大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

用意と残念な報告

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あれから何日か経って日曜の午後。
この数日は卒業式の用意だの何だのに駆り出されて大変だった。俺をこき使った生徒会及び先生達、覚えとけよ……
さて、ここで幾つか残念な報告をしなくてはならない。まずは…大南下の時に死んだ生徒についてだな。
死者は俺達のクラスからは八人、旧クラスから二人出た。二年以上はどうか知らない。これで一年生は総数となった訳だ…え?計算が豪快に間違ってる?一年生は一クラス三十人が二つで、そこから十引いて五十人になるはずだってか?いや、これで合ってる。
かなり前のことに思えるが、ギガース戦の時に大怪我を負った生徒が引退して、それ以降補給試験をしていなかったから新クラスは若干人が少なかったのだ。だからこれで合ってる。
つまり留年になる生徒は四十三から三十引いて十三名。
これがそのまま次の残念な報告に繋がるのだが……直球で言うと、クアイちゃんが落ちた。つまり、もう一度一年生をやることになった。
当然本人はかなり動揺し、一時はどうなる事かと思った。一番ダメージが大きかったのは、仲の良かったリーザは合格して俺達と一緒に進級していた事。これが一番キツかったようだ。
と言っても俺達にどうする事も出来ない。俺が学校長に噛み付いても駄目だろうし、そもそもそこに正しさはない。ただの駄々こねと大差ない。
留年となった生徒には二つの道が与えられる。
一つはそのまま留年して、もう一度一年生をやり直す道。
もう一つはこのまま退学して、この学校から出ていく道。
どちらを取るかはクアイちゃん次第だが、個人的にはもう一年、頑張ってもいいんじゃないかなとは思う。もちろん口には出さないが。
そして最後にもう一つ、ラウクムくんも試験に落ちた。
今年もか、残念だったな…では終わらない。ラウクムくんの場合は、留年ではなく退学となる。その証拠に、白封筒に同封されていたのは不合格通知と遺書、そして退学通知だった。
「僕は去年も落ちてたしね。二年も続けて落ちると、この学校も流石に見放すよ……まぁ、僕の場合、去年一番成績が悪かったからね」
退学になることを俺に伝えに来た時、どこか遠くを見ながらそう言っていたラウクムくんを思い出した。
いつ学校を去るのか、他のみんなに言ったのか、学校を出た後どこに行くのか、その他聞きたいことは山ほどあった。
でもラウクムくんは俺にそう言ってからさっさと部屋に戻り、俺はその後、彼の姿を見ていない。
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