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1章
7話 あれ?もしかして私の能力…弱い!?
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毒キノコの旅の前…時は遡って適正試験の次の日
「ヒアラさん。キュアーさん。来ましたね?」
2人が来たのは都庁の地下にある怪しい施設。
「じゃあ、行きましょうか」
エレベーターに乗るとアカネさんがボタン操作をしているので何階なのかよくわかってないがとりあえず深い階層なんだな…ってレベルで長時間エレベーターに乗っていた
「ヒアラ…探険課より長いぞ…」
「この高さ…エレベーター壊れたら間違いなく死ぬやつだね」
「そうじゃん!死ぬじゃんー!」
2人のやり取りを見てたアカネは楽しそうに笑っていた
「ふふふ、いつも皆さん緊張しているのでこんなに賑やかなのも楽しいですね、それにエレベーターは落ちませんので安心してください。」
「そうなんですか?」
「はい。もしあるとしたらエレベーターが壊れると言うより、床が抜ける感じですね」
「へぇ…そうなんですね…ゴクリっ」
そんなこんなでやり取りをしているうちに目的の階層に到着した。
「ヒアラさん。ここで何するかは覚えてますよね?」
「はい。優れた能力や天啓について生体検査で調べるんですよね」
地下深くにあるその施設はよく映画とかである白壁の無機質な空間、とかではなくアトラクションでありそうな薄暗い空間だった。
「東京の地下なのに思ったよりダンジョン感というか…それこそデズニーのアトラクションみたいだね…」
「普通に作ろうと思えば作れたんですけどね…如何せんこーゆー役職ですから雰囲気を出したいと思いましてね?」
「へぇ!凄い!周りの岩肌とか洞窟っぽい感じがほんとにテンション上がるからいい感じ~!」
「あっ、すみません雰囲気とかは適当に言いました。なんとなくそうじゃないかなーって思って」
「「え?」」
…5秒くらい空気が凍った
「…さ、さて!気を取り直して能力確認しましょうか!この中央の台座に座って下さい。」
アカネに案内され部屋の真ん中にある椅子に座る。
「はい。それでは腕を出してくださいね~、血を取りますからね。」
注射を取り出したアカネは普通に血を採血した
「意外とアナログだね!?もっとこう…水晶とかにて当てるとかなかったの!?」
「…?水晶?そんなので分かるわけないじゃないですか、占い師でもないんですから。」
「はぁ…まぁそうなんだけどさ」
キュアーはなんだかガッカリしていた
「あっ、でも!それっぽいのはありますよ!見ててくださいね、この採った血に対して…この深度でしか取れない特殊な洞窟の聖水を混ぜます。すると…ほら!」
アカネは採った血液をシャーレに移すと何やらキラキラした水を混ぜた。その瞬間凄く光り出した
「なんですか!?これ!」
「ふふふ、まぁ見ててください!」
しばらく観察していると次第に光が落ち着いてくる。そこにあったものは、元の血液ではなく、翡翠色に輝く結晶だった。
「えっ!?なんで!凄い!結晶だー!綺麗!」
キュアーは大はしゃぎでその結晶を見ている
「はい。この結晶を調べることで、ヒアラさんの能力値…即ち天啓の有無やステータスを知ることが出来るのです。どうです?面白いでしょう。なので今日は一旦ここで終了になります。」
「あ、ありがとうございます。これってどーゆー原理なんですか?」
「んー、私もよく分かってないんですよ。結晶化は化学反応だと思うんですけど、なんで血液なのに結晶化した後色が変わるのかとか、研究班がどのような検査でこの結晶から私たちのステータスを出してるのか、とか。でも、謎があるってちょっとドキドキして楽しくないですか?」
「ワクワクするー!」
キュアーは当事者でもないのに凄いテンション上がっているようだ
「…じゃあとりあえず戻りましょうか。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
帰ってきた一行は一旦解散することになり、ヒアラとキュアーは暇になり新宿の街を散策していた
「さて、時刻は午後15時。どうしましょうか、ヒアラさんや」
「んー、あっそうだ!キュアー、装備を新調しに行こうよ!」
「装備?買えるの?」
