃ!!」
「えっ!?」
シャルロットの背後から更に別の魔獣が迫り、彼女の背中に爪を振るった。
「きゃあっ!!」
金属製の防具の背後が紙の如くいともたやすく切り裂かれた……そしてそのまま突き飛ばされうつ伏せに地面に倒れ込む。
「大丈夫ですかな姫様!!」
「うん、これくらい平気……」
デネブに肩を借り立ち上がる。
「儂ら二人ではこの状況をどうにか出来るとは思えん……ここは一度退きましょう」
「そ、そうだね……」
いつもならつい向きになって力押しで状況を打開しようとしてしまう癖のあるシャルロットだったが、流石に今回ばかりはそれも無理と判断した。
ここで自分が倒れるという事は世界の滅亡を意味するからだ。
『あら、私があなた達を逃がすとでも思う?』
「何だろう……微かに振動がしないかい?」
スキュラの言葉の直後、遠くから何かが迫ってくるような騒音と振動が伝わって来る……そしてそれは段々と大きくなっていく。
「あれを見なされ!! 津波ですじゃ!!」
「何て事……!!」
デネブの声に海岸のある方角に目を移すと、見上げる程の高さの波の壁がこのマウイマウイ首都に目がけて迫って来るではないか。
「内陸の方へ逃げよう!!」
『ウフフフ……私は水にまつわる自然現象を操ることが出来るのよ……だからこんな事も出来る』
スキュラが天高く両手を掲げる……すると今まで雲一つなかった青空が途端に曇りだす。
その黒ずんだ雲から叩きつけるような豪雨が降り出し、シャルロットたちを容赦なく襲う。
「きゃっ!! これじゃ歩く事もできない……!!」
「姫様!! 儂の方へ来るんじゃ!!」
デネブがシャルロットの腕を引き寄せたのち魔法を唱える。
「魔法障壁!!」
二人を魔力で出来た透明な球体が包み込む……それによって豪雨の圧力からは解放されたがしかし……。
「助かったよデネブ」
「じゃがこれも一時凌ぎ……あの津波が押し寄せては一溜りも無いですじゃ」
「あっ!!」
シャルロットがひと際大きな声を上げた。
「どうしたのじゃ!?」
「エイハブが危ない……もしまだ眠っているのなら津波に飲み込まれてしまう!!」
後方の家屋にエイハブを置いてきたのだ、仮に目を覚ましていたとして、建物の中に居ては迫りくる津波への対処が間に合わない。
「僕行ってくる!!」
「あっ、待ちなされ!!」
シャルロットが魔法障壁の球から抜け出す……その際、魔力の球は分離しシャルロットを包んだまま彼女は走っていく。
俊足のシャルロットを高齢のデネブが追える訳も無く、彼はそこに立ち止まった。
「やれやれ……自分の身も危ういというのにあのお姫様ときたら……」
眉間に皺を寄せるも穏やかな眼差しをシャルロットの走り去る背中に向ける。
『あら? おじいさんは行かないの? それともここで溺死するのを待つ気かしら?』
スキュラがいたずらな微笑みを湛えデネブを見下ろしている。
「こんな老いぼれの命、いつ尽きるとも惜しくはない……せめて次代の礎になれるのならその方が恰好が着くというもの……じゃがな、タダでくれてやるほど儂の命は安くはないぞ?」
先ほどとは打って変わって鋭い眼光をスキュラへと向ける。
一瞬その迫力に気圧される。
『こ、コケ脅しだわ……あなたにこの状況をどうにか出来るのかしら?』
津波の怒号は益々大きくなっている……もう時間がない。
「儂が研究していた魔法は召喚魔法じゃ、ドジを踏んで別世界に飛ばされたことがあるが、この儂がそこでの有り余る時間をただ怠惰に過ごしたと思うかの?」
デネブの魔法の杖の先端に魔力が集中していく……それに連動して彼の足元には大きな円形の魔方陣が放射状に増えていく。
『まさか……何かを呼び出す気?』
かつてない程の魔力の放出……デネブの膝ががくがくと激しく揺れ、地面に付きそうになる。
「まだじゃ、まだ倒れるわけにはいかぬ……」
額に汗を滲ませ苦しそうに呼吸をする。
