ヒアラ・キュアー

るろうに

文字の大きさ
上 下
53 / 75
2章

51話 それぞれの進展

しおりを挟む
シュリが攫われてから早くも4日目…追いかけてすぐの時は追いつけると思ったが1度巻かれたらその後は大きな手がかりもなくマホロは1人さまよっていた

「シュリ…どこだ…?」

まだ危険な状態では無い…あの夜俺の防御スキルを安全装置としてシュリに付与しておいたが、それが作動した様子が感じられない

思い当たるのはやはり3年前の事件…あの時シュリを狙ってた連中か、その仲間だろう。事情が事情だったから咎められずにずっと野放しにされてたんだろう。クナイに扮してたうちはバレてなかったんだろうが…

「俺のせいか…」

俺が合流したせいでシュリという名前で村の外に出てしまっていた。それを誰かに盗み聞かれたのだろう

俺の責任だ、絶対に助ける。…

マホロは微かに感じる自分の残した魔力の痕跡を追ってまた走り出した

アニマストに来てから6日目、明日にはヒアラやキュアーの様子を見に行くという約束もあるから何としても助けなければと焦っていた

それから約2時間程経った頃、曖昧だった魔力の痕跡がはっきりと認識することが出来た

「…掴んだ。こっちか」

真っ直ぐ魔力の方に向かうとそこは明らかに正式な地上への道では無い穴が空いていた

「…地上?」

久しぶりの日差しに構えるも、そこは森の中だった

「…巨大樹か」

辺りを見回すとすぐ気づくレベルの大きさで巨大な木が佇んでいた

「まだ奥だな」

しかし、そんな巨大樹は痕跡とは関係なく、マホロは痕跡を追って森を抜けていく

しばらくすると、また地下に続く洞窟を発見した

「ここだな」

マホロは周囲を警戒し遠隔シールドの壁を周囲に浮遊させながら洞窟の中を進んで行く

すると、森には似ても似つかない金属の壁がそびえ立っていた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃…

「の、ノノさん…これはどうしましょう…」

「ど、どうしましょうって言われましても…!」

2人は一緒に来た5人組に連れられてアニマストから遠く離れた地上の建物まで来ていた。しかしそこで待ち構えていた獣人の軍隊?に囲まれたのだ

「ハリオ!誰だその2人は!人間じゃないか!捕虜か!?もし裏切りなら撃つぞ!」

ハリオと呼ばれた男は一緒に来た連中のリーダーだった。そういえばここに来るまでの移動に3日かけてきたのに名前すら聞いてなかったな

「ち、違う!この方達はリベレーターで協力者だ!しかもかなり強力だぞ!日本のリベレーター最強と名高いスズハさんと速さの天啓持ちのノノさんだ!」

「何?リベレーターがなんでこんなことに関与してきているんだ?すごい方なのは分かったがそれこそ巻き込んじまうのはいけないだろ!」

さっきから囲んでいる獣人の中で1人話しかけてきているあの人は恐らくこの集まりのリーダーなのだろう。緊迫感のある対応だが、リベレーターには経緯を払っているのが伝わってくる。やっぱり獣人は基本的にリベレーターに対して悪い印象は無いみたいだ

「すみません、私達、ハリオさん達の行動を目撃してしまって…最初は怪しんでいたのですが事情を聞いたら何とか手助けできないかといてもたってもいられなくて…」

「ハリオ…お前話したのか?無関係のリベレーター、それにスズハさんは多分あれだろ…3年前もこの国を救ってくれた英雄パーティの…」

「え?そうなんですか!?」

え?そうなの!?俺も知らなかった~!

思わずスズハにアイコンタクトをするとスズハは少し恥ずかしそうにしながらもこくりと頷いた

「ハリオお前…はぁ、知らなかったのか?あぁ、まぁお前はあれか、3年前の当時はこの部隊に入ってなかったから戦線の話を詳しく聞けてなかったのか」

「は、はい…すみません」

「いや、いい。スズハさん、ノノさん。ご無礼を働いてしまい申し訳ありませんでした!我々も現在緊迫した状態にありまして、油断が出来ないのです」

リーダーの男は囲んでいた獣人達に合図をして構えを解かせると元の配置に戻るよう指示をした

「ご挨拶が遅れてしまいました。私はこの軍を率いるドラウザと申します。スズハさんが来てくれた3年前はまだ下っ端でしたので、覚えてはいないかもですが、一応同じ戦場に赴いていました」

「ドラウザさん…もしかして、無力化した獣人を捕縛する部隊に入ってました?」

「あ!そうです!覚えててくれたんですか!?」

「ふふ…覚えていますよ。同じ戦地で命を賭ける者同士ですからね」

スズハとドラウザはまさかの再会を果たしたようですぐに意気投合して仲良く話していたが、昔のことを何も知らない俺からしたら疑問に思うことが多々あった

「スズハさん、3年前の戦いって、魔物に襲われたとか、今回みたいに他の国から襲われたとかじゃないんですか?獣人を捕縛って…」

「……複雑な戦いでした。3年前の戦いは獣人と獣人のぶつかり合いだったんですよ。とある事をきっかけに人間に牙を向こうとした獣人達がテロを起こしたのです。そしてそのテロの目的遂行のための鍵となる天啓を持った少女を巡って防衛隊、及び私達とテロリスト集団が激しい戦いをしました。それが3年前の事件…反異種交配テロでした」

