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本編
戦技改造と魔法
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「いや、だからこの振り下ろしからタックル、そんでそのまま切り上げるのが元の戦技なんだろ?二刀流に合わせるなら、タックルを無くして横薙ぎを入れて──」
「それをすると体勢が不安定になり、隙が出来るからあまりしたくないのだが…」
「いや、横薙ぎまでで一つの戦技、その後切り上げと逆の手で刺突とかの戦技を連戦技で