ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

73話 共鳴の力

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ペルセポネに向かって一斉に走るヒアラとノノ、シュリは散開し3方向から攻撃を仕掛ける

「1人加わっただけであんたらに何が出来るっての?今の私はもうほぼ万全、弱ってるなんて期待しない事ね!」

「私達だってなんの策も無く追ってきた訳ないでしょ!キュアー!いくよ!…はーい了解っ!ノノとシュリちゃんに全バフ圧縮…付与!さらに擬似的に精霊の魔力を付与しちゃうよ~ん!」

ヒアラ・キュアーは2人の技や身体能力を引き継いでおり様々なスキルを使用可能となっている。完全合体では無いためさらなるパワーアップでは無いものの、キュアーの全バフ圧縮は健在している

「さらにヒアラの治癒魔力もあるからリジェネ効果も追加してまーすっ!」

「よし!ありがとうキュアー!行くぞペルセポネ!シュリちゃん、合わせて!」

「はいっ!」

ノノとシュリは高く飛び上がるとバフの乗った輝きを放つ体でその身そのままペルセポネに突っ込んでいった

「ぐっ…!あぁっ!んんん!!」

「効いてる!」

くそ…全バフで2人の速さが更に増してるせいで視界に捉えるのが難しく先が読めない!それに精霊の魔力を宿してるのがかなり厄介だ…
私の魔力は森羅万象とは別の闇の力。そのため技では打ち消すことが出来るけど、それ以上に相性がいいとかは特にないのよね…だから痛い!シンプルに痛いのよ!あいつらもう気づくなんて厄介だわ!

「いい感じ!ノノとシュリちゃんに続くよ!…おっけいー!」

高速で魔力のこもった連撃を叩き込むノノとシュリに合わせヒアラも飛び上がる

「そろそろ倒れちゃえー!」

「あ~!ハエみたいにブンブンして厄介なのよ!まとめて消してやるわ!」

早くも少しダメージが出てきたペルセポネは魔力の壁を表皮に纏い3人の攻撃を防ぐとそれらの攻撃を肌に吸収し闇の力を圧縮させ始めた

「な、何!?」

ヘル・バースト!!!

強烈な勢いで360度に放出された爆発は3人をあっという間に飲み込む

「きゃぁぁぁ!!」

「ぐっ…ああぁぁぁあー!!」

「な、なにこれぇぇえー!?!?…まずい!私達はバフで耐えられるけどこの魔力…死の波動を感じる!リナさんやスズハさん達が危ない!!」

漆黒の闇はみるみる膨れ上がり後衛にいたリナやスズハに迫る

「マホロさん…!これは…」

「あぁ、流石にやばいな」

「これでお前ら全員死んで私の糧になれぇ!あはははは!!!」

「ぐうぅぅ闇から抜け出せないっ!…逃げてっ…皆!!」

しかし無常にも闇は凄まじい速さで膨張しスズハ達を飲み込もうとする…が、その瞬間眩い光が強く輝き何かがスズハ達を包み込み闇を押し返した

「なによこれ!?これ以上闇が広がらないわ!」

「はぁぁぁあああー!!!!」

「こ、この声は…!?」

「天啓強化…天啓覚醒っ…共鳴発動!!」

大きな雄叫びと共に闇を押し返す光を生み出していたのはなんと、マホロだった

「なによ…その力は!?私の闇が返されるなんて!!!」

「ぐっ…うあぁぁぁああ!!!!」

「マホロさん!無理はしないで!」

「ダメだ!もう誰も死なせない…!!もう俺の目の前で誰かが死ぬことは絶対に許さない!!はぁぁあああ!!!!」

マホロがさらに力を増すとペルセポネの闇は完全に光に押し返されペルセポネごと包み込む

「あああ!!何よこれ!痛い痛い…!知らない…こんなの知らないわ!こんな力が人間にあるなんて!!」

「はぁ…はぁ…捉えたぞ!」

マホロはペルセポネを包んだ光に向かって手を伸ばすとグッと手を握る。すると光は透明な光の箱となりペルセポネを囲うように展開された

「これは…まるで結界!?ぐぅ、体が重い…!」

「はぁ…はぁ…あとは頼んだぞ、皆…」

そういうとマホロは膝から地面に崩れるように倒れ、その目からは涙が零れていた

「…ら、ラッドさん、リードちゃん、私達生きてるにゃ…!」

「えぇ、流石にもう無理かと…」

「ふえぇ~ん!怖がっだよぉ~!」

リナ達3人は腰を抜かしながらも何とか寄り添い、生きている事に対して感謝していた

「マホロさん…すみません、無理させてしまって…ヒアラさん!ノノさん!シュリさん無事ですか!?」

「は、は~い!割と吹き飛ばされましたけど、バフもあるので全然大丈夫です!」

「俺も大丈夫です!シュリちゃんも一緒に!」

「ノノ…さん!離してください~!マホロさんが!!マホロさんは無事ですかぁー!?」

「大丈夫です!安心してください!」

「ほっ…良かった…」

無事だった3人も一緒に飛ばされた瓦礫の山から何とか這い出して体勢を整える

「今ペルセポネはマホロさんの光で弱ってます!結界は対象以外は出入り出来るので上手く使って攻撃を仕掛けてください!」

「「了解!」」

再び3人は攻撃を始めるが、今度は明らかにペルセポネの様子が違った

「きゃああ!やめて!痛い!痛い!怖いよ…やめて…!」

「!?…なんだ?弱っているとはいえ、明らかにさっきと様子が違うぞ?」

「分からない…でもチャンスだよ!やるしかない!マホロさんのためにも!」

「嘘泣きしても無駄です!マホロさんの仇は私がうちます!」

攻撃の手を緩めない3人の攻撃はどんどんペルセポネの肌を切り裂く。傷口から漏れる黒い粒子が少しずつ体の中から空へと上り消えていく。ペルセポネは泣きながら心の中で叫んだ

あぁ…嫌だ…やめて…せっかく目を覚ましたのに…この世に何年ぶりかの顕現だったのに!嫌だよ…もう1人にしないで…ハデス様…!!

(ペルセポネ…俺達も目指そう…あの高みを。)

「!?」

今のは…昔の記憶?眠っている間に忘れていた過去の記憶…っ!

目指す?何を?高みってなんだっけ…

分からない…まだ思い出せない。でも、昔のことを思い出してひとつ思い出したことがある!

それは…

「私はまだ!こんなものじゃないってこと!」

生命は死を近く感じると生き残るための手段をこれまでの人生の記憶の中から探ることがあるという。それは人のみにあらず、ペルセポネもまた精霊として、生きようとしていた

「こんな結界…破壊してやるわ!」

ペルセポネは大きな鎌をこれでもかと言わんばかりに振りかぶる

「ヒアラ!シュリちゃん!結界の外に!」

「分かった!」

「はい!」

3人は外に出て様子を見る。…が、ペルセポネは振りかぶったまま動かない

「な、何?何してるの?」

「分からないけど…嫌な予感がするな」

沈黙するペルセポネに恐怖を覚えたヒアラ達。嵐の前の静けさが戦場に訪れる
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