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第64話 反撃開始!!
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「くっそーーーー!! イオの奴…!! 何て事をしてくれたんだ!!」
ハインツが髪の毛を両側からぐしゃぐしゃに掻き毟りながら叫びを上げるも、声は冷たい石壁に吸い込まれてしまった。
彼は今、マウイマウイ城地下の牢獄に収監されていた。
「うるさいですね…いくら叫んでもこの状況はどうにもならないでしょう」
一方、ハインツとは対照的に落ち着き払っているシオン。
彼女も同じく牢獄に入れられているが、二人は別々の牢に分けられて入っていた。
互いが独房で、石壁を隔て牢が隣り合っているのだ。
「これが叫ばずにいられるか!!」
ハインツが言うイオに対しての『何て事』には二つの意味があった。
一つはマウイマウイとの交渉を破談にしてしまった事。
そしてもう一つは、シャルロット姫に変装しているのをいい事に、自分にキスをしてきた事だ。
不覚にも姿が瓜二つだからと、胸を高鳴らせてしまった自分が許せなかったのだ。
今更だがハインツは唇を拭った。
「あのイオ殿ですから、何か突拍子もない事をしでかすのでは…と思っていたのですが、まさかあんな手段に出るとは私も思いもしませんでした」
「あれは絶対に狙ってやったはずだ、前にも俺はあいつに色目を使われたことがある…」
「モテモテでよろしいではないですか」
「言い訳あるか!! 男にモテてうれしい訳がない!!」
石壁越しに言い合いをする。
「気の毒に…事実を知らないという事がこんなにも哀れだとは…」
「何の事だ?」
「いえ…忘れてください」
相思相愛のシャルロット姫自身も男だという事を彼は知らない。
実は男にばかりモテているのだ…。
そのことを少しだけ不憫に思うシオンであった。
「ところでイオはどこに連れて行かれたんろう? この牢獄のどこかにいるのだろうか?」
「さすがに一国の姫君を投獄することはマウイマウイ王でもしないでしょう、
ただ姫君であるうちは…」
「それってどういう…あっ、そうか!! シャルロットがイオの変装であることがばれてしまったら大変なことになるな!!」
「そういう事です、ボケっとこの牢獄で腐っている暇はありませんよ」
「シオン、お前…案外口が悪いんだな…」
「王族でもないあなたに媚びることもないでしょう?」
「………」
今にして思えばハインツがシオンと二人きりで話をしたことが今までほとんどなかった。
シオンがこんなに皮肉屋で気の強い性格だとは思っていなかったのだ。
「にしてもマウイマウイの警備は笊ですね…身体検査もまともにできないとは…」
シオンがメイド服の上を脱ぎブラジャーが露出する。
そしてカップの下部分を指で触り、湾曲したワイヤーを取り出す。
ここにシオンが投獄される時、警備兵が身体検査をしなかったわけではない。
男の兵であったが、恥ずかしがり、シオンの身体の性的な部分をしっかりチェックしていなかったのである。
しかしもし好色な兵であったなら…。
散々身体を触った挙句、全裸で投獄されてしまっては流石のシオンもはこうはいかなかったかもしれないのだから。
「こんな錠前、私にかかれば造作もない…」
ワイヤーをまっすぐに伸ばし、扉に吊り下げられている錠前に裏から手を回し鍵穴に差し込む。
錠前は僅か数秒ではずれ、床に落ちた。
「さあ、行きますよ…私たちの姫が偽物とばれてしまう前に」
牢から出たシオンは今度はハインツの牢の錠前を取り外す。
「凄いなお前…」
「伊達に諜報活動を生業にしていません、急ぎますよ」
「おう」
物音を立てないように廊下を移動する二人。
「ハインツ、止まってください」
廊下の曲がり角から顔を半分だけ出して奥を伺う。
この先は出口へと繋がる一本道なのだが、出口付近には見張りの兵士が二人立っていた。
「どうするんだ?」
「任せてください」
そういうとシオンはメイド服のスカートをたくし上げた。
シオンのすらりと伸びた白く美しい足が露になる。
「ちょっ…何してんだよ」
「はあ…この程度で狼狽えるとは、おこちゃまですかあなた」
シオンの蔑んだような冷たい視線がハインツを見つめる。
「うっ、うるさいな」
「まあ見ていてください」
