ヒアラ・キュアー

るろうに

文字の大きさ
上 下
66 / 75
2章

64話 未完の希望

しおりを挟む
リナがボタンを押すと突然キュアーの体に異変が起こった

「うっ!?な、に…これ…」

膝から崩れ落ちるように倒れたキュアーはなにかに怯えるように目を開きながら助けを求める

「ヒア…ラ、助けて…体の自由が効かない…」

「キュアー!何!?どうなって…、リナさん!何したんですか!?」

リナは申し訳なさそうな表情を浮かべながら機械を操作する

「ごめんね…キュアーちゃんの体を構築する膨大な魔力を研究で調べさせてもらったんだ。この装置は同じ波長の魔力を外から押し付けることで一時的に対象を操れる装置だよ」

「だめ…ダメ!ヒアラ私から離れて!次変身したらもう後がないよ!」

キュアーは必死に抵抗する表情を見せるが無情にも体はヒアラに向かって手を伸ばしている

「…え?後がない…?それってどういうこと?」

リナはその言葉に少し動揺を見せた

「リナさん…!私達の変身は制限があるんです!これで変身したら私達は命を削られる!もし今後さらに強大な敵が現れた時、私達が変身しないといけないとしたら…その時私達は死んじゃうんです!」

「そんな…そんなの森川さんからも聞いてないにゃ…なんでそんなこと今言うのにゃ!?命までかけてもらおうとは思ってなかったのに!」

「だからお願いします!これを止めてください!」

しかしリナの手が再び機械に触れることは無かった

「ごめんね…もう、プログラムを起動しちゃったから、中断出来ない。キュアーちゃんは合体するまで自由にはなれない」

そんな…

「ヒアラ!気合いでなんとかして!」

「そんな無茶な!?…リナさん!これで私たちを利用してどう復讐するつもりなんですか!?私達は手を貸したりしませんよ!」

「変身する時の膨大なエネルギー…それが必要なのにゃ。それを利用して呼び寄せる…破滅の神を!」

破滅の神!?

「そんなのダメ!何が起こるか分かりませんよ!」

「うるさいにゃ…!もう黙ってにゃ!!君達に私達の何がわかるの?望まない容姿で生まれて蔑まれて…生まれを理由に虐められたことがある?守ってくれる人は愚か人間の友達も出来ない、好きな人が出来ても恋愛なんか出来るわけない!私達だって…普通の生活をしたかった…。もう過去には戻れない…止めるっていうんなら私はこの思いを、怒りを…どこにぶつければいいのよ!!」

「リナさん…」

「もう早く合体しちゃえ!世界を変える力があるんでしょ!?私達の世界をお願いだから変えてよ…!もうこうするしかないのにゃ!」

振り返ると、キュアーが苦しそうに手を伸ばしている

合体、してしまおうか…?私は、私達は短期間ではあったが少しでもリナさんや他の皆に寄り添おうとしたことがあっただろうか?研究の間、リナさんは私達を騙すためだったとはいえどんなときも優しく相談を受けて、笑って寄り添ってくれた。今度は私達が…

《ヒアラの想い、分かるよ。でもそれは違う!これは私たちが2人で向き合わないといけないことだよ?合体しても何も変わらないよ!》

キュアーのテレパシーが聞こえてくる。…確かにそうだよね。ならやることはひとつしかない

「キュアー!魔力を最大限抑えて!合体の意思を全力で拒否して!」

「力を抑える…なるほど!分かった!」

しかし、キュアーが力を抑えようとした直前にヒアラの手が繋がる

「え?え!?ヒアラ待って…!まだ力が抑えられてないかも!」

「…え?なに…これ!?」

心の抵抗が少し緩んだその時、ヒアラの体は何者かに操られるように自由が利かなくなった

「なんで…!?キュアーしか魔力を調べてないはずじゃ…!」

だが、体は言うことを聞かずに2人は両手を繋ぐ

「ダメダメダメダメ!キュアー抵抗して!全力で!」

「やってるぅぅぅうー!!」

そして、2人は光に包まれる

生まれたヒアラ・キュアーは2人の拒む想いを体現し、鎧を纏わない不完全な姿で顕現する

ヒアラ・キュアー〈未完〉

キュアーの装備とヒアラの装備を合体させたような装備は2人の想いが現れており、心が一体となってないことを表すかのようだった

「やばい、ヒアラ・キュアーなっちゃったよ。…ほんとだねぇ~。ヒアラ、これからどうしようか?」

…?

「え!?私達もしかして、意思が混ざってない!?…え?うわ!ほんとじゃん!体ひとつなのに2人ともいる感じするー!同じ口で2人分喋るのちょっと面白いねぇ…って!そんなこと言ってる場合じゃないよ!力抑えられてないって!」

リナの方を見ると、リナは何か魔法陣を描いていた

「すごい…すごい…これがヒアラ・キュアーの力!この力なら本当に世界に復讐できる…!私達の思いも、やっと報われる!」

「リナちゃんやめて!リナさん!もういいでしょ!?解放してください!」

「…黙って見とくにゃ。君達には教えてなかったけどね、精霊は下位、中位、上位があって、その更に上があるんだよ。…それが超位精霊…!森羅万象を超越し国を滅ぼす程の力を持つ私が知る限り最強の精霊!!あまりにも莫大な魔力を必要とするからその存在は伝説となり今となっては誰も信じてないけど…これなら、召喚出来る!」

「超位精霊!?そんなの…ダメだよ…リナちゃん…精霊をそんなふうに利用したらダメだよ!」

しかしリナはついに魔法陣を完成させて真ん中に立つ

「あはは…ついに出来ちゃったにゃ…!もう、どうにでもなっちゃえ…。」

魔法陣はヒアラ・キュアーの膨大な魔力を溜めていた機械から吸い始めると禍々しい光を帯び始めた

ー闇を抱き、復讐を果たさん…冥界を統べる王の元で裁きをもたらそう。死地に花を咲かせるふつくしい女神の名は…

「現界せよ…!!ペルセポネ!!」

ヒアラ・キュアーは目の前の光景が信じられなかった

魔法陣から召喚されたそれは巨大で、膨大な質量を持って地下施設の天井を破壊し地上にその姿を表すしたのだ

「さぁ…復讐の開始にゃ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※毎週、月、水、金曜日更新 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。 ※追放要素、ざまあ要素は第二章からです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...