大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
1,040 / 2,022
本編

復活と契約

しおりを挟む
「……まさか天空都市から放り捨てられて、真面目に地上で花咲かせてたとは思ってもなかったな…これでいいか?」
最初に俺を呼び止めた不審物システナ、近付いてみたらやっぱり不審物だった。
だって眼球一個と歯が不揃いに生えた口だけなんだぜ?肺も無いのにどうやったら喋れたのかとか思う以前に素直に気持悪くて引いた。
どうやらあまりに高所から落ちたせいで、身体がバラバラミンチになった上、破片が結構飛んでいってしまったらしい。そのせいで蘇生(死なないが)しようにも時間がかかるらしく、何故か手伝わされた。
あー、手ぇ血でベタベタ。きたねぇ。
「ふむ、最低限必要な量はそろったようだな。褒めてやろう」
と言って俺の手をつっ、と舐めるシステナ。
「うわ、キモい。やめろ馬鹿」
「何を言うか。これは余の血である。すなわち、余の身体の一部になるパーツだ。少したりとてやらんぞ。ましてや神の血を貴様なんぞに渡すととんでもないことになるだろうからな」
今度は唾液でベタベタ。最悪。
「で、貴様は貴様でこんな所で何をしている?魔族の都市にいたのではないか?仲間もいるようには見えぬが」
「産獣師の言葉を信じるなら、既にほぼ全員地上に帰されたらしい。俺は産獣師にキツイの入れて逃げてきた」
「ほう?そうであったか。では貴様にそっくりな魔法の背で寝ておる女は誰だ?」
「ほとんどって言ってたろ?残り一人を助けてきた」
そう言うと、システナが「どれ」とぺたぺた歩いてアーネの顔を下から見上げる。言い忘れてたけど、システナの服はない。ズタボロになったワンピースを見て、「こんなものを着るぐらいなら、いっそこのままで良い」とか言ってそのまま。その場でワンピースを燃やしやがった。一応俺のコートでも貸してやろうかと思ったが、よくよく考えたらこれの背中にも大穴が空いてんだよな。燃やされるのが嫌だったから黙っといた。
「ふむ、中々良い魔力、それに応じたスキルを持っておるな。良い良い」
神さまってのは見りゃ大体分かんのか。すげぇな。
「では余も連れて行け」
「おい馬鹿やめろ」
ひょいと身軽に俺の肩の上に飛び乗ろうとする女神サマの髪をひょいと捕まえ、そのまま地面にビタンと叩きつける。
「何をするか!!余は神であるぞ!」
「その絞りカスみたいなモンだろうが。何があったかは知らねぇが」
少女を無視して歩き始めると、てこてことついて来る。
「き、貴様、余と契約を交わしたであろう…!」
「聖女サマに会わせるんだっけ?そこにお前運ぶってのは契約外だ。出直してこいバカタレ」
「ではもう一つ契約を交わそう!願いを言え!一つ叶えてやろうではないか!」
それなら自力で飛んでいくなりなんなりしてしまえばいいんじゃねぇのと思わないでもないが。
「んじゃそこの眠りこけてる女に魔力補給してやってくれ。無理ない程度に満タンな」
しおりを挟む

処理中です...