そして片足を太ももから先、つま先までがあちらに見えるように壁から差し出す。
「おい、あれ見ろよ」
「まさか女の足!?」
微かに声が聞こえる、恐らくは出口を警備している兵士の声だ。
徐々に足音が近付いて来るのがわかる。
足音は二人分、見張りは二人とも持ち場を離れこちらへ向かってきている。
やがて二人はシオンの所まで到達する。
「ハ~~~イ、お兄さん方、私と遊ばない?」
「でへへへ…ぐへっ…!?」
赤面する二人の兵士…直後、頭部に激痛が走る。
陰に隠れていたハインツが殴り掛かったのだ。
「この度スケベ共め…恥を知れ」
こんな簡単な色仕掛けにマウイマウイの兵たちが引っ掛かるのは理由があった。
ここマウイマウイは宗教上の理由で、結婚前の男女が二人きりで過ごす事が禁じられている。
その上、女性は公の場で肌を晒すことが許されず、常に衣服で隠さなければならない戒律もある。
とにかく性的なことに関しての規制が厳しいのだ。
それ故、マウイマウイの独身の男には女性に対しての免疫が殆ど無い。
しかし異国からの来訪者にはこの戒律は適用されず、先刻のシャルロット(イオ)が挨拶でスカートをたくし上げた際に露出したおみ足に男どもが魅了されたのは無理からぬことだったのだ。
実際は男の脚だったのだが、そこは知らぬが花。
「さあ今のうちに」
床に倒れる兵士をしり目に廊下を駆け抜ける二人。
こうしてまんまとシオンとハインツは牢から脱出したのであった。
「む~~~~っ………!!」
猿ぐつわをされ、両腕を頭の上で縛られベッドに横たえられているのはシャルロットに扮したイオであった。
ここはマウイマウイ第一王子、カルネの部屋だ。
部屋の各所に奇妙な形の壺や像が所狭しと陳列されており、カルネの悪趣味さが見て取れる。
「へへっ…ごめんね…騒がれると困るから…縛らせてもらったよ…」
たどたどしく話すも、目じりはだらしなく下がり、口からはよだれが滴っていた。
「君は僕の物になるんだ…他の男の物になるなんて許さない…」
シャルロット(イオ)の太ももに顔を寄せ頬ずりする…やがて蛇のように舌先をちらつかせ、柔肌の上に這わせた。
「むうっ…!! むうう~~~!!」
嫌悪感から悲鳴を上げるも、シャルロット(イオ)の声は猿ぐつわによって遮られてしまう。
目には涙がたまっていた。
「その絶望に打ちひしがれている表情…そそるね~~~ひひっ」
カルネはシャルロット(イオ)に馬乗りになり、その豊満な胸元を覆い隠す生地に手を掛ける。
「さあ見せてごらん…今から僕が可愛がってあげるよ」
勢いよく両腕を左右に引っ張ると布が裂け、二つの果実が柔らかそうに揺れた。
「んん~~~~~~!!」
「素晴らしい!! 何て美しいんだ!!」
カルネは胸の谷間に顔を埋め浅い呼吸を何度も繰り返す。
「そろそろこちらも堪能させてもらおうかな…ふふっ」
右手をシャルロット(イオ)の内股に沿うように滑り込ませる。
「ん? 何だこの股間の膨らみは…ねぇ君、パンティーに何か入れているのかい?」
握った右手の感触の違和感と既知の感覚に戸惑うカロン。
「アン…いけませんわカロン様…それ以上はあなた様の新しい扉を開いてしまいますわよ?」
「えっ!? 君、いつの間に縄と猿ぐつわを…!?」
「こんな物、魔力を集中すれば簡単に解けますですよ」
シャルロット(イオ)の腕と口は既に自由になっており、慌てるカロンの腕を押さえつけていた。
「お望みでしたらあなた様を新世界へと誘って差し上げましょう」
妖艶な笑みを浮かべ舌なめずりするシャルロット(イオ)。
「えっ? ちょっと待って!! そこはっ!! アッーーーーーー!!!」
カロンの絶叫が部屋の外まで響き渡る。
「今日のカロン様は一段とお楽しみだな」
「無理もないだろう、あんな絶世の美女が相手なのだから」
程なくしてゆっくりとカロンの部屋の扉が開く…そこから顔を出したのはシャルロット(イオ)だ。
「あの…警備の方…」
「どうされました?」
「カロン様の意識がないのです…見て差し上げて?」
上気した表情とシーツだけを身体に纏っているシャルロット(イオ)の姿に胸がときめく兵士たち。
「はい!! 只今!!」
「まったく、カロン様はハリキリすぎなんですよ」
ぱたりと扉が閉まる…その後、静まり返った部屋からは元のドレスを着たシャルロット(イオ)だけが静かに出てきた。
「さて、次の行動に移りますか…ツィッギー殿は上手くやってくれましたでしょうか」
