ヒアラ・キュアー

るろうに

文字の大きさ
上 下
59 / 75
2章

57話 進化の兆し

しおりを挟む
「ドラウザさん!両国とも動き出しました!」

「よし、戦場を上手く誘導するんだ!地形変更スキルを持ったものを両国に当てろ!まともに当たれば死人が出る恐れがあるからな。貿易ルートだけ避ければ最悪御の字とする!あとはスズハさん達に任せるしか無い…」

「そうですね。洗脳されているようでしたら我々では止められませんから、これが最善だと思います」

「多分敵もまだ準備段階だったんだろう。兵力が全然集まっていない。拠点の規模から推測すれば数は目標の3分の1といったところか。これなら我々でも何とかできるはずだ」

ドラウザはドローンからの映像で戦場をリアルタイムで監視し地形変更班に指示を出して戦場を操作している

本来人間であれば地形の変化などには敏感だが洗脳された兵士たちは違和感に気づくことも無く道なりに進んでいる

ぶつかる前にスズハさんが終わらせてくれればいいが…もし間に合わなくても異常事態だけは起きないでくれよ…

両国の衝突予想時刻まで残り40分…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…!?なにこれ、変な魔力の人達が一斉に動き出したよ!多分戦争の人達かな!?」

「戦争はスズハさん達が何とかしてくれる!信じよう!私達はマホロさんの方に!距離はどのくらい?」

「あと20分あれば着くとおもーう!」

「おっけー。飛ばそう!」

森を全速力で走り抜けるヒアラとキュアーも戦争の動向を確認し状況の緊迫感を感じていた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃マホロとシュリはラッドの底知れぬ力を前に攻めあぐねていた

「シュリ!大丈夫か?」

「……」

くそ…!かろうじて立っているが少し意識を失っているな。無理もない、強引に脳震盪を起こされているようなものだ。まだ幼いシュリに耐えられるはずがない

「どうしました?まさかこの程度で最強と呼ばれていた訳では無いですよね?マホロさん。…まぁ、この空気の壁は恐ろしく強力で全く動けそうにないので…天啓スキルは言うだけのことはありますが」

「……」

どうする…正当防衛として戦ってはいるが下手に殴れないこの状況、シュリの火力で無力化出来れば抑えられるかと思ったが難しいか…?

「マホロ…さ…んっ!」

「シュリ!?目が覚めたか!」

すぐ横でフラフラとしながらシュリがようやく目を覚ました

「私、立ちながら気絶してました…?どのくらい…」

「ほんの数秒だ!状況は把握出来てるか?意識をしっかり持て!すぐに対策をして反撃するぞ!」

「大丈夫です…!対策も考えました!」

シュリは再び走り出すと手裏剣に加えクナイを放り投げラッドに向けて飛ばした

…そういえばシュリって名前だから日本由来の手裏剣を教えはじめて、それに付随してクナイの投擲を教えてたんだが、偽名をクナイにしたことでややこしくなってるんだよな。気に入ってるのか…?

20を超える数で展開された手裏剣とクナイは先程と同様にラッドに迫る

「数を増やしたところで変わりませんよ。はあっ!」

ラッドは再び口から衝撃波を放ち空中の手裏剣を落とす…が、クナイはなんと弾かれずにラッドへと飛んでいく

「なんだ!?…はぁっ!」

しかし2度発せられた衝撃波によってクナイは弾かれてしまった

「まさか…クナイを空中で操作して左右の微弱な動きを追加し私の振動を相殺しようとしたのか…?」

「その通りです!次は、当てます!」

シュリは再び啖呵を切ると仕込んでいた残りの手裏剣とクナイを全て放った。その手裏剣とクナイは先程以上にぶれるように振動しラッドに迫る

「いけ!シュリー!」

「………ふざけるな…ふざけるなよ小娘がぁ!!」

「!?」

観念したかのように少し俯いていたラッドは急に怒りを増したように激昂し雄叫びを上げた

その雄叫びは地下アジト全体を震わせるとマホロとシュリにもとてつもない威力の衝撃波となり壁へと吹き飛ばした

「がぁっ…!」

「ぐっ…!」

しまった…ラッドを抑えていた壁が一瞬とけた!

「うぉぉああああ!!!!」

ラッドは全身を毛立たせると狼の様な姿に変化を始めた

「あれは…獣化!?出来る世代はとっくに終わってるだろ…」

「いえ…あれは恐らく一時的な効果で獣化し戦闘力を上げる麻薬だとおもいます」

獣化とは細胞改造の過程で野生の血が強く残っていた種族にのみ可能とされていた特殊能力で、身体能力を底上げし天啓すらも効果が強化されるといわれる獣人特有の恐ろしい能力だ。

しかしその代償は大きく、使う度に寿命を削ってしまうため長い間獣人達の間では禁断の技として使われないでいた。そのため遺伝子が退化し現代では変身できる獣人は滅んだとされているのだ

「ドーピングってことか…?」

「恐らく…ラッドさんの研究で獣人の戦力向上的なのを見た気がします」

「なるほどな…と、いうよりシュリ、さっきの衝撃波大丈夫だったのか?」

「はい…自分自身を振動させて波を緩和させました」

「……なるほど。シュリ、今のシュリなら出来るかもしれない」

「出来る?何が、でしょうか…」

「…天啓の、強化だ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...