ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

48話 久しぶりの歓迎

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また時は遡り、ヒアラとキュアーが特訓を始め、ノノとスズハがショッピングを始めた頃

ノノは1人とある場所に向かっていた

1人黙々と進んだ先で辿り着いたのはスズハ達が向かっていたノールの村とは別の村であるシャルハ村だった

「……変わらないな」

村に入ると数年前と変わらない景色が広がっておりどこか懐かしい気分になった

「あら?あなた…?もしかしてマホロちゃんかい?」

「……?」

「あらぁ!やっぱりそうじゃない!懐かしいわね!何年ぶりかしら?」

「…3年くらい?」

「あらやだもうそんなに経っちゃったのかしら!歳とったら早く感じちゃうのやだわねぇ~!それにしてもマホロちゃんは相変わらず大人しいわねぇ~!」

突然話しかけてきたその獣人の女性は3年前の出来事の際に色々とあって顔見知りになったタミエだった

「…シュリは?」

「あらやだ、マホロちゃんってばやっぱりあの子に会いに来てくれたのね!妬けちゃうわぁ!」

や、やりづらい…いちいちオーバーでテンションに置いていかれるんだこの人は

「シュリちゃんは今色々とあってね、ミスティに出てお仕事をしているわよ」

「…え、シュリが?危ないんじゃ…」

「んもう、マホロちゃんってば、心配性なのは嬉しいけどあの子も村の皆に支えられて立派に成長したのよ?もう昔みたいなことは…無いと思うわよ。」

タミエは最初こそ笑いながらだったが、昔を思い出してか、少し懐かしむような表情で呟いた

「まぁ、夜になれば帰ってくるわよ。3年前のこともあって街では偽名を使っているそうだけど、なんて言ったかしらね…忘れちゃったわ。とにかく村の皆きっとマホロちゃん見たら喜ぶわよ!顔だけでも見せに行きなさいね!」

「…わかった」

シャルハの村はそこまで広くなく、多くても20棟あるかないかくらいだ。そういうこともあり村の中で少しでも何か変かがあれば一瞬で村全体に広がるようになっている

そのため…

「あ、あの…」

「お!マホロ!待ってたぞ!遅いじゃないか!久しぶりだな!またアニマストに来るなら連絡よこしてくれてもいいのによ!?」

「は、はぁ…(なぜもう伝わっている?)」

15分後…

「あの、」

「あー!マホロ君!さっきタミエさんから聞いたよー!またしばらくここにいるんだって!?どのくらい滞在するの!?今日はみんなでお祝いだー!」

「いや、疲れるから…」

さらに20分後…

「あっ…」

「あら!マホロさん!ちょっと待ってね…あなたー!マホロさんがいらしたわよ!」

「おー!良かった!急いでお祝いの品を買ってきてて良かった!うちにだけ来ないんじゃないかと焦ったぜ!」

「……はぁ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そしてマホロが全ての住人に顔を見せた頃にはすっかりよるになっていた

(道中会う人とかも含めて全部の家を回ったわけじゃないのにこの時間…)

そして夜という事は…

「ほらマホロちゃん!みんなもう準備できているよ!久しぶりの再会なんだ!盛大にお祝いさせてくれよ!」

「お祝い…?」

そう、マホロにとってはすごく辛い、人情に厚い人達からの歓迎パーティだ。
村の中でも広めの民家を会場にして村中の住人が集まっていた

「お、お邪魔します…」

「お邪魔なんてまたまた~!ほら!座った座った!マホロ君が好きかと思って!ほら!日本食の寿司!買ってきたよ!」

「どうも…(生魚そんなに好きじゃないとか言えないな…)」

総勢何人くらいだろうか、50人くらいはいる。ほんと勘弁してくれ…

しかし、村人たちは待ってくれず、まるで結婚式のようにマホロのテーブルに一人一人挨拶と飲み物の差し入れを回し始めた

30分程経った頃、全員が周りきろうとしたその時、タミエがキョロキョロしだした

「マホロちゃん、ごめんねぇ?シュリちゃんもうそろそろ帰るって連絡があったんだけど…」

「心配だな、迎えにでも…」

「大丈夫よ!そこまでは心配しなくていいわ!もう2年くらい毎日なんだもの、あの子もしっかりしてるわよ!」

「そうか…」

その後もシュリは現れずしばらく宴会は続いていたが、23時を回った頃に入り口の方が騒がしくなった

「シュリ!やっと帰ったか!マホロ君来てるぞ!久しぶりだろ!命の恩人なんだからちゃんと挨拶しとけよ!」

「え…!?マホロさん!?え、えぇっと…先に着替えてくるね…」

姿は見えないが玄関の方から声が聞こえた。3年前以来なので久しぶりな気もしたが、その声は何故かあまり懐かしさを感じさせなかった

シュリが帰ってくると、これから盛り上がると思いきや何故か村人の皆は帰る支度を始めた

「あー、楽しかったぜ!マホロ君!この後シュリちゃんと楽しんでな!」

「…え?」

「マホロさん!ファイトですよ!」

「…いや、特に何も無いんだが」

なんだ…?なんの応援なんだ?

