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1章
13.5話 過去のトラウマ
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時は遡り2時間前~
「はぁ…なかなかこの仕事も慣れないなぁ。…それもこれも課長のせいよ!課長が持病だからって言って大したこともないのに大事を取って入院なんかするから!私はまだ入社もらって半年の新人だったのに急に受付に駆り出されるもんだからほんとに骨が折れたものよね…」
私、アカネがヒアラさん達の受付を担当することになったのはとんだハプニングだった。元々私はまだ勉強をしていく段階で、天啓検査の際の案内から少しずつやろうって話で毎日コツコツ頑張ってたのに…、
突然課長が持病で倒れたから誰か代わりで入ってくれなんて言われて、その日の午後からものすごい沢山の業務を教えこまれたのだ。
まぁ元々探索者だった経歴から試験官の仕事とそのあとの説明までは出来たので、幸い軽い知識と全体の流れだけで済んだのだが、それでも大変だった。
「アカネちゃん。大丈夫?来月からは私も配属になるから一緒に受付頑張ろ?」
同期のサクラちゃん。ショートカットで身長も少し小さいため大人に見られないことが多々あるが、性格はすごくしっかりしていてお姉ちゃんのようだ。
私が探索者としての過去や天啓の案内等、流れをある程度理解していたから突然抜擢されたのだが、普通ならサクラちゃんのようなしっかり者の子が選ばれてもおかしくないと思う。
実際選ばれた日から毎日愚痴を聞いてもらっているので姉のような存在だ
「サクラちゃん…やっと来てくれるんだね~?普通なら私も同じペースだったはずなのになんでこうなっちゃったかな~」
「配属されて嫌な思いでもしたの?毎日愚痴は聞くけど仕事以上に中身はやりがい感じてそうだったじゃん!」
「うーん、まぁそうなんだけどさ、元々やってた試験官とか天啓の案内も経験者だからってことで全部まとめてやらされたのはほんとにびっくりしたよね」
「でもそれって毎回じゃなくてあの日新規で受けた人達だけでしょ?その後すぐ補充あったじゃん。でもその時は確か事前の書類選考があった人達はみんな落とされてたから当日乗り込んできた女の子達だけ合格だったんだっけ…?」
「あーそうそう。ヒアラさんとキュアーさんっていう子達なんだけど、私が憧れてた五大天啓に選ばれた1人のノノ様と一緒にいたんだよねぇ、あの子たちも強かったし、どーゆー関係なんだろう」
「まぁ担当を今後も続けるなら仲良くなる機会もあるだろうしそのうち聞けばいいと思うよ。ね、それよりお昼せっかくだから外で食べない?」
「いいね!お肉食べたい!」
「お昼から肉は流石に重くない?流石は元探索者だね…」
2人は正午を少し過ぎた時間での昼休憩だったため客足が落ち着いたレストランに赴き食事を共にした
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇ、そういえばニュース見た?」
「ん?何を?」
食事を済ませスイーツとドリンクを嗜みながら話しているとサクラちゃんはスマホをこちらに見せながら今朝のニュースの話をしてきた
「これこれ!今年の復興予測祭!世界中の科学者達がこぞって名乗りを上げて女神リフレのリセットが今度はいつ来るのか、何が変わるのかを予測する大きなイベントだよ!テレビでやるみたい!」
復興予測祭かぁ…確かに、そろそろリセットが来るという噂もちらほらある。でも私自身もほんとに昔経験したらしいが、もうよく覚えていないから実感がよく湧かないのだ。この復興予測祭に出る研究者達もそれを何回も経験した60歳以上のお年寄りが多いらしく、内容は深いのだろうけどいまいち盛り上がりに欠けるという話を大人たちからよく聞く