「もう忘れたの?私たち適正試験に受かったから国からの補助をもう受けられるって言ってたでしょ!まだ証明書になるサーチャーシンボルが無いから仮にはなるけどこのバッジを見せる必要があるみたいだけど」
ヒアラは昨日の試験後、色々な書類を書かされた際に貰ったバッジを取り出す
「ほぉ~、そうだったっけ?」
「もうっ!そうなの!だからさ、行こ?」
「うん!装備見たい!ヒアラなんて使ってる武器、ただの棒だもんね~、私のも買えるかな~?」
「殺傷能力なんかいらないんだからこれまではこれで十分だったの!キュアーの装備も買えるよ!だから行こ~!」
2人は足並みを揃えて進み出した
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヒアラ…ここらへん?かな?ここらへんの地形ほんとにマップが機能しないよね!?私別に方向音痴じゃないんだけどなぁ…」
「何階とかもあるからねぇ…今回の装備屋は?」
「んー、ここらへんの…地下にあるらしいんだけど、どこだろう」
「地下か…看板見ればわかるんじゃない?…あっ、あれは?そうじゃない?」
「あっ!あれだと思う!オリジナル装備専門店:ユニークマン!探険課認定の指定店舗のマークもある!」
ユニークマンは新宿にただ1つのオリジナル装備専門店だ。量産型の武器を扱う店舗は沢山あるが、職人技で装備者本人にカスタマイズされた装備は唯一無二のためかなり人気がある。
「地下のお店ってなんかワクワクするよね!入ってみよう!」
キュアーは早速店内に入っていく。あとから着いていくと、中は思ったより綺麗めで店内は整理整頓されていた。壁面に飾られた武器や防具は圧巻で、いかにも異世界ファンタジーのような世界がそこにはあった
「わぁ…凄いね、キュアー。」
「うん…凄すぎてはしゃぐテンションもどっか行っちゃった…」
店内は外から見た入り口からは想像も出来ないほど広く奥行きがあり、様々なコーナーで分けられ陳列されていた
しばらく2人で店内を回っていると奥の方から声が聞こえてきた
「あっ、キュアー!奥に人がいるっぽい!行ってみよ?」
奥に行くとバーのカウンターのようなスペースがあり、そこにはなんとドーズがいた。
「あれ?ドーズさん!」
「ん?…お!おぉ!嬢ちゃん達か!昨日ぶりだな!ほれ、隣に座りな。紹介してやるよ」
ドーズさんに誘われカウンターに横並びに座ると目の前にはこのお店の店主さん?が居た
「藤野さん。紹介するぜ、この嬢ちゃん達が昨日俺に勝ったっていうヒアラちゃんとキュアーちゃんだ」
藤野さん、と呼ばれたその人はスマートな服装を着てはいるが、服の下にはすごい筋肉を蓄えてそうなガタイのいい人だった
「おー!この子達か!俺は藤野。よろしくな、ヒアラちゃん。キュアーちゃん。」
「よろしくお願いします!」
「よろしくー!」
すごく人柄が良さそうでにこにこしながら握手をしてくれた
「…それにしてもドーズが負けるなんて、2人はすごい強いんだな。こう見えてもドーズは日本支部だとなかなか強い方だよな?」
「…そうなんだよ。だから悔しくて昨日の今日で新装備を新調してもらおうとここに来たんだよ、なんだ?文句でもあるのかよ?」
「はっはっは、別に文句なんかないさ、俺も自分の装備を着けてるやつがあっさり負けるのは悔しいからな。また次も腕を振るってやるよ。」
「ありがとうな。いいハンマーを頼むぜ」
2人の会話を聞いていると、なんだか昔からの旧友のようで凄く和む気持ちになった
「お、そうだ、ヒアラちゃん達にも見せてやるよ、武器の錬成ってやつをな」
「「錬成?」」
錬成とはなんだろうか、イメージとしては、何かしらの素材から魔法みたいなもので新しく物を生み出す事だと…思っているが
「そう。錬成だ。うちは他に比べて少し特殊でな。よく考えてみてくれ、ここの店は俺しかいない。なのになんで俺1人でこれだけの店、沢山のオーダーメイドに答えられてるか、ってのをな」
「はぁ…なんでですか?その錬成でだいぶ楽になる的な?」
「そう!その通り。俺はな、なんと武具の天啓を持っている職人なのさ!」
「え?武具の天啓!?そんなのあるんですか?」
武具の天啓、と言われても全くイメージ出来ない。何が出来るんだろう、というかほんとに天啓のバリエーションって豊かなのね…
「じゃあ、武具の天啓ってのが具体的にどんなことが出来るのか教えてやろう。こっちに来てくれ」
藤野さんは店の更に奥の方に入っていく。ドーズさん含め3人も中に入る
