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第二章 仲間が出来ました
第7話 姫君の本性
しおりを挟む「う~ん…やっぱりこの『リプレイスメント』って魔法…いい使い方が思い浮かばないよ~」
『果て無き銀翼』は今一人で『プラクティス時空』に来ている。
正確にはユッキーもいるので一人と一匹ではあるが。
先日入手した魔法の練習の為に来てみた物の
どうにも特殊移動魔法『リプレイスメント』の使い道がイマイチ分からないのだ。
『リプレイスメント』は物を交換したり入れ替えたりする魔法だ。
実際『果て無き銀翼』も何度か魔法を試してはみた。
そして石ころ同士の場所を入れ替えたりは出来たのだが。
樹木や岩山など地面に固定されている物は動かせない様だった。
「はぁ…これは要らない魔法だったのかな…」
少々がっかりした様子の『果て無き銀翼』。
「いや…その判断はまだ早いでありんすよ?
魔法は違う魔法同士を組み合わせる事も同時に使う事も出来る…
要は創意工夫次第で可能性は無限大でありんす」
「そう…そうだよね!まだ試して無い事が一杯あるもんね!」
折角手に入れた力である、どこかで使う機会があるかも知れない。
今はあまり考え込まない事にした『果て無き銀翼』であった。
「こんにちはエターナルさん、今日も宜しくお願いしますね」
暫くして『虚飾の姫君』がプラクティス時空に姿を現した。
「あ…お姫ちゃん…こんにちは…」
昨日ユッキーに言われたことが一瞬脳裏に蘇りぎこちなく挨拶をしてしまった『果て無き銀翼』。
顔もわずかに引きつっている。
「…?」
彼女の違和感のある態度に一瞬首を傾げるもすぐにいつも通りに振舞う
『虚飾の姫君』。
「では早速行きましょうか」
「…うん」
ライセンスカードを取り出し、扉を抜けファンタージョンへと移動する二人。
転移した先は砂地であった…草木はまばらにしか無い。
特に行き先を選択しない限りは魔法少女が扉を潜って出現する先はランダムだ。
草原の時もあれば海岸沿いであったり、時には岩山であったりする。
今、二人の眼前にはおびただしい数の蟻型カキン虫が蠢いていた。
一匹の大きさが大型犬並の大きさがある。
虫嫌いな人物が見たら卒倒してしまいそうな程ぞっとしない光景だ。
「では、いつも通りの手筈で行きましょう」
「うん!出でよトルネード!!」
『果て無き銀翼』がトルネードを発生させ蟻型カキン虫を複数体空気の渦に巻き込む。
地面の砂も大量に巻き上げ目を開けているのが辛い状態だ。
「ジェットストリーム!!」
『虚飾の姫君』も続いて水流を放つ
が…いつもの様にとどめを刺せなかった。
巻き上げた砂粒が水流の進行を妨げた上に
蟻型カキン虫の外皮は思いの外強固で彼女の魔法に耐えたのだ。
「あっ!?そんな…」
その隙に残りのカキン虫達が波の様に押し寄せる。
「これならどう?!タイダルウエーブ!!」
『虚飾の姫君』が次なる魔法『タイダルウエーブ』を放つ。
この魔法は地を這う水流の波を発生させ全面広範囲を攻撃できる
まさに今の状況にうってつけの魔法だ。
勢いよく進む波であったが次第にその威力を失い、終いには消えてしまった。
「そんな?なぜ…?」
驚きを隠せない『虚飾の姫君』。
ここが普通の地面なら普段通りのパフォーマンスを発揮できたであろう
『タイダルウエーブ』だがここは砂地…
水流が進むにつれ全て砂に吸収されてしまったのだ。
動揺している彼女の眼前には既に蟻カキン虫が迫っていた。
「いやああああ!!!!」
「お姫ちゃんがあぶない!!ブースト!!」
『果て無き銀翼』は『ブースト』を唱えた。