デネブには既にここまでの魔法を使い熟す体力も魔力も残ってはいなかったのだ。
杖を握っている腕は半透明に透けており、反対側の景色が見えていた。
先のバエル戦で消えていった男たちと同じ症状だ。
『さ、させないよ!!』
あまりの迫力に戸惑い魔法発動をただ見つめてしまっていたスキュラはふと我に返りデネブに向かって足の魔獣を嗾けた。
「出でよ!! 火竜サラマンダーーーー!!」
デネブの背後に巨大な深紅の鱗を持ったドラゴンが姿を現した。
彼の頭越しに猛烈な炎を口から吐き散らし魔獣たちを一瞬で炭化させた。
『ギャアアアアアアア……!!』
当然、自分の足を変化させて作り出した魔獣を焼き払われてタダで済むわけがない……あまりの激痛にスキュラは耳を劈くほどの悲鳴を上げた。
慌てて自ら自身の足を切り落とし、炎の延焼を防いだのだった。
「形勢逆転じゃな……観念せい!!」
凄んではいるがデネブの顔色が良くない……肩で大きく息をしている。
スキュラは考えた、召喚獣は召喚者が死ねばその場から消える事が多い……
今ここでデネブを討てばサラマンダーは消えるはず。
仮にそれが上手くいったとして消えるまでのタイムラグにサラマンダーに反撃されるか相打ちになるかの確率の方が圧倒的に高い……かといってまともにサラマンダーとやりあって彼女に勝てる保証がない……相性的に言って最悪の相手なのだ。
そうとなればスキュラのとれる行動はただ一つ……。
『これで勝ったと思わない事ね!! 津波はもうそこまで来ているのよ、海の藻屑と消えなさい!!』
そう言い残し、スキュラは一目散にその場から逃げ出した。
彼女にしてみればシャルロット一行さえ殲滅出来れば手段はどうでもいいのだから。
「逃がしたか……まあそれでも良い……まずはあの津波を何とかしなければな……」
デネブは敢えてスキュラの追撃をしなかった、彼の残り少ない魔力を別の事に使うためだ。
スキュラの言う通り津波は目前に迫っていた、今からではどうやっても逃げられない程に。
「サラマンダーよ、あれを防ぐことは可能か?」
津波を指さすデネブに対し高所から彼を見下ろすサラマンダーは誰にモノを言っていると言いたげな表情をした後大きく身体を後ろに逸らし胸部が膨らむほど大量に息を吸った。
そして前方に顔を突き出すと共に開口、夥しい程大量の炎を吐き出した。
ゴアアアアアアアアアアア……!!
業火が少し離れたところに炎の壁を作る……それは一斉に横へと広がり街全体を遮る形で展開した。
直後、津波が炎の壁に衝突すると、炎と水は相殺し合い激しく水蒸気を発生させた。
しかし海水の量が圧倒し、炎が徐々に押し戻されていく。
「どうしたサラマンダー……お前の力はそんな物か? それでも誇り高き火の竜か?」
デネブのその言葉に奮起、サラマンダーは吐き出す炎の火力を上げた。
再び炎の壁は勢力を取り戻し津波を押し戻していく。
「そうじゃ……それでよい……」
ガクリと膝を付くデネブ……それと同時にサラマンダーの身体も透けていく。
しかしサラマンダーは最後まで力を出し尽くす。
デネブが顔から地面に倒れ伏すまでそれは続いた。
サラマンダーが完全に消え、津波を完全に消滅させるには至らなかったが、それでも人の足首くらいが水に浸かるほどまでには抑え込むことに成功したのだった。
「ハァハァハァ……柄にも無く、年甲斐も無く熱くなったわい……」
最後の力を振り絞り、建物の壁に背中を預ける。
半身は水に浸かったままだ。
「儂はここまでの様だ……あとは頼んだぞい姫様……我が最愛の弟子、ベガよ……」
うわ言の様につぶやいたデネブの身体はやがて腕だけではなく全身が透明化し消えていく……その場には彼が着ていたブラウンのローブだけが残った。
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