「よし、今回使うのはこの台だ。水晶と、ここに魔鉱石がある。」
部屋の奥は鍛治の部屋になっており、様々な道具が並んでいた。藤野さん謎の部屋の中にある台のひとつに置いてある水晶と結晶を手にする
「この結晶はな、ついさっきドーズから預かったものなんだが…能力検査の時に出てくる結晶を使うんだ」
おぉ、なるほど。あの結晶は検査の後貰えると言っていたが、ここで使えるのか
「自分の能力値が上がる度に結晶化する物は質が良くなるからな、ちょくちょく皆更新に来るんだ。」
「ちなみに俺は、今回の防具やハンマーは2年前に作ってもらって以来だったわけなんだが、かなり気に入ってたから変えてなかったんだ。でも嬢ちゃん達に負けちまったので切り替える決心がついたんだよ」
ドーズは少し寂しそうにしながらもどこか楽しみにしているようにも見えた
「なるほど…。あっでもそれじゃあ私たちは今日結晶もまだ貰えてないので武器を作ることは出来ないんですね」
「まぁ、そうなるな。…でも!何もせずに帰る必要は無い。」
「え?どういうことですか?」
「そこで、その水晶を使うんだ!この水晶はな、触れた人間の能力やイメージを読み取って、どんなものよりも自分に合った武具の形を生成出来るんだ。それを、この水晶を置いてる台座が情報を読み取って記憶するって仕組みだ。その後は台座とリンクさせてるこの台で結晶から武具を錬成すると、その武器になっちまう!って仕組みだ」
ま、またなにか複雑なことを言っている。
とりあえず、私達は水晶に触れれば自分に合った武具イメージを生成してくれるってことかな?
「でも、仕組みさえ理解すればシンプルな工程なんだよ。すぐ終わる。だからうちは繁盛してるって訳だ」
「なるほど…勉強になります!」
「ちなみに水晶がイメージを読み取るとか、台座が記憶するとかも全部俺が操作しないと意味が無いから勝手には使えない。どーゆー仕組みかは知らんが、武具の天啓のユニークスキルに武器生成のためのあらゆる工程が簡易的に使用可能になる。ってのがあるからそれだろう。」
なるほど、武具を作るための過程、工程を自分なりの技術で簡易的に変えることが出来るってことか。まさしく武具の天啓って感じだ。
「じゃあドーズのは大体予想がつくし、ヒアラちゃんのから見ようか。ほら、この水晶に手をかざして…」
藤野さんに言われるがまま、手をかざした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日の朝、早速能力検査の結果が出たとの事で2人は探険課に来ていた。
「ヒアラの能力は何かな~?気になるね!」
「変なのじゃなければいいな…」
待合室で待っているとアカネがやってきた
「ヒアラさーん、お待たせしました!カウンターの方へどうぞ!」
「アカネさん…私、変なのじゃ無かったですか?てかそもそも天啓ありましたかね?」
カウンターへ歩きながら、急に結果を聞くのが怖くて恐る恐る探りを入れてみる
「あはは、実は私もまだ中身は見てないんですよね、結果の書類が来てからは受付側で変な細工が出来ないように本人と同時に開封するようになってるんです。」
「そうなんですか…はぁ…。」
「大丈夫ですよ!ヒアラさんあんなに強いので伸ばすべき能力が分かれば今後の伸びしろはすごいと思います!」
カウンターに到着した3人は席に座り本題に入る
「さて…では、心の準備はいいですか?」
「…はい。」
「一緒に見ます?」
「え?あ、じゃあアカネさんに下見してもらおうかな」
「分かりました!じゃあー、こっそり見ちゃいますね…」
アカネはゆっくり封を開け書類を取り出す。こちらに見えないように中身を覗き見ると…
「!!!」
「えっ!?なん、え、大丈夫ですか?」
「ヒアラさん…」
「覚悟します!なので聞きます。言いづらくても言ってもらって大丈夫です!」
「えっと…ヒアラさんの適正能力は…治癒能力だけ…です。しかも魔力は一般人の半分しか無いのでほぼ使えないですね…。」
「………え?」
治癒能力…そんなの今までキュアーがやってたので使ったこともない。しかも魔力少なすぎてほぼ使えない?…嘘でしょ
「思ってたより深刻かも…?」
「えっと…はい。こうも天啓と能力が噛み合わないのもなかなか見ないケースですね」
「そんな~!!」
治癒能力はキュアーとキャラ被り…しかも魔力も全然無いなんて…私今後の伸びしろあるのかな!?