これは補助系魔法で、先に唱える事で次に唱える魔法に三倍の効果を付加させる魔法だ。
「コピー!!」
続けざまに『コピー』を唱える。
自分と同等の能力を持った分身を一体複製する魔法だ
ただしこの分身は一度でも攻撃を受けたら消えてしまう。
先に『ブースト』を唱えてあるので今回は三体の分身が現れた。
自身も入れて都合四人の『果て無き銀翼』が整列する。
「「「「エアリーシュート!!」」」」
四人は一斉に『エアリーシュート』を連射する。
集束された空気の矢が次々と蟻型カキン虫を貫き消滅させる。
全滅させるには至らなかったが。
旗色が悪くなったと判断した残りのカキン虫達は反転し我先にと逃走を始めた。
ガックリと膝をつき放心状態の『虚飾の姫君』。
「大丈夫!?お姫ちゃん!!」
彼女に駆け寄り肩に手を乗せた『果て無き銀翼』であったが
思い切り手を跳ね除けられてしまった。
「…!どうしたの?お姫ちゃん…」
手を押さえながら困惑の眼差しを『虚飾の姫君』に向ける。
彼女は俯いたままで表情を読み取り事が出来ない。
「…馬鹿にして…」
「え…?」
『虚飾の姫君』が絞り出すようなか細い声でつぶやいたのをはっきり聞き取れず『果て無き銀翼』は聞き返す。
「君も僕の事を馬鹿にしてたんだろ?!
そんな魔法の実力が有りながら隠していたなんて…!!」
突然激昂する『虚飾の姫君』。
今迄『果て無き銀翼』が見た事の無い
激情をたたえた表情だ。
「…そんな…バカにするなんて…それにさっきのはお姫ちゃんが危なかったから無我夢中で…」
急に人が変わってしまった『虚飾の姫君』の辛辣な態度に動揺しながらも気丈に振舞う『果て無き銀翼』。
「僕の人生はいつもこうさ!
どんなに頑張っても才能がある子やお金持ちの子にはかなわない!!
せめて魔法少女になっている時くらい人より上に行きたかった…
だから人の良さそうな君を利用してお金を稼ごうと思っていたのに…!!」
感情に火が付いてしまい自らの企みを暴露してしまった
『虚飾の姫君』。
「ほら見るでありんすエターナル!!アチキの言った通りでやんしょ?」
「…そんな…」
どうだ!と言わんばかりのユッキーとは対照的に
目元に薄っすら涙を浮かべ俯く『果て無き銀翼』。
「………くっ!!」
彼女のその姿を見て多少は心に罪悪感が生じたのか『虚飾の姫君』は砂地のフィールドの奥へと走り去ってしまった。
踵を返したその刹那、目の辺りから何か水滴の様な物が舞った気がした…
「あっ!待って~姫~!!」
慌ててピグもフヨフヨと飛びながら後を追う。
チヒロの胸は苦しかった…
勿論走っているからではない。
本当はあんな事を『果て無き銀翼』に言うつもりは無かったのだ。
後悔してももう遅い…
一度口から発せられた言葉を取り消す術など無いのだ。
そんな自分が許せなくてとにかく走った。
目から悔し涙がポロポロこぼれ落ちるが知った事ではない。
少しでも『果て無き銀翼』から離れたかった。
ひとしきり走って既に『果て無き銀翼』の姿が見えなくなっていたその時…足元に異変が起こる。
急に足首辺りまでが砂地に沈んだのだ。
「え…?」
突然の事で何が起きたのか分からない様子の『虚飾の姫君』。
急停止するもバランスを崩し、前のめりに砂地に倒れ込む。
すると今度は徐々に前方の地面が沈み込みそちらの方へ砂が流れていく…
勿論その砂の上に突っ伏している『虚飾の姫君』も同様だ。
「これは一体…きゃあ!?」
そして一気に砂地が陥没し巨大なすり鉢状の大穴が出来上がり
その最底辺には棘の付いた巨大な二本の突起が現れる。
黒光りするそれはカゲロウの幼虫、アリジゴク型のカキン虫の顎であった!!