人目をはばかる様に隠れながら廊下を移動するシャルロット(イオ)。
今から彼らの反撃が始まる。
ハインツが髪の毛を両側からぐしゃぐしゃに掻き毟りながら叫びを上げるも、声は冷たい石壁に吸い込まれてしまった。
彼は今、マウイマウイ城地下の牢獄に収監されていた。
「うるさいですね…いくら叫んでもこの状況はどうにもならないでしょう」
一方、ハインツとは対照的に落ち着き払っているシオン。
彼女も同じく牢獄に入れられているが、二人は別々の牢に分けられて入っていた。
互いが独房で、石壁を隔て牢が隣り合っているのだ。
「これが叫ばずにいられるか!!」
ハインツが言うイオに対しての『何て事』には二つの意味があった。
一つはマウイマウイとの交渉を破談にしてしまった事。
そしてもう一つは、シャルロット姫に変装しているのをいい事に、自分にキスをしてきた事だ。
不覚にも姿が瓜二つだからと、胸を高鳴らせてしまった自分が許せなかったのだ。
今更だがハインツは唇を拭った。
「あのイオ殿ですから、何か突拍子もない事をしでかすのでは…と思っていたのですが、まさかあんな手段に出るとは私も思いもしませんでした」
「あれは絶対に狙ってやったはずだ、前にも俺はあいつに色目を使われたことがある…」
「モテモテでよろしいではないですか」
「言い訳あるか!! 男にモテてうれしい訳がない!!」
石壁越しに言い合いをする。
「気の毒に…事実を知らないという事がこんなにも哀れだとは…」
「何の事だ?」
「いえ…忘れてください」
相思相愛のシャルロット姫自身も男だという事を彼は知らない。
実は男にばかりモテているのだ…。
そのことを少しだけ不憫に思うシオンであった。
「ところでイオはどこに連れて行かれたんろう? この牢獄のどこかにいるのだろうか?」
「さすがに一国の姫君を投獄することはマウイマウイ王でもしないでしょう、
ただ姫君であるうちは…」
「それってどういう…あっ、そうか!! シャルロットがイオの変装であることがばれてしまったら大変なことになるな!!」
「そういう事です、ボケっとこの牢獄で腐っている暇はありませんよ」
「シオン、お前…案外口が悪いんだな…」
「王族でもないあなたに媚びることもないでしょう?」
「………」
今にして思えばハインツがシオンと二人きりで話をしたことが今までほとんどなかった。
シオンがこんなに皮肉屋で気の強い性格だとは思っていなかったのだ。
「にしてもマウイマウイの警備は笊ですね…身体検査もまともにできないとは…」
シオンがメイド服の上を脱ぎブラジャーが露出する。
そしてカップの下部分を指で触り、湾曲したワイヤーを取り出す。
ここにシオンが投獄される時、警備兵が身体検査をしなかったわけではない。
男の兵であったが、恥ずかしがり、シオンの身体の性的な部分をしっかりチェックしていなかったのである。
しかしもし好色な兵であったなら…。
散々身体を触った挙句、全裸で投獄されてしまっては流石のシオンもはこうはいかなかったかもしれないのだから。
「こんな錠前、私にかかれば造作もない…」
ワイヤーをまっすぐに伸ばし、扉に吊り下げられている錠前に裏から手を回し鍵穴に差し込む。
錠前は僅か数秒ではずれ、床に落ちた。
「さあ、行きますよ…私たちの姫が偽物とばれてしまう前に」
牢から出たシオンは今度はハインツの牢の錠前を取り外す。
「凄いなお前…」
「伊達に諜報活動を生業にしていません、急ぎますよ」
「おう」
物音を立てないように廊下を移動する二人。
「ハインツ、止まってください」
廊下の曲がり角から顔を半分だけ出して奥を伺う。
この先は出口へと繋がる一本道なのだが、出口付近には見張りの兵士が二人立っていた。
「どうするんだ?」
「任せてください」
そういうとシオンはメイド服のスカートをたくし上げた。
シオンのすらりと伸びた白く美しい足が露になる。
「ちょっ…何してんだよ」
「はあ…この程度で狼狽えるとは、おこちゃまですかあなた」
シオンの蔑んだような冷たい視線がハインツを見つめる。
「うっ、うるさいな」
「まあ見ていてください」
そして片足を太ももから先、つま先までがあちらに見えるように壁から差し出す。
「おい、あれ見ろよ」
「まさか女の足!?」
微かに声が聞こえる、恐らくは出口を警備している兵士の声だ。
徐々に足音が近付いて来るのがわかる。