「ヒアラさん。キュアーさん。来ましたね?」
2人が来たのは都庁の地下にある怪しい施設。
「じゃあ、行きましょうか」
エレベーターに乗るとアカネさんがボタン操作をしているので何階なのかよくわかってないがとりあえず深い階層なんだな…ってレベルで長時間エレベーターに乗っていた
「ヒアラ…探険課より長いぞ…」
「この高さ…エレベーター壊れたら間違いなく死ぬやつだね」
「そうじゃん!死ぬじゃんー!」
2人のやり取りを見てたアカネは楽しそうに笑っていた
「ふふふ、いつも皆さん緊張しているのでこんなに賑やかなのも楽しいですね、それにエレベーターは落ちませんので安心してください。」
「そうなんですか?」
「はい。もしあるとしたらエレベーターが壊れると言うより、床が抜ける感じですね」
「へぇ…そうなんですね…ゴクリっ」
そんなこんなでやり取りをしているうちに目的の階層に到着した。
「ヒアラさん。ここで何するかは覚えてますよね?」
「はい。優れた能力や天啓について生体検査で調べるんですよね」
地下深くにあるその施設はよく映画とかである白壁の無機質な空間、とかではなくアトラクションでありそうな薄暗い空間だった。
「東京の地下なのに思ったよりダンジョン感というか…それこそデズニーのアトラクションみたいだね…」
「普通に作ろうと思えば作れたんですけどね…如何せんこーゆー役職ですから雰囲気を出したいと思いましてね?」
「へぇ!凄い!周りの岩肌とか洞窟っぽい感じがほんとにテンション上がるからいい感じ~!」
「あっ、すみません雰囲気とかは適当に言いました。なんとなくそうじゃないかなーって思って」
「「え?」」
…5秒くらい空気が凍った
「…さ、さて!気を取り直して能力確認しましょうか!この中央の台座に座って下さい。」
アカネに案内され部屋の真ん中にある椅子に座る。
「はい。それでは腕を出してくださいね~、血を取りますからね。」
注射を取り出したアカネは普通に血を採血した
「意外とアナログだね!?もっとこう…水晶とかにて当てるとかなかったの!?」
「…?水晶?そんなので分かるわけないじゃないですか、占い師でもないんですから。」
「はぁ…まぁそうなんだけどさ」
キュアーはなんだかガッカリしていた
「あっ、でも!それっぽいのはありますよ!見ててくださいね、この採った血に対して…この深度でしか取れない特殊な洞窟の聖水を混ぜます。すると…ほら!」
アカネは採った血液をシャーレに移すと何やらキラキラした水を混ぜた。その瞬間凄く光り出した
「なんですか!?これ!」
「ふふふ、まぁ見ててください!」
しばらく観察していると次第に光が落ち着いてくる。そこにあったものは、元の血液ではなく、翡翠色に輝く結晶だった。
「えっ!?なんで!凄い!結晶だー!綺麗!」
キュアーは大はしゃぎでその結晶を見ている
「はい。この結晶を調べることで、ヒアラさんの能力値…即ち天啓の有無やステータスを知ることが出来るのです。どうです?面白いでしょう。なので今日は一旦ここで終了になります。」
「あ、ありがとうございます。これってどーゆー原理なんですか?」
「んー、私もよく分かってないんですよ。結晶化は化学反応だと思うんですけど、なんで血液なのに結晶化した後色が変わるのかとか、研究班がどのような検査でこの結晶から私たちのステータスを出してるのか、とか。でも、謎があるってちょっとドキドキして楽しくないですか?」
「ワクワクするー!」
キュアーは当事者でもないのに凄いテンション上がっているようだ
「…じゃあとりあえず戻りましょうか。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
帰ってきた一行は一旦解散することになり、ヒアラとキュアーは暇になり新宿の街を散策していた
「さて、時刻は午後15時。どうしましょうか、ヒアラさんや」
「んー、あっそうだ!キュアー、装備を新調しに行こうよ!」
「装備?買えるの?」
「もう忘れたの?私たち適正試験に受かったから国からの補助をもう受けられるって言ってたでしょ!まだ証明書になるサーチャーシンボルが無いから仮にはなるけどこのバッジを見せる必要があるみたいだけど」
ヒアラは昨日の試験後、色々な書類を書かされた際に貰ったバッジを取り出す
「ほぉ~、そうだったっけ?」