そう、この大穴はまさに蟻地獄だ。
キシャアアアアアアアア!!
頭だけを砂から出し、とても耳障りな泣き声を上げて穴の底で砂をかき混ぜるアリジゴクカキン虫。
すると穴底に向かって流れる砂が益々加速していった。
「うわあああ!!!!」
『虚飾の姫君』の体も流砂に乗って少しづつ底に向かって流されていくが何とか上体を起こす。
「…くっ…こうなったら!!」
マジカルスタッフを穴の底に向かって構える。
「受けなさい!!ジェットストリーム!!」
水流が勢いよく飛び出したが、角度が悪くアリジゴクカキン虫に到達せず眼前のに落ち砂に吸われてしまった。
彼女の杖は錫杖の様に柄が長いので、うつ伏せの態勢ではそれが邪魔で狙いがさだまらなかったのだ。
「…そんな…」
愕然とする『虚飾の姫君』。
表情には焦りの色がありありと現れている。
「お~い!!チヒロ!!無事ブヒ!?」
「…!!ピグ!!」
上空からピグの声がする。
「助けて!!…このままじゃ僕は…!!」
悲痛な叫び…しかしビーチボール位の大きさしか無く非力なピグでは彼女を引き上げるのは無理が有った。
こうしている間にも彼女の体は確実に穴の底に向かって流されている。
「待っててブヒ!!今エターナルに助けを頼んで来るブヒ!!」
「あっ…ちょっと!!ピグ!!
…頼んだって来てくれる訳ないじゃない…それにもう…」
ギュッと目を瞑り歯噛みする『虚飾の姫君』。
彼女はもう既にこの状況から脱する事を諦めていた。
「全く…とんでもない物の考え方のコでありんしたね…」
やれやれ…と両掌を上に向け首をすくめるユッキー。
「…でも泣いてた…
お姫ちゃんがあんな考え方になってしまったのもきっと何か理由があるんだよ…」
目尻の涙を拭いつつ『虚飾の姫君』の心中を慮る『果て無き銀翼』。
「はぁ…お前様だって泣いてるじゃありんせんか…
どうしてそこまで人を信じれるんでありんすかね…」
「泣いている友達が居たら助けてあげなさいっておばあちゃんが言ってたもん」
それを聞いてため息交じりに更に首をすくめるユッキー。
「お~い!!エターナル~!!助けておくれよ~!!」
猛スピードと呼ぶにはいささか無理があるが
彼なりの全速力でこちらへ向かって飛んで来るピグ。
「よくもまあアチキ達の前に顔を出せたでありんすな!!モガっ…」
「どうしたの!?そんなに慌てて…」
憤慨するユッキーの口を押さえ付けて『果て無き銀翼』が尋ねる。
「…プリンセスが…『虚飾の姫君』
がアリジゴクカキン虫に砂の中に引きずり込まれそうになっているブヒ!!もう一刻の猶予も無いブヒ!!お願いです!!どうか…どうか助けてやってください!!」
涙と鼻水でグシャグシャの顔で懇願するピグ。
「!!…何ですって?!じゃあ今すぐ助けに行かなきゃ!!」
「待つでありんす!!今から行ったとして助けられるかどうかわからないでありんす!!」
「けど…!!」
マジカルステッキをギュッと握りしめる『果て無き銀翼』。
あんな形で別れてしまったが『虚飾の姫君』を見捨てるという選択肢は彼女には無かった。
(考えるんだ…まだ尽くせる手段があるはず…)
『果て無き銀翼』は思考を巡らす。
「あっ!!思い付いた!!