「それ、予測したところで全然分かんないんでしょ?何が面白いのか私にはよく分からないな」
「うーん、まぁそうなんだけどさ、モンスターに怯える地域の人たちや探索者の人達には助かる情報だし、希望にもなると思うんだよね、アカネは前探索者だったんでしょ?予測はその時からあったと思うけど見てなかったの?」
「見てなかったかなぁ、その時の私は自分のことで精一杯だったから…弱くてパーティの皆にも迷惑ばっかりかけちゃってたんだよ」
「そうなんだ…でも剣聖の天啓って強そうだけどねぇ、弟が見てたバトル漫画とかアニメで見たことあるよ」
「いいものじゃないよ、名前の負担が大きいし、女より男向けの能力だと思う」
「ふーん、探索者も大変だね。…お!今度その予測祭に出る科学者の1人がもう持論を発表したみたい!どれどれ~?」
サクラちゃん、ほんとオカルト系とか超能力とかすぐ信じるからなぁ。いつか怪しいのに騙されなければいいけど
「んー、なになに?これはあれか、復興予測というよりこの世界に何が起こるのかを予測してるね、それに対しての解決として復興されると言う感じか」
サクラちゃんは私に読み聞かせるように声に出してスマホの論文を読む
「前回のリセットから今年で18年。正直いつ起こってもおかしくない状況だ。モンスターは活性化し、大地は震え海は荒れている。私はこれに対しての復興がある事でこの過酷な生活に希望をもたらしてくれると信じている。…だそうです」
「予測…?なの?それ。ただの希望論だしまだまともな予測だとすればいつ怒ってもおかしくないってところだけじゃん。やっぱりアテにならないね。ほら!もう1時間経ちそうだし戻ろう?」
「はぁーい。でもこんなもんでしょ?結局何をどうするかなんて女神様の気まぐれなんだからさっ!」
…その気まぐれが信じられないから、私は自分の力だけを信じて旅をしていたんだ。
この世に都合のいいことなんて期待しても訪れない。自分の努力だけで成り上がるしかないんだ。これまでも、これからも…
「アカネ?おーい、考え事かなー?歩くの早いって!待って~」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は午前だけ受付、午後からは情報整理と現在依頼を受けてる探索者の確認、必要であればフォローの電話をかける仕事だ。
基本自分の担当の探索者をフォローするため私はヒアラさん達しか居ないのだけれど
「はぁ、ヒアラさん達、いきなりDランクなんて大丈夫なのかな?一昨日から依頼開始してるけど、5日間しか設けられてないから達成出来るか不安だな…Dランクは街や地域に甚大な被害を及ぼすけど殺傷能力が高いモンスターはいないはずだし、大丈夫だとは思うけど。」
それに、ノノ様も行方が分からない状況だ。前ヒアラさん達と一緒に行動してたからパーティを組むのかと思ってたけど特にその様子は無い。1人なのかな?
その後しばらく情報を整理していると、仕事用スマホに連絡が入る
「はい、もしもしアカネです。」
「アカネさん。ちょっと地下の管制室まで来れるかしら。元探索者であるあなたの意見が聞きたいの。急ぎでお願いします。」
「え?今からですか!?わかりました!すぐ行きます!」
なんだろう、こんなこと今まで無かったのに。少し怖いな…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「アカネです!到着しました!」
「アカネさん、いきなりで申し訳ないのだけれど、これを見てほしいの。」
突然私を呼び出し、迎えてくれたのは日本の探索者を支援する探検課の本当の支部である、地下管制室の室長の森川さんだ。
地下管制室は万が一の災害に備え日本最高峰のシェルターになっており、世界中からの情報を管理し緊急事態等に備えられる施設だ。
普段から衛星写真などをみて異常事態に詳しい組織だが、そんな組織が私に一体何を聞きたいのだろうか?