「もうっ!そうなの!だからさ、行こ?」
「うん!装備見たい!ヒアラなんて使ってる武器、ただの棒だもんね~、私のも買えるかな~?」
「殺傷能力なんかいらないんだからこれまではこれで十分だったの!キュアーの装備も買えるよ!だから行こ~!」
2人は足並みを揃えて進み出した
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「ヒアラ…ここらへん?かな?ここらへんの地形ほんとにマップが機能しないよね!?私別に方向音痴じゃないんだけどなぁ…」
「何階とかもあるからねぇ…今回の装備屋は?」
「んー、ここらへんの…地下にあるらしいんだけど、どこだろう」
「地下か…看板見ればわかるんじゃない?…あっ、あれは?そうじゃない?」
「あっ!あれだと思う!オリジナル装備専門店:ユニークマン!探険課認定の指定店舗のマークもある!」
ユニークマンは新宿にただ1つのオリジナル装備専門店だ。量産型の武器を扱う店舗は沢山あるが、職人技で装備者本人にカスタマイズされた装備は唯一無二のためかなり人気がある。
「地下のお店ってなんかワクワクするよね!入ってみよう!」
キュアーは早速店内に入っていく。あとから着いていくと、中は思ったより綺麗めで店内は整理整頓されていた。壁面に飾られた武器や防具は圧巻で、いかにも異世界ファンタジーのような世界がそこにはあった
「わぁ…凄いね、キュアー。」
「うん…凄すぎてはしゃぐテンションもどっか行っちゃった…」
店内は外から見た入り口からは想像も出来ないほど広く奥行きがあり、様々なコーナーで分けられ陳列されていた
しばらく2人で店内を回っていると奥の方から声が聞こえてきた
「あっ、キュアー!奥に人がいるっぽい!行ってみよ?」
奥に行くとバーのカウンターのようなスペースがあり、そこにはなんとドーズがいた。
「あれ?ドーズさん!」
「ん?…お!おぉ!嬢ちゃん達か!昨日ぶりだな!ほれ、隣に座りな。紹介してやるよ」
ドーズさんに誘われカウンターに横並びに座ると目の前にはこのお店の店主さん?が居た
「藤野さん。紹介するぜ、この嬢ちゃん達が昨日俺に勝ったっていうヒアラちゃんとキュアーちゃんだ」
藤野さん、と呼ばれたその人はスマートな服装を着てはいるが、服の下にはすごい筋肉を蓄えてそうなガタイのいい人だった
「おー!この子達か!俺は藤野。よろしくな、ヒアラちゃん。キュアーちゃん。」
「よろしくお願いします!」
「よろしくー!」
すごく人柄が良さそうでにこにこしながら握手をしてくれた
「…それにしてもドーズが負けるなんて、2人はすごい強いんだな。こう見えてもドーズは日本支部だとなかなか強い方だよな?」
「…そうなんだよ。だから悔しくて昨日の今日で新装備を新調してもらおうとここに来たんだよ、なんだ?文句でもあるのかよ?」
「はっはっは、別に文句なんかないさ、俺も自分の装備を着けてるやつがあっさり負けるのは悔しいからな。また次も腕を振るってやるよ。」
「ありがとうな。いいハンマーを頼むぜ」
2人の会話を聞いていると、なんだか昔からの旧友のようで凄く和む気持ちになった
「お、そうだ、ヒアラちゃん達にも見せてやるよ、武器の錬成ってやつをな」
「「錬成?」」
錬成とはなんだろうか、イメージとしては、何かしらの素材から魔法みたいなもので新しく物を生み出す事だと…思っているが
「そう。錬成だ。うちは他に比べて少し特殊でな。よく考えてみてくれ、ここの店は俺しかいない。なのになんで俺1人でこれだけの店、沢山のオーダーメイドに答えられてるか、ってのをな」
「はぁ…なんでですか?その錬成でだいぶ楽になる的な?」
「そう!その通り。俺はな、なんと武具の天啓を持っている職人なのさ!」
「え?武具の天啓!?そんなのあるんですか?」
武具の天啓、と言われても全くイメージ出来ない。何が出来るんだろう、というかほんとに天啓のバリエーションって豊かなのね…
「じゃあ、武具の天啓ってのが具体的にどんなことが出来るのか教えてやろう。こっちに来てくれ」
藤野さんは店の更に奥の方に入っていく。ドーズさん含め3人も中に入る
「よし、今回使うのはこの台だ。水晶と、ここに魔鉱石がある。」
部屋の奥は鍛治の部屋になっており、様々な道具が並んでいた。藤野さん謎の部屋の中にある台のひとつに置いてある水晶と結晶を手にする
