ヒアラ・キュアー

るろうに

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1章

29話 連携

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「覇王龍は修復能力があります!修復する前に叩くか核となる部分を探す必要があるかと!」

「修復ぅ~!?そんなの見た事ないよ~!墨枝!なんか出来ないかな!」

「ぇぇ!?わ、私ぃ~!?うーん…修復かぁ…そーゆーのって大体血とか組織レベルで成り立ってるものが多いから、まぁ…体液さえ見えたら私の能力で何とかできるかもです~!」

「私と紙織は攻めるから、墨枝はバフだけかけてくれたらあとはそっちに集中して。」

アカネと習字ガールズの3人は敵からの攻撃をかわしながらテキパキと作戦を練っていく

「す、凄い…これが上級探索者のレベルか…簡潔でありながら的確!それにこの敵の規模に対しての回避行動なのに息切れひとつ起こしていない…伊達じゃないな…」

「ノノさん!私達は斬撃で皮膚、及び鱗を破壊します!その後魔法耐性が無くなった部分に筆子さん、紙織さんの攻撃を叩き込みます!ついてきてください!」

「了解!」

駆け出す2人は覇王龍の両手を掻い潜り再度右手を狙う

「今です!」

アカネの掛け声で2人は攻撃態勢に入る…が、次の瞬間覇王龍はこちらに向かい口を大きく開いた

「「!?」」

大きなグググ…っといった音がどこからともなく聞こえ、覇王龍の腹から喉、そして口に向かい青白い光が伸びていく

「まずい!ノノさん!」

光が喉に届いた瞬間とてつもなく巨大な光線が放たれる

「飛んでぇぇーー!!!!」

大きく飛んだ2人はアイコンタクトで次の動きを合わせようと再び空中で体勢を整える

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2人が光線を避けようと飛んだ隙を狙って、3人はそそくさと準備を始める

「筆子~!今のうちに出して!2人分!」

「分かった。スキル:具現化!」

すると筆子は三つ編みに結んだ毛先を筆のようにして空中に大きく光線銃と書く

すると空中に刻まれた光線銃の文字が光だし、変形していく。光が収まるとそこには実際の光線銃が具現化していた

「これ、まず紙織の分。」

続いて自分の分も具現化すると2人は覇王龍に向かって構える

「墨枝~!よろしくね☆」

「わ、分かってるよぅ~!スキル:液体創造、魔力伝道水!液体変換、光線!」

墨枝がスキルを唱えると空だった光線銃のエネルギー貯蔵庫にたちまちエネルギーが溜まり、輝き出す

「あとは合わせるだけ…2人とも、頼むよ~♪」

地上組は準備を終え、上空の2人の攻撃を待つ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ノノさん!このまま合わせます!肘関節部に集中!」

「任せろ!」

…アカネさんはほんとに凄い。たとえ剣聖とはいえ、伊達に場数をこなしていないのだろう。合わせ、火力、指示、全てにおいて完璧だ。それに、速さもある…

刹那が混ざった今の俺は速さですら少し劣る…それじゃダメだ。今ここで決めないと、ここのみんなだけじゃない、日本中が危険に晒される事になる!いつか馴染んで成長する?そんなこと言ってる暇ない!

今!やるんだ!越えろ!天啓が混ざって劣化するはずがないんだ!越えろ!!越えろ!過去の自分を!越えろ!弊害なんてあってたまるか!!

「ノノさん!今ー!!」

「はぁぁああ!!!!!」

スキル:天を裂く剣スカイグラディウス

スキル:刹那一閃!

2人の渾身の一撃は予想を遥かに超えた威力を見せ、鱗だけでなく、右肘から下を丸々切り落とした

「落としたー!!すごいすごい☆想像以上!!でもやること変わらないよね?筆子!」

「修復速度が分からない。墨枝が集中出来るように傷口を維持するよ。墨枝、私のやつに毒エンチャントでよろしく。」

「傷口維持ねー、了解ー☆」

「は、はい!強烈なやつ行きますね…!」

スキル:魔力伝道、接触紙化!

スキル:液体変換、毒光線!

2人は肩に大きく構えた光線銃を放つと上手く傷口に着弾した

すると覇王龍の傷口、及び触れた皮膚は緑色の毒で染まり、まるで濡れた紙のようにボロボロと崩れ始めた。

「撃ち続けろー!!」

「……」

2人は修復が出来ないように淡々と傷口に向けて光線を撃ち続ける

「す、すごいな…あれはどーなってるんだ?」

「あの3人は、それぞれが強力な天啓を持っている為、誰がリーダーとか無しに結束力が強いんですよね。紙の天啓、紙谷紙織。文字の天啓、筆山筆子。液体の天啓、墨川墨枝。筆子さんの具現で武器を出し、紙織さんのスキルで敵を紙のように柔らかくする。あとは墨枝さんは魔法メインですが、液体を操作することが出来るので傷口などから流血しているのを見ると血液を別の液体に変化させることが出来るので、正直恐ろしく強いです。」

「ぶ、武器の具現化…紙のように変化させる…液体変化で血液を変える…!?やばすぎる…なんで覇王龍に最初からそれで攻めなかったんだ?」

「覇王龍の皮膚はそもそも魔法耐性が強いので魔力メインで効果が付与されるスキルは受け付けないんですよ。なので私達が内面を露出させる必要があったんです。生身の人間があの3人とやろうものなら瞬殺ですね。」

「なるほど…味方でよかった…。」

しかし、その安心も長くは続かなかった

「ねぇ…筆子ぉ、もしかしなくてもあれってさ…」

「うん。修復してるね。紙化と毒をもう体液で中和したのかも。やっぱり体液そのものが特殊か。…墨枝、なんとかなりそう?」

2人は休むことなく光線を撃ち続けていたが、ダメージを与えるどころか早くも慣れ始めた覇王龍に静かながらも焦りを隠せなかった

「は、はい…もう少しで捕捉できそうなんですけど、さっきの毒と紙化の成分も反応しちゃって…もう少し時間かかるかも…」

「墨枝ー!私達もう時間稼げなーい!!やばいよ!急いで!がんばっでぇぇえええ」

「そ、そう言われましても~!せめてもう少し抉れてくれたら…」

すると、遠くの方に、まるで答えるかのように巨大な魔法陣が展開された

「ま、魔法陣~!?かっこいい…//」

「魔法陣…」

「魔法陣なんか出せる人、あの人しかいないジャーン!待ってましたー!!」

すると、遠くの方から雄叫びが聞こえてきた

「おらぁぁあ!!くたばり損ないがぁぁあぁぁあああ!!」

その瞬間、魔法陣からとてつもない威力のビームが放たれ、覇王龍の腕に直撃するとぐおおおお!と覇王龍が大きな叫び声を上げる

「あれは…参戦するようですね、あの2人が!」

みんなが振り返ると、2人の探索者の姿が見えた

「最強の矛と盾、スズハさんとマホロさん!」

「すみませ~ん!参戦遅れましたー!私達も戦います!」

「…。」

ふたりが合流し、7人は顔を見合せ安堵の表情をうかべる

「ってー!!そんな場合じゃない!覇王龍の腕!あれならどう?墨枝!」

「は、はい!あれなら…かなり流血してるので傷口まで具体的に捕捉出来そうです。」

墨枝はゆっくりと覇王龍に向かって両手を伸ばすとそれぞれの人差し指と親指で四角を作り手の中に照準を作る

「決めます…。スキル:液体変換、酸!」
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