ヒアラ・キュアー

るろうに

文字の大きさ
上 下
64 / 75
2章

62話 その先へ

しおりを挟む
「あはは!もう殴り続けて5分!スズハさんボロボロじゃーん!血も流れてるし可哀想になってきちゃった。サイミっちもういいよ。トドメ刺しちゃって」

スズハが目を閉じてから5分間。その間ノノはサイミによって操られずっと攻撃を仕掛けていた。スズハは流血し全身痣だらけになりボロボロになっていた

「分かりましたよ。ノノさんトドメを刺しなさい!」

サイミが指示を出すとノノは渾身の突きをスズハのみぞおちに打ち込んだ

思わず顔をゆがめフラりと膝を着くスズハを見て喜ぶ2人だったが、何か違和感を感じる

「ん?なんだ?何故スズハさんから離れない?ノノさん!トドメを刺したらもういいですよ!離れなさい!」

スズハはゆっくりと目を開けるとノノを見つめた

「やっと…捕まえた。最後の一瞬、明らかに遅かった…あなたも…戦ってくれてたんだな…」

守りの魔力すら使い切ったスズハはゆっくりと倒れる

「なんだ…最後の足掻きでしたか!ははは!最強と言われたスズハさんもここまでのようですね!もう我々の邪魔をするものはいない!さて、そろそろ私達もラッドさんたちの加勢に行きましょうか」

「…待て」

スズハが倒れるのを確認した2人がその場を後にしようとしたその時、どこからか声が聞こえた

「ん?なんです?誰ですか?」

次の瞬間、目にも止まらぬ速さでサイミの膝を崩し拘束したのはノノだった

「…なに!?ノノさんは操っていたはず…!まさかスズハさんが最後に足掻いたのはこのため!?」

「そうだ!今度こそやられないぞ!よくもやってくれたな!」

「くっ…リードさん!」

「分かってる!」

リードが能力を使うとサイミは幻惑となり拘束をすり抜けて逃げ出した

「くそ!」

並んだ2人を前に考える。どうすれば催眠や幻惑をくらわずに戦えるのか…そもそも今の俺に倒せる術があるのか?

(刹那の天啓も使いこなしてね)

ふと少女の言葉が脳裏によぎる。刹那の天啓…一瞬だけ自分が有利な状況にする事が出来る強力な天啓だ。

…やれることをやるだけじゃダメだ。もっと進め!前を向け!常に上を見続けろ!

「スズハさん…見ててくださいね。俺、頑張ります!行くぞ!」

難しいことは無理だ。単純なことを突き詰めるしかない!

ノノは今できる自分の最高速で2人に襲いかかる。が、既に2人は幻惑になっておりぐにゃりと歪み消える。

そう、恐らくこの次もその次も、多重に幻惑をかけているだろう。でも簡単なことだ。全ての多重幻惑を振り払い生成するより早く追いつけばいい

ノノは広い部屋に無数に現れるリードとサイミの姿を瞬く間に消し去る

「あんたの攻撃が私達に届くことは無いのよ!諦めなさいよ!」

「諦めない!あんたに追いつくまで走り続けるだけだ!速さの先、そのもっと先へ!」

その瞬間、ノノはリードのサイミの姿以外の全てをシャットアウトした。視界に入るリードとサイミを無意識のうちに攻撃し意識は全て足の加速に回す

もっと…!!もっと速く!もっともっと…

「もっとだっ!!」

どんどん加速する足はついに視界に追える限界の速さを超えついにノノは音を置き去りにした

「なんだこれ!サイミっち~!!怖い怖い怖い!耳元で飛び回るハエの究極進化みたいな音が部屋中から聞こえるよ!」

「そんなことより幻惑もっとかけて!」

「かけてるけどどんどん追いつかれてもう無理~!」

「はぁぁぁぁあー!!!」

人智を超えた速さを手に入れたノノはついに幻惑を破り本体に迫る

「サイミっち!全方位催眠展開!」

「もうやってます!」

「ここだっ!刹那の天啓…能力無効化!」

サイミとリードに迫る一瞬、ノノの使った刹那の能力は、相手の天啓能力を無効化する効果だった

「刹那の天啓の一瞬は0.3秒間…たとえ人にとって一瞬でも…俺にとっては十分すぎる時間だ!!」

サイミとリードは天啓能力を消され無防備な姿を晒す

そして次の瞬間、一瞬のうちに2人ともノノに倒されていた

「うっ!やられる瞬間が分からなかった…悔しさも追いついてこないんだけど~!」

「リードさん…みくびってしまいましたが、流石は五大天啓と言ったところでしたね。我々の完敗です…」

「リベレーターとしてお前たちを拘束する!スズハさんが起きたらすぐに牢屋行きだからな!」

その後、拘束用に持ってきていた紐で2人を縛りスズハの回復をしばらく待つと、一旦地上の現場を収束させようということで4人は地上へと上がることにした

しかし、地上に出た4人が戦場を見に行くと、そこで目にしたものは想像を超える光景だった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時は少し遡り、ヒアラ達のほう…そこは微妙な空気になっていた

「ヒアラちゃん達、とりあえず話をしようにゃ。奥の部屋においで」

「リナさん!この状況説明してくれるんですか?助かります!」

ラッドとリナ、マホロとシュリ(クナイ)のバチバチな空気の中にひょっこり入ってしまいやるせなかった2人はリナの誘いが有難くついていこうとするが、マホロがそれを止める

「…待て。行くな、利用されるぞ」

「マホロさん…?利用されるってどういう…」

「ごめん。これは俺が悪いんだがこの2人はずっとこの展開を狙ってたんだ。お前ら2人が来た時のために準備をしてたようなことも言っていた。」

「え、そんな…リナさんほんとですか?」

「…………はぁ、ネタばらし早いねぇ~、マホロくん。これからが本番なのにそれはつまらないにゃ」

リナは残念そうに肩を上げると観念したように話す

「まぁ、じゃあその点も含めて話しちゃうからさ、とりあえずおいでにゃ。別に警戒してていいから」

「わ、分かりました。…キュアー、行こ?」

「うん…」

「おい!ちょっと…」

何とか言いくるめられ奥の部屋に入っていく2人を止めようとしたマホロだったが、それはラッドによって阻止されてしまった

「あなた達の相手は私ですよ。…ふぅ、普段から戦闘なんてしませんから疲れますね」

「する必要が無いだろ。もう二度としなくていいように拘束してやるから安心しろ。行くぞ、シュリ」

「はい!ヒアラさん達の方も気になりますし、全力ですぐに終わらせます!」

分断されたマホロとシュリは再びラッドとぶつかった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかばEX
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

処理中です...