「この結晶はな、ついさっきドーズから預かったものなんだが…能力検査の時に出てくる結晶を使うんだ」
おぉ、なるほど。あの結晶は検査の後貰えると言っていたが、ここで使えるのか
「自分の能力値が上がる度に結晶化する物は質が良くなるからな、ちょくちょく皆更新に来るんだ。」
「ちなみに俺は、今回の防具やハンマーは2年前に作ってもらって以来だったわけなんだが、かなり気に入ってたから変えてなかったんだ。でも嬢ちゃん達に負けちまったので切り替える決心がついたんだよ」
ドーズは少し寂しそうにしながらもどこか楽しみにしているようにも見えた
「なるほど…。あっでもそれじゃあ私たちは今日結晶もまだ貰えてないので武器を作ることは出来ないんですね」
「まぁ、そうなるな。…でも!何もせずに帰る必要は無い。」
「え?どういうことですか?」
「そこで、その水晶を使うんだ!この水晶はな、触れた人間の能力やイメージを読み取って、どんなものよりも自分に合った武具の形を生成出来るんだ。それを、この水晶を置いてる台座が情報を読み取って記憶するって仕組みだ。その後は台座とリンクさせてるこの台で結晶から武具を錬成すると、その武器になっちまう!って仕組みだ」
ま、またなにか複雑なことを言っている。
とりあえず、私達は水晶に触れれば自分に合った武具イメージを生成してくれるってことかな?
「でも、仕組みさえ理解すればシンプルな工程なんだよ。すぐ終わる。だからうちは繁盛してるって訳だ」
「なるほど…勉強になります!」
「ちなみに水晶がイメージを読み取るとか、台座が記憶するとかも全部俺が操作しないと意味が無いから勝手には使えない。どーゆー仕組みかは知らんが、武具の天啓のユニークスキルに武器生成のためのあらゆる工程が簡易的に使用可能になる。ってのがあるからそれだろう。」
なるほど、武具を作るための過程、工程を自分なりの技術で簡易的に変えることが出来るってことか。まさしく武具の天啓って感じだ。
「じゃあドーズのは大体予想がつくし、ヒアラちゃんのから見ようか。ほら、この水晶に手をかざして…」
藤野さんに言われるがまま、手をかざした
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次の日の朝、早速能力検査の結果が出たとの事で2人は探険課に来ていた。
「ヒアラの能力は何かな~?気になるね!」
「変なのじゃなければいいな…」
待合室で待っているとアカネがやってきた
「ヒアラさーん、お待たせしました!カウンターの方へどうぞ!」
「アカネさん…私、変なのじゃ無かったですか?てかそもそも天啓ありましたかね?」
カウンターへ歩きながら、急に結果を聞くのが怖くて恐る恐る探りを入れてみる
「あはは、実は私もまだ中身は見てないんですよね、結果の書類が来てからは受付側で変な細工が出来ないように本人と同時に開封するようになってるんです。」
「そうなんですか…はぁ…。」
「大丈夫ですよ!ヒアラさんあんなに強いので伸ばすべき能力が分かれば今後の伸びしろはすごいと思います!」
カウンターに到着した3人は席に座り本題に入る
「さて…では、心の準備はいいですか?」
「…はい。」
「一緒に見ます?」
「え?あ、じゃあアカネさんに下見してもらおうかな」
「分かりました!じゃあー、こっそり見ちゃいますね…」
アカネはゆっくり封を開け書類を取り出す。こちらに見えないように中身を覗き見ると…
「!!!」
「えっ!?なん、え、大丈夫ですか?」
「ヒアラさん…」
「覚悟します!なので聞きます。言いづらくても言ってもらって大丈夫です!」
「えっと…ヒアラさんの適正能力は…治癒能力だけ…です。しかも魔力は一般人の半分しか無いのでほぼ使えないですね…。」
「………え?」
治癒能力…そんなの今までキュアーがやってたので使ったこともない。しかも魔力少なすぎてほぼ使えない?…嘘でしょ
「思ってたより深刻かも…?」
「えっと…はい。こうも天啓と能力が噛み合わないのもなかなか見ないケースですね」
「そんな~!!」
治癒能力はキュアーとキャラ被り…しかも魔力も全然無いなんて…私今後の伸びしろあるのかな!?
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