足音は二人分、見張りは二人とも持ち場を離れこちらへ向かってきている。
やがて二人はシオンの所まで到達する。
「ハ~~~イ、お兄さん方、私と遊ばない?」
「でへへへ…ぐへっ…!?」
赤面する二人の兵士…直後、頭部に激痛が走る。
陰に隠れていたハインツが殴り掛かったのだ。
「この度スケベ共め…恥を知れ」
こんな簡単な色仕掛けにマウイマウイの兵たちが引っ掛かるのは理由があった。
ここマウイマウイは宗教上の理由で、結婚前の男女が二人きりで過ごす事が禁じられている。
その上、女性は公の場で肌を晒すことが許されず、常に衣服で隠さなければならない戒律もある。
とにかく性的なことに関しての規制が厳しいのだ。
それ故、マウイマウイの独身の男には女性に対しての免疫が殆ど無い。
しかし異国からの来訪者にはこの戒律は適用されず、先刻のシャルロット(イオ)が挨拶でスカートをたくし上げた際に露出したおみ足に男どもが魅了されたのは無理からぬことだったのだ。
実際は男の脚だったのだが、そこは知らぬが花。
「さあ今のうちに」
床に倒れる兵士をしり目に廊下を駆け抜ける二人。
こうしてまんまとシオンとハインツは牢から脱出したのであった。
「む~~~~っ………!!」
猿ぐつわをされ、両腕を頭の上で縛られベッドに横たえられているのはシャルロットに扮したイオであった。
ここはマウイマウイ第一王子、カルネの部屋だ。
部屋の各所に奇妙な形の壺や像が所狭しと陳列されており、カルネの悪趣味さが見て取れる。
「へへっ…ごめんね…騒がれると困るから…縛らせてもらったよ…」
たどたどしく話すも、目じりはだらしなく下がり、口からはよだれが滴っていた。
「君は僕の物になるんだ…他の男の物になるなんて許さない…」
シャルロット(イオ)の太ももに顔を寄せ頬ずりする…やがて蛇のように舌先をちらつかせ、柔肌の上に這わせた。
「むうっ…!! むうう~~~!!」
嫌悪感から悲鳴を上げるも、シャルロット(イオ)の声は猿ぐつわによって遮られてしまう。
目には涙がたまっていた。
「その絶望に打ちひしがれている表情…そそるね~~~ひひっ」
カルネはシャルロット(イオ)に馬乗りになり、その豊満な胸元を覆い隠す生地に手を掛ける。
「さあ見せてごらん…今から僕が可愛がってあげるよ」
勢いよく両腕を左右に引っ張ると布が裂け、二つの果実が柔らかそうに揺れた。
「んん~~~~~~!!」
「素晴らしい!! 何て美しいんだ!!」
カルネは胸の谷間に顔を埋め浅い呼吸を何度も繰り返す。
「そろそろこちらも堪能させてもらおうかな…ふふっ」
右手をシャルロット(イオ)の内股に沿うように滑り込ませる。
「ん? 何だこの股間の膨らみは…ねぇ君、パンティーに何か入れているのかい?」
握った右手の感触の違和感と既知の感覚に戸惑うカロン。
「アン…いけませんわカロン様…それ以上はあなた様の新しい扉を開いてしまいますわよ?」
「えっ!? 君、いつの間に縄と猿ぐつわを…!?」
「こんな物、魔力を集中すれば簡単に解けますですよ」
シャルロット(イオ)の腕と口は既に自由になっており、慌てるカロンの腕を押さえつけていた。
「お望みでしたらあなた様を新世界へと誘って差し上げましょう」
妖艶な笑みを浮かべ舌なめずりするシャルロット(イオ)。
「えっ? ちょっと待って!! そこはっ!! アッーーーーーー!!!」
カロンの絶叫が部屋の外まで響き渡る。
「今日のカロン様は一段とお楽しみだな」
「無理もないだろう、あんな絶世の美女が相手なのだから」
程なくしてゆっくりとカロンの部屋の扉が開く…そこから顔を出したのはシャルロット(イオ)だ。
「あの…警備の方…」
「どうされました?」
「カロン様の意識がないのです…見て差し上げて?」
上気した表情とシーツだけを身体に纏っているシャルロット(イオ)の姿に胸がときめく兵士たち。
「はい!! 只今!!」
「まったく、カロン様はハリキリすぎなんですよ」
ぱたりと扉が閉まる…その後、静まり返った部屋からは元のドレスを着たシャルロット(イオ)だけが静かに出てきた。
「さて、次の行動に移りますか…ツィッギー殿は上手くやってくれましたでしょうか」
人目をはばかる様に隠れながら廊下を移動するシャルロット(イオ)。
今から彼らの反撃が始まる。
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