「森川室長。探索者の時以来ですね、お会いして話すのは…」
「あら、そうだったかしら?ごめんなさいね、毎日色々と忙しいので仕事以外のことはあまり覚えてないの」
仕事以外のこと…いや、確かに仕事の件だった。そうか、そこらへんまで影響があったのか…
「いえ、大丈夫です。…これは、衛星写真ですか?」
見せられた巨大なフロントパネルの映像に目をやるとそこには宇宙から見た日本の映像があった
「そう。これは今現在の様子をリアルタイムで流しているわ。…拡大してちょうだい」
森川さんの指示でスタッフに拡大された画面は日本海側に寄って拡大されていく
「!?これは…」
そこに映し出されていたのは日本海上空に出ている小さな黒点。それがそばかすのように数え切れないほどちりばめられている映像だった
「私達もこのような事は今まで観測したことが無いわ。それにこの黒点、少し見覚えがあるような気がして…アカネさんは、5年前の大規模戦争に参加した経験があるかしら?」
参加した、してないの話じゃない。この戦争で日本軍を率いたのは私だ。
見間違えるはずもない。これはあの厄災の時と同じ
「知ってます。これは…次元の穴。亜空間からの侵略です!」
「やはりそうですか…5年前はたった一つの穴から出てきた5匹のドラゴン…次元龍によって日本は壊滅的な被害を受けました。その際日本では当時英雄と呼ばれていた探索者の元、軍をも率いて戦線を構築。全面戦争の末、ついに勝利を収めることが出来ました。それが今回は…」
「穴が…少なくとも20以上はある!」
まずい。まずいまずい。これはあの厄災の比じゃない。第一線を張った私だから分かる。これは戦争にすらならない。蹂躙だ
「今すぐ日本海側の地域全域に緊急事態警報と避難勧告を発令します。軍にも連絡を。それと、その近くの探索者がいたら住民の避難誘導をお願いしましょう。でも自分たちもしっかり逃げるように伝えてください。アカネさん。あなたの担当の探索者は今どこにいますか?」
はっ!ヒアラさん!キュアーさん!確か富山だったはず…穴は新潟寄りだけど日本海側に変わりは無い。今すぐ連絡を!
仕事用端末を取り出し日本海側の地域で依頼受諾中のパーティ一覧を確認する
「!?…いない!!」
なんで!?さっきまでまだ受諾中だったはず。まさかやられた?依頼失敗!?
いや…焦るな。落ち着こう。ヒアラさんにはキュアーさんがついてる。大丈夫、信じよう。依頼を既に完了しているかもしれない。
「…!いた!ヒアラさんのパーティ!無事に完了してたんだ…あれ?ノノ様もいる!良かった!無事だ!」
直ぐにパーティ情報からヒアラのスマホにコールをかける
「も、もしもし…」
「ヒアラさん!?良かった!ノノさんとキュアーさんもいますか!?」
「は、はい!!」
焦る気持ちでそこからどのような話をしようとしてたか忘れていた。しかし口から出た言葉はその全てを含めた上で簡潔に状況を伝えるものだった
「3人とも…今すぐ逃げて!」
「はぁ…なかなかこの仕事も慣れないなぁ。…それもこれも課長のせいよ!課長が持病だからって言って大したこともないのに大事を取って入院なんかするから!私はまだ入社もらって半年の新人だったのに急に受付に駆り出されるもんだからほんとに骨が折れたものよね…」
私、アカネがヒアラさん達の受付を担当することになったのはとんだハプニングだった。元々私はまだ勉強をしていく段階で、天啓検査の際の案内から少しずつやろうって話で毎日コツコツ頑張ってたのに…、
突然課長が持病で倒れたから誰か代わりで入ってくれなんて言われて、その日の午後からものすごい沢山の業務を教えこまれたのだ。
まぁ元々探索者だった経歴から試験官の仕事とそのあとの説明までは出来たので、幸い軽い知識と全体の流れだけで済んだのだが、それでも大変だった。
「アカネちゃん。大丈夫?来月からは私も配属になるから一緒に受付頑張ろ?」
同期のサクラちゃん。ショートカットで身長も少し小さいため大人に見られないことが多々あるが、性格はすごくしっかりしていてお姉ちゃんのようだ。
私が探索者としての過去や天啓の案内等、流れをある程度理解していたから突然抜擢されたのだが、普通ならサクラちゃんのようなしっかり者の子が選ばれてもおかしくないと思う。
実際選ばれた日から毎日愚痴を聞いてもらっているので姉のような存在だ
「サクラちゃん…やっと来てくれるんだね~?普通なら私も同じペースだったはずなのになんでこうなっちゃったかな~」
「配属されて嫌な思いでもしたの?毎日愚痴は聞くけど仕事以上に中身はやりがい感じてそうだったじゃん!」
「うーん、まぁそうなんだけどさ、元々やってた試験官とか天啓の案内も経験者だからってことで全部まとめてやらされたのはほんとにびっくりしたよね」