上手くいくか分からないけどまだやれる事があるよ!!」
『カキーン!ハイリマシター!』
『果て無き銀翼』はマジカルステッキにマジカルプリカを読み込ませる。
「風よ!我を守護する盾となれ!エアリーガード!!」
呪文を唱えると『果て無き銀翼』を中心に囲う様に轟音を伴い小型の竜巻が発生した。
その勢いは見た目にもかなりの物で、生半可な攻撃ではこの竜巻を突き抜けるのは困難であろう。
「エターナル!!こんな所で防御魔法を使ってどうするでありんす!!」
ユッキーの疑問は当然だ。
この場には攻撃を仕掛けて来るカキン虫は居ないのはもとより
助けるべき『虚飾の姫君』が襲われている現場でもない。
「私分かったの!!リプレイスメントの魔法の使い方が!!」
『エアリーガード』の風音がけたたましいので半ば怒鳴り気味の『果て無き銀翼』。
だが表情は自信に満ちている
目を瞑り、すぅーっと深呼吸して精神集中…
『虚飾の姫君』の持っていたマジカルスタッフを頭にイメージする…
「見えた…!!ユッキー!私先に行ってるね!『リプレイスメント!!』」
そう言い放った瞬間…『果て無き銀翼』の姿が一瞬にして掻き消え
その場には『虚飾の姫君』のマジカルスタッフが落ちていた…。
「しまった…マジカルスタッフが!!」
『虚飾の姫君』は流砂に長い柄の先端を取られ、マジカルスタッフを持って行かれしまった
手元から離れたそれはどんどんアリジゴクカキン虫の待つ最深部へと流されて行く…
絶望に打ちひしがれる『虚飾の姫君』。
これではもう魔法は唱えられない…
自身も腰の辺りまで流砂に嵌っていてもはやアリジゴクカキン虫の為すがまま…
底まで到達してしまえば後はあの鋭い顎にかかるだけしかないのだ。
「…こんな最期を迎えるなんて…」
止めど無く涙が溢れて来る。
これは『果て無き銀翼』を謀った罰なのだろうか…
利用していたとはいえ彼女と一緒に共闘したり、他愛のないおしゃべりをして過ごした数日は紛れも無く『虚飾の姫君』にとっては楽しき日々だったのだ。
「…エターナル…ごめんね…」
『虚飾の姫君』が覚悟を決めそっと目蓋を閉じようとしたその瞬間!!
「ゴメン!!遅くなって!!」
「!!…エターナル…さん?!」
アリジゴクカキン虫の目前まで流されていたマジカルスタッフの有った場所に突如として竜巻を纏った『果て無き銀翼』が現れたではないか!!
キシャアアアアアアアア!!!
突然現れた『果て無き銀翼』に一瞬怯んだアリジゴクカキン虫ではあったが、すぐさま攻撃を加えるべく砂の中に潜んでいた体を現わし『果て無き銀翼』に向かい強靭な顎で噛み付こうとするが
彼女の周りを取り巻く竜巻の防壁を破る事は出来なかった。
しかしアリジゴクカキン虫もそのまま噛み付きを続行
まるでつばぜり合いの様な拮抗状態になった。
凄まじい金属的な衝突音が鳴り響く。
「お姫ちゃん!!無事?どこも怪我して無い?!」
戦闘状態でマジカルステッキを前方に掲げたまま後方の『虚飾の姫君』に話しかける『果て無き銀翼』。
「どうして…!僕は君にあんな酷い事を言ったのに…どうしてそうまでして僕を助けてくれるの…?!」
全く理解できないと言いたげな困惑した表情。
「…だって…私達…友達だよね?
友達がピンチの時に駆け付けられないなんて出来ないよ…」
『果て無き銀翼』のその言葉に
『虚飾の姫君』は衝撃を受ける
一気に涙腺が崩壊…顔が涙でくしゃくしゃになった
「…うう…うあああああ!!…ごめん…ごめんなさあああいい!!」
大声で泣き叫びながら謝罪の言葉を発する『虚飾の姫君』。
そこには一切の嘘、偽りは存在しなかった…心からの叫び。
それを聞きアリジゴクカキン虫を魔法で押さえつけながらも口元に優し気な笑みを讃えている『果て無き銀翼』
は大きく息を吐く。
「初めから怒ってないよ…また一緒に魔法少女しようね!!」
うんうんと何度も顔を立てに振る『虚飾の姫君』。
「さ~てカキン虫さん!!あなたと遊ぶのはそろそろ終わりにしましょう!!」
『果て無き銀翼』は竜巻の中にあって更に新たな呪文を唱えるべくマジカルステッキにマジカルプリカを読み込ませる。
「風よ!全てを切り裂く刃となりてかの物を打ち倒せ!!『カマイタチ』!!」
エアリーガードで発生させていた竜巻は解除され
交差した二条の刃状の衝撃波がステッキの先端から高速で打ち出される
それはアリジゴクカキン虫の頭部にまともにヒットし
硬そうな甲殻を突き破る。
ギエエエエエエエ!!!!