村人の皆が片付けを終え解散するまでそう長くかからなかった。

やっと静かになった家の中でぐったりと待っていると自宅で着替えてきたシュリがやってきた

「あの…!お待たせしまし…あれ?みんなは!?」

「何言ってるのよシュリちゃん!みんなもう楽しんだからあとはシュリちゃんに独り占めさせてあげようとしてるに決まってるじゃない!」

「ふぇ~!?や、やめてよそんなの~!恥ずかしいじゃん!」

「いいからいいから、ほら、リビングにマホロちゃんいるわよ!」

「う、うん…」

タミエさんの丸聞こえな話を聞いてしまって逆に気まずくなってしまったが、いよいよ再会なので少し緊張した

「…あっ、マホロさん…」

「…シュリ。久しぶりだね」

ドアの方から恐る恐る姿を見せたシュリはまだ小柄ではあったが、すごくしっかりした女の子に育っていた。長かった髪も短くして若干おめかしもしているように見えた

「あ、久しぶり…?ですかね?」

「…うん。そうか、獣人は成長も早いから時間の流れも早く感じるよね」

「そういうもの…ですか…ね?(小声)むしろ遅い気が…」

「…元気にしてた?」

「あっ…はい!今日はあれ以降何も問題なく帰宅出来たので危険とかは無かったですね」

シュリは少し緊張しているのか、一つ一つの言葉選びを少し迷っているようだった

「…?…そうか。仕事してたんだよな。昔の出来事を克服して偉いぞ」

「ありがとうございます!マホロさんに助けられたこの命、大事にしろとは言われましたけど、無駄にするのも嫌だったので自立して将来活かそうと思いました!マホロさんは元気そうでなによりです!あの後は真っ直ぐここに来られたんですか?」

「あの後?…いや、今日はパーティの皆とは別行動しできたんだ」

「はい、知ってますよ?」

「…?なんでだ?」

シュリにそんな能力あったか?天啓のジャンルは関係なさそうだったが…

「いや、なんでも何も、いたじゃないですか!その場に!」

????なんだ?何が起こっている?

「隠密…!?」

「いや、ほんとに気づいてないんですか?私ですよ、クナイですよ!今朝案内したじゃないですか!」

「え゛」

「仕事の時は偽名でやってるんですけど、それ関係なしに気づいてくれてたと思ってましたよ!マホロさんだけ素っ気なかったので知り合いがいて恥ずかしかったのかと…」

「いや、あれが普段の俺なんだが…」

「え!?こんなに優しいマホロさんがあんなにクールな感じなんですか!?」

「あぁ、そこは別にいいんだが、ほんとにクナイがシュリなのか…?服やメイクが違うのは分かるが、全然違うぞ」

そう、クナイはなんというか、出来る弟子のような…優秀なアシスタントのような雰囲気だった。シュリは元々温厚で泣き虫でふわふわした印象だったのに…!

「獣人は匂いとかでも色々バレるので身なりだけでなく毛並みや匂いもカモフラージュしてるんです。声だけは変えられないですけど」

「なるほど…どうりで声があんまり久しぶりに感じなかったわけだ。ただの違和感じゃなかったか」

「ふふん!でもマホロさんでもバレないとは、これで安心出来ます!」

「…明日、亡くなった皆のお墓参りをしようと思うんだ。シュリ…クナイ?の予定がもし合えば一緒に行かないか」

「ふふ、2人の時は仕事関係ないですからシュリでいいですよ!明日は特に予定無いので大丈夫です!1週間後にヒアラさん達の様子を研究所まで見に行くんですけど、それまではある程度自由が効きますね!」

「…そうか。なら良かった。明日はよろしくな」

「はい!………あの、それで…」

明日の約束も済んだので解散しようとするとシュリはもじもじとしだした

「…?トイレか?」

「ち、違います!その……今夜は…マホロさんどこで寝るんですか…?」

「…確かタミエさんに強引に家に来いって言われてた気がするけど」

断れる状況じゃなかったのは言うまでもない

「じゃ、じゃあ!その…私も一緒に…」

「?」

「わ、私も一緒に!ご一緒させて頂いてもいいですか…?」

「なんだ、そんなことか。タミエさんがいいならいいんじゃないか?」

シュリは昔から甘えん坊だったからな。懐いた相手にくっつきたいのだろう

「もう…!マホロさんの鈍感!」

「…?」

何故か怒ったシュリは部屋から出ていきタミエさんの家に一足先に走っていった

「…仕方がないやつだ」

まぁ、本気で怒ってるようには見えなかったし明日には機嫌も治すだろう

マホロはパーティ会場の家主に挨拶をするとタミエの家に向かった
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