ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

52話 緊急招集…?

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「ヒアラちゃん、キュアーちゃん。知ってるにゃ?最近このアニマストの周辺国が戦争をするとか何とかって話」

「え?なんでですか!?知らないですけど」

修行と研究の休憩中、リナは突然2人に戦争の話を持ち出してきた

「いやぁ、なんでもね?その戦争が起こると予想されている戦地がアニマストの輸入経路とガッツリ被るらしくて、それを阻止するためにうちの国からも軍が動いてるらしいにゃよ。しかも最悪なことに、ここの研究を戦力に活かすためとか言ってさ、この前リードちゃんとサイミくんが戦場の前線基地に招集されちゃったんだよ!」

「えぇ!?リードさんとサイミさんが!?ここに来てからあんまり関わってなかったですけど、たまにすれ違った時はそんな戦争に行く話とかしなかったですよ?」

「うーん、結構いきなりだったみたいにゃ~。私とラッドさんもそのうち呼ばれたりするのかにゃ~」

「どうでしょうか…戦場は危険ですからそんなことにならないといいですけど…」

仮にもラッドさんはこの研究所の管理人だし大丈夫だと思うけどリナさんが招集されちゃったら私達どうなるんだろ…一緒に駆り出されたりしないよね?

「う~ん、私魔獣相手ならまだしも本気で人と命のやり取りするのは嫌だなぁ」

キュアーも考えることは一緒なようで珍しく弱気の様子だった

少し休憩するとキュアーはリナが研究用に用意したカプセルへと入り、私はシミュレーションルームを使って新しいスキルの習得や練習、様々な状況での戦闘をイメージして特訓を行った。でもどうしても私は人より魔力保有量が少ないため治癒の魔力は武器に貯蓄した分も含めて1日3回までしか使えないとの判断だった。それ以上は私の体に負担がかかり生命力が低下してしまうとの事だ

「ヒアラちゃんは肉弾戦は出来るようだし、継続戦闘力を高めるためにもあんまり使わない方がいいにゃ。それに治癒はかなり貴重だし他のリベレーターは基本ヒールのみだからなんとかなるにゃ~」

リナはデスクに座りキュアーの解析を続けながらも私の戦闘データや身体能力のパラメータを見て細かく指示してくれた

「ありがとうございます。リナさんの方は何か分かりました?」

「う~ん、キュアーちゃん…正直かなり難しい…こんな精霊見た事ないよぉ、正体どころか魔力系統すらまだかかりそうかもにゃ…」

まぁ、そんな気はしてたな。当のキュアーは…なんか誇らしげにドヤ顔してるけど

「でも魔力量で精霊のレベルが違うんだとすると実体があるキュアーは上級より上ってことですよね?」

「理論上はね~、でも普通にありえないんだよ。上位の上は人1人が生み出せる存在じゃない。それこそ100%純度の精霊を呼び出すには1万人が必要、いや…それでも純度や濃度の違いから考えて無理だと思うにゃ」

「はぁ…そう聞くとほんとになんなんだろ?人間と精霊のハーフとか?」

ふと考えついた事を言ってみるとリナは次の瞬間固まった

「そ、それかもにゃ~!そんなこと考えたこともなかったにゃ!そうか…実体があるのは魔力100%の精霊じゃない、人間の肉体を持ちながら体の仕組みは精霊に近くなってるんだにゃ!納得がいったにゃ~」

リナは閃いたと言わんばかりにカタカタとキーボードを爆速タイピングし始めた

「うんうん、所々当てはまらない事もあるけど、おおよそ間違いなさそうにゃ!謎が解けそうかもにゃ!」

「おぉ~、良かったです!キュアー、残念ながらあんた人間だったみたいよ」

「えぇ!?そうなの!?私精霊だと思ってたんだけど!?」

「あはは、残念でした~!」

キュアーはカプセルの中で横になりながらだったが悔しかったのかモゾモゾともがいていた

「ふぃ~、色々と進んだ日だねぇ今日は。でもまだ調べたいこと沢山あるからヒアラちゃんは修行続けてほしいにゃ~。キュアーちゃんは人間だったとしても限りなく精霊に近いからその力を発揮出来るように色々魔力調整出来ないか試してみるにゃねー」

「は~い。私寝てるだけでいいのかなー?」

「うん!大丈夫にゃ~」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後2日、周りの情勢が動く中、そんなことは何も知らない2人は何事もなく修行と研究によるパワーアップをしていたが、ついに2人のところにもその影響が出始めた

「リナ、ちょっと…」

いつも通りのんびり話しながら修行と研究をしていたところでラッドが扉から入ってきてリナを呼びつけた。この8日間、そんなことは1度もなかったためヒアラとキュアーは何か嫌な予感を感じていた

しばらく遠くで話した2人は一旦解散してリナだけ戻ってきた

「ヒアラちゃーん、キュアーちゃんごめん~、今サイミ達から連絡来たみたいで私達も明日から戦地に招集されるみたいにゃ~」

「え!?今の特訓がもう少しでものになりそうなのに!」

「私も魔力練るの今日までだったのに!もしかして完了しない!?」

2人ともリナのスケジュールで今日1日でキリがいい所まで行く予定だったので激しいショックを受けた

「いやいや、今日中はちゃんと見るよ。安心してにゃ~。夜準備するからヒアラちゃんとキュアーちゃんはここまで。でも、また近いうちに会えるかもにゃね」

「あ~良かった!はい!是非またすぐ会いましょう!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「そういえばリナさん達って戦場で具体的に何するんです?」

修行も終わり、時刻は20時を示していた。ヒアラとキュアーは最後にお別れをしようとリナの準備を手伝っていた

「ん~、まぁ色々だよ。ヒアラちゃん達には難しいかにゃ」

「あはは、そうですよね。…不安だな、また会えますよね?これでもし最後とか悲しすぎますよ」

「もーうヒアラったら!そんな心配する事ないって!そんなに心配なら一緒について行けば?」

「こらこら!まだ若いんだからそういう命の取り合いに参加するのは早いにゃ。それに私達は強いから大丈夫だし着いてこなくていいにゃ。…来るなら色々準備が終わってからで…」

リナは最後にボソッと呟いたが声が小さくてあまりきこえなかった

「え?」

「んー!なんでもないにゃ!それより手伝ってくれてありがとう~もう大丈夫だから2人は久しぶりの宿で疲れをゆっくり癒しておいでにゃ~」

リナは戦場に行くにも関わらず、私達に怖い感情を見せないためか笑顔でお別れを告げてくれた

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ふぁ~正直強くなった実感湧かないにゃ~!」

「キュアーさん?語尾が移ってますけど」

「えへへ、でも実際この1週間とちょいずっと研究所に寝泊まりしてリナさんと一緒にいたからロスな感じすごくない?にゃ~が聞こえないと物足りない感じするんだけど!」

「まぁ、それは確かにあるかも」

話しながら宿に久しぶりに帰ってきた2人だったが、ノノやスズハ達が待つであろう部屋に顔を覗かせてみると、誰もいなかった

「…あぇ?」

「ん?えっ、もぬけの殻ですか…?」

…どうなってるんだ?

2人の思考はしばらく停止したままだった
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