「…反異種交配テロ?」

なんだそれ?異種交配なんて変態プレイが好きなやつくらいしかやらないだろうし、それを咎めるルールなんてのも無かっただろ?そんな事にテロして何をするんだ…

「まぁ、スズハさん…この話は少し重い。今は関係の無い事ですし、とりあえず基地内に入って今の戦況を伝えますので、目の前のことに集中しましょう」

ドラウザは少し悲しそうな顔をしていたがすぐに笑って流すと俺達を基地内に案内してくれた

奥の部屋に入ると大きな地図や作戦会議用の書類など、少し散らかっていたがいかにも戦場基地って感じの部屋が広がっていた

「ハリオから少し話は聞いていると思いますが、我々は様々な国と外交をするため周辺の各国に大使を遣わせています。しかしこの度、その大使達から一斉にロシアとアジア連合の戦争を仄めかすメールが届いたのです。」

「アジア諸国と聞いていましたが、連合になる感じなんですね、火種は何ですか?」

「そこなんです。それがどんなに調べてもいまいち戦争のきっかけというか火種になる出来事が分からないんですよ。」

「火種が分からない?どういうことですか?そんな曖昧な状態で戦争なんて起こるわけ無いと思うんですけど」

スズハは真剣な表情でドラウザと話をしている。俺も内容は理解出来るがこんなに入り込んだ事は難しいので黙っておくことにしよう

「そう、普通ならそんな状態で戦争なんて起こるわけが無いのです。しかしそれぞれの国から宣戦布告が出ているとの事でしたので、我々も万が一の状態に備えてい動いている感じです」

「宣戦布告がもう出ているんですか!?両国のぶつかり合いはいつに?」

「それが…4日後で…」

「4日後!?早すぎる。明らかにおかしいですよね?きっかけが分からない曖昧な状態で宣戦布告までして、恐らくお互い準備もまともに終わらないはずなのに…。私達の動きの理想はどこで着地させたいんでしょうか」

「出来れば原因を追求して4日後までに両側の代表を説得し、戦争を辞めさせることです。もし出来なかったとしても最悪戦場を変えたいですね。現時点だと予想される戦場はこの荒野あたり…我々アニマストが貿易で利用する重要な経路を含んでいるので、もしぶつかったら少なくとも西側からの供給は半年近く断たれると思われます。それだけで物資や食料の大半が失われる訳ですから、アニマストの市民の大半は餓死してしまうことでしょう」

「それは絶対に阻止しないといけませんね。実質あと3日…私達も全力で状況の解決に協力します。何かあればすぐに情報を送ってください」

スズハはリベレーター端末をドラウザに登録してもらうとすっと立ち上がった

「ノノさん。2人で何とかしましょう!必ず!」

「は、はい!」

思わず返事してしまったが若干置いていかれてる感ある!?まぁ…とりあえずアニマストがやられるのだけは阻止しなければなので全力で応えようと心に誓った
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち

ぺきぺき
恋愛
Side A:エリーは、代々海馬を使役しブルテン国が誇る海軍を率いるアーチボルト侯爵家の末娘だった。兄たちが続々と海馬を使役する中、エリーが相棒にしたのは白い毛のジャーマン・スピッツ…つまりは犬だった。 Side B:エリーは貧乏なロンズデール伯爵家の長女として、弟妹達のために学園には通わずに働いて家を守っていた。17歳になったある日、ブルテン国で最も権力を持つオルグレン公爵家の令息が「妻になってほしい」とエリーを訪ねてきた。 ーーーー 章ごとにエリーAとエリーBの話が進みます。 ヒーローとの恋愛展開は最後の最後まで見当たらないですが、ヒーロー候補たちは途中でじゃんじゃん出すので誰になるのか楽しみにしてください。 スピンオフ作品として『理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました』があります。 全6章+エピローグ 完結まで執筆済み。 一日二話更新。第三章から一日四話更新。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

クラウンクレイド零和

茶竹抹茶竹
SF
「私達はそれを魔法と呼んだ」 学校を襲うゾンビの群れ! 突然のゾンビパンデミックに逃げ惑う女子高生の祷は、生き残りをかけてゾンビと戦う事を決意する。そんな彼女の手にはあるのは、異能の力だった。 先の読めない展開と張り巡らされた伏線、全ての謎をあなたは解けるか。異能力xゾンビ小説が此処に開幕!。 ※死、流血等のグロテスクな描写・過激ではない性的描写・肉体の腐敗等の嫌悪感を抱かせる描写・等を含みます。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...