「でもそれって毎回じゃなくてあの日新規で受けた人達だけでしょ?その後すぐ補充あったじゃん。でもその時は確か事前の書類選考があった人達はみんな落とされてたから当日乗り込んできた女の子達だけ合格だったんだっけ…?」
「あーそうそう。ヒアラさんとキュアーさんっていう子達なんだけど、私が憧れてた五大天啓に選ばれた1人のノノ様と一緒にいたんだよねぇ、あの子たちも強かったし、どーゆー関係なんだろう」
「まぁ担当を今後も続けるなら仲良くなる機会もあるだろうしそのうち聞けばいいと思うよ。ね、それよりお昼せっかくだから外で食べない?」
「いいね!お肉食べたい!」
「お昼から肉は流石に重くない?流石は元探索者だね…」
2人は正午を少し過ぎた時間での昼休憩だったため客足が落ち着いたレストランに赴き食事を共にした
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「ねぇ、そういえばニュース見た?」
「ん?何を?」
食事を済ませスイーツとドリンクを嗜みながら話しているとサクラちゃんはスマホをこちらに見せながら今朝のニュースの話をしてきた
「これこれ!今年の復興予測祭!世界中の科学者達がこぞって名乗りを上げて女神リフレのリセットが今度はいつ来るのか、何が変わるのかを予測する大きなイベントだよ!テレビでやるみたい!」
復興予測祭かぁ…確かに、そろそろリセットが来るという噂もちらほらある。でも私自身もほんとに昔経験したらしいが、もうよく覚えていないから実感がよく湧かないのだ。この復興予測祭に出る研究者達もそれを何回も経験した60歳以上のお年寄りが多いらしく、内容は深いのだろうけどいまいち盛り上がりに欠けるという話を大人たちからよく聞く
「それ、予測したところで全然分かんないんでしょ?何が面白いのか私にはよく分からないな」
「うーん、まぁそうなんだけどさ、モンスターに怯える地域の人たちや探索者の人達には助かる情報だし、希望にもなると思うんだよね、アカネは前探索者だったんでしょ?予測はその時からあったと思うけど見てなかったの?」
「見てなかったかなぁ、その時の私は自分のことで精一杯だったから…弱くてパーティの皆にも迷惑ばっかりかけちゃってたんだよ」
「そうなんだ…でも剣聖の天啓って強そうだけどねぇ、弟が見てたバトル漫画とかアニメで見たことあるよ」
「いいものじゃないよ、名前の負担が大きいし、女より男向けの能力だと思う」
「ふーん、探索者も大変だね。…お!今度その予測祭に出る科学者の1人がもう持論を発表したみたい!どれどれ~?」
サクラちゃん、ほんとオカルト系とか超能力とかすぐ信じるからなぁ。いつか怪しいのに騙されなければいいけど
「んー、なになに?これはあれか、復興予測というよりこの世界に何が起こるのかを予測してるね、それに対しての解決として復興されると言う感じか」
サクラちゃんは私に読み聞かせるように声に出してスマホの論文を読む
「前回のリセットから今年で18年。正直いつ起こってもおかしくない状況だ。モンスターは活性化し、大地は震え海は荒れている。私はこれに対しての復興がある事でこの過酷な生活に希望をもたらしてくれると信じている。…だそうです」
「予測…?なの?それ。ただの希望論だしまだまともな予測だとすればいつ怒ってもおかしくないってところだけじゃん。やっぱりアテにならないね。ほら!もう1時間経ちそうだし戻ろう?」
「はぁーい。でもこんなもんでしょ?結局何をどうするかなんて女神様の気まぐれなんだからさっ!」
…その気まぐれが信じられないから、私は自分の力だけを信じて旅をしていたんだ。
この世に都合のいいことなんて期待しても訪れない。自分の努力だけで成り上がるしかないんだ。これまでも、これからも…
「アカネ?おーい、考え事かなー?歩くの早いって!待って~」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は午前だけ受付、午後からは情報整理と現在依頼を受けてる探索者の確認、必要であればフォローの電話をかける仕事だ。
基本自分の担当の探索者をフォローするため私はヒアラさん達しか居ないのだけれど
「はぁ、ヒアラさん達、いきなりDランクなんて大丈夫なのかな?一昨日から依頼開始してるけど、5日間しか設けられてないから達成出来るか不安だな…Dランクは街や地域に甚大な被害を及ぼすけど殺傷能力が高いモンスターはいないはずだし、大丈夫だとは思うけど。」
それに、ノノ様も行方が分からない状況だ。前ヒアラさん達と一緒に行動してたからパーティを組むのかと思ってたけど特にその様子は無い。1人なのかな?
