大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

リンケージと制服

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…さて、何かさっきの模擬戦(一日前のことだが、自分的にはついさっき。変な気分だ)で有り得ないことを《不動》がしてたんだよな…はて、何だったか…?
……。
…。
「あーーー!」
「なんですの!耳元で叫ばないでくださいまし!」
いや、お前も飯食いながら喋るなよ。汚ぇ。
じゃなくて!
「なんで自分の剣を持てたの!?」
忘れてた!本来アレは人が持てる重量じゃねぇんだよ!
「え?」「レィアくんも」「持ってるじゃん!」「とんでもない剛力だよね!」
「いやいや、自分は非力だよ。ほら見て、この腕…」
自分で言ってて悲しくなる…。それぐらい細い腕…。
「こりゃあ綺麗な肌だねぇ」
「羨ましいですぅ…」
ナタリさん、クアイちゃん、見て欲しいところはそこじゃないんだ…。
というか、ナタリさんより細い腕か…いや、拳士だから当然か…?
おっと、脱線した。
「自分の剣って、本人以外にはとんでもなく重くなるんだよ。ほら、ナタリさん持ってみる?」
生徒証で形態変化するやり方をアーネにあとから教わろうとして、まだ変化させてない武器を食堂のオバチャンに許可をもらって回収。
ちなみにこの食堂で形態変化は出来ないように仕組まれているらしい。
そのあたりは魔法関連なので、自分にはさっぱりだが。
「どれどれ?…ふっ!」
メチャクチャ踏ん張ってるな…ナタリさん。
というか、女子ということを忘れた顔をしてる…。
「…とまぁ、ナタリでも持てないモンなんだけど、あら不思議。自分なら、ほらこのとおり」
ひょい。
「あっ!ぐっ!ぬぉぉおおおぉ!」
自分が持ち上げると同時に、自分の脚力で倒れそうになり、耐えようとしたナタリさんは…耐えきれず、そのまま後頭部を全力でテーブルの角にぶつけ、悶絶してる。
女子が『ぬぉぉおおおぉ!』とかいうのは止めない…?
「…で、これをどうして先輩は持てたのかって話なんだけど?」
「えっとねぇ」「レィアくんに前言ったよね?」「私達の能力はぁ…「リンケージ!」」
そりゃ聞いた。
「二人の能力を共有する能力でしょ?」
あれ?首振ってる。違う?
「それじゃあ五十点!」「正解はぁ…」「一つの力を二人で使う能力!」
…?変わんなくなぁい?
がたっ!という音をたてて、アーネが立ち上がった。どうした急に。
「つまりそれは、二人の力の足し算、もっと言えば魔力の上限を自由に変えられるということですの!?」
あー、今ので大体わかったかも。
なんというかな…水の入った巨大なコップと、空のコップ二つをイメージして、その中にある水を自由な配分で空コップに注げる、みたいな感じか?…ということはさ?
「あの模擬戦、実質的には《不動》単体じゃなくて《荒野》のバックアップもついてたのか!?」
「ピンポンピンポーン!」「大正解!」
よく勝てたな!自分!
そりゃあ、二人もいれば二本はともかく一本は頑張れば持てるか…。
「じゃあ、自分の影縫いかげぬを受けて無傷な理由は?」
それもリンケージ?
「え、レィアさん、それは制服の意味を分かってないってこと…?」
なんだラウクムくん?制服って便利なだけじゃないのか?
「ほら!」「見てみて!」
二人が腕のリングを引っぺがす。
多分、それが制服だったんだろう。徐々に制服が薄れ…。
ザ・魔法使い、といった装いの《荒野》とフルプレート一歩手前(顔だけつけてない)の《不動》がいた。
「…とまぁ、こういったふうに、下は自分の好きな防具に出来るように、と言った学校側の配慮だよ」
なるほど、つまり。
「そんなことを知らずに、私服でモロ腹を自分の剣でカッ捌かれた貴女は大馬鹿者ということですわね」
…お前に言われるとダメージ倍増だわ…。
あぁ、恥ずかしい…。
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