悲鳴を上げ体液をまき散らしながら悶えるアリジゴクカキン虫は
形勢不利と悟ったのか砂の中に引っ込みそのまま姿を消した。
もう砂も動いてはいない。
「…あ~怖かった…」
その場でガックリと膝をつく『果て無き銀翼』。
今になって全身に震えが来たのだ。
「お~い!!二人とも無事でありんすか~!!」
ユッキーとピグが二人掛かりでマジカルスタッフをぶら下げた状態で弱々しくこちらに飛んで来た。
かなり重そうでフラフラしている。
「ふぇ~…何とかね~」
すり鉢状の穴底から『果て無き銀翼』の気の抜けた返事が聞こえる。
マスコット二人はその傍らに着地した。
「しかしまさかあの『リプレイスメント』を自分の瞬間移動の手段に使うとは思ってなかったでありんす!!
良く思い付いたね!!凄いな~エターナル!!」
いささか興奮気味のユッキー。
『リプレイスメント』は固定されていない物同士を瞬時に入れ替える魔法だが
術者自身と物体を入れ替えるなんて発想はユッキーには無かったのだ。
おまけに出現場所が危険だった事を予測して『エアリーガード』まで展開していたのだ…ツバサの底知れぬ魔法の才能も感じた上での賛辞であった。
「あはは…イチかバチかだったけどね~でも上手くいってよかったよ~」
後頭部に手を当て苦笑いの『果て無き銀翼』。
「それで…!オデのマスターは…」
キョロキョロと辺りを見回すピグ…とその時。
物凄い勢いでピグの横を通り過ぎ『果て無き銀翼』に飛び付きながら抱き着く人影があった。
『虚飾の姫君』だ。
勢い余って二人は地面に倒れ込んでしまった。
「ありがとう…ごめんね…ごめんね…」
ガッチリと『果て無き銀翼』の胴に抱き着き頬ずりする『虚飾の姫君』。
「もう…一人でどっかいっちゃ駄目だよ?」
顔を引きつらせながらも笑顔を見せポンポンと彼女の頭を軽く叩く『果て無き銀翼』。
「僕はこれからは二度と君を裏切らないとここに誓うよ!!」
『果て無き銀翼』から急いで離れ正座をし
急に改まって語り出す『虚飾の姫君』。
「僕本名はチヒロ…源《みなもと》チヒロと言います」
「私はツバサ…銀野ツバサ…あ…!」
チヒロが自己紹介して来たものだからつい釣られて本名を名乗ってしまったツバサ
慌てて口を押えてももう遅かった。
「そして君には隠し事はしたくないからここで告白させて下さい」
「え?告白!!?そんな…私達女の子同士じゃない!!…」
顔を真っ赤にさせて狼狽える『果て無き銀翼』。
「…いえ…そっちの告白では無く…僕の秘密です…」
「あ…ああ~そういう意味の告白ね!!そう…そうよね!!」
愛の告白では無くカミングアウトの方の告白であったのだ。
勘違いして恥ずかしい…ますます顔が赤くなる。
「僕…実は…男なんです…」
俯き膝の上でギュッと拳を握る『虚飾の姫君』。
彼女…いや彼も顔が真っ赤だ。
「え…?えええええええ!!!!!!?」
『果て無き銀翼』の悲鳴にも似た絶叫がファンタージョンにこだました…
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