その後しばらく情報を整理していると、仕事用スマホに連絡が入る
「はい、もしもしアカネです。」
「アカネさん。ちょっと地下の管制室まで来れるかしら。元探索者であるあなたの意見が聞きたいの。急ぎでお願いします。」
「え?今からですか!?わかりました!すぐ行きます!」
なんだろう、こんなこと今まで無かったのに。少し怖いな…
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「アカネです!到着しました!」
「アカネさん、いきなりで申し訳ないのだけれど、これを見てほしいの。」
突然私を呼び出し、迎えてくれたのは日本の探索者を支援する探検課の本当の支部である、地下管制室の室長の森川さんだ。
地下管制室は万が一の災害に備え日本最高峰のシェルターになっており、世界中からの情報を管理し緊急事態等に備えられる施設だ。
普段から衛星写真などをみて異常事態に詳しい組織だが、そんな組織が私に一体何を聞きたいのだろうか?
「森川室長。探索者の時以来ですね、お会いして話すのは…」
「あら、そうだったかしら?ごめんなさいね、毎日色々と忙しいので仕事以外のことはあまり覚えてないの」
仕事以外のこと…いや、確かに仕事の件だった。そうか、そこらへんまで影響があったのか…
「いえ、大丈夫です。…これは、衛星写真ですか?」
見せられた巨大なフロントパネルの映像に目をやるとそこには宇宙から見た日本の映像があった
「そう。これは今現在の様子をリアルタイムで流しているわ。…拡大してちょうだい」
森川さんの指示でスタッフに拡大された画面は日本海側に寄って拡大されていく
「!?これは…」
そこに映し出されていたのは日本海上空に出ている小さな黒点。それがそばかすのように数え切れないほどちりばめられている映像だった
「私達もこのような事は今まで観測したことが無いわ。それにこの黒点、少し見覚えがあるような気がして…アカネさんは、5年前の大規模戦争に参加した経験があるかしら?」
参加した、してないの話じゃない。この戦争で日本軍を率いたのは私だ。
見間違えるはずもない。これはあの厄災の時と同じ
「知ってます。これは…次元の穴。亜空間からの侵略です!」
「やはりそうですか…5年前はたった一つの穴から出てきた5匹のドラゴン…次元龍によって日本は壊滅的な被害を受けました。その際日本では当時英雄と呼ばれていた探索者の元、軍をも率いて戦線を構築。全面戦争の末、ついに勝利を収めることが出来ました。それが今回は…」
「穴が…少なくとも20以上はある!」
まずい。まずいまずい。これはあの厄災の比じゃない。第一線を張った私だから分かる。これは戦争にすらならない。蹂躙だ
「今すぐ日本海側の地域全域に緊急事態警報と避難勧告を発令します。軍にも連絡を。それと、その近くの探索者がいたら住民の避難誘導をお願いしましょう。でも自分たちもしっかり逃げるように伝えてください。アカネさん。あなたの担当の探索者は今どこにいますか?」
はっ!ヒアラさん!キュアーさん!確か富山だったはず…穴は新潟寄りだけど日本海側に変わりは無い。今すぐ連絡を!
仕事用端末を取り出し日本海側の地域で依頼受諾中のパーティ一覧を確認する
「!?…いない!!」
なんで!?さっきまでまだ受諾中だったはず。まさかやられた?依頼失敗!?
いや…焦るな。落ち着こう。ヒアラさんにはキュアーさんがついてる。大丈夫、信じよう。依頼を既に完了しているかもしれない。
「…!いた!ヒアラさんのパーティ!無事に完了してたんだ…あれ?ノノ様もいる!良かった!無事だ!」
直ぐにパーティ情報からヒアラのスマホにコールをかける
「も、もしもし…」
「ヒアラさん!?良かった!ノノさんとキュアーさんもいますか!?」
「は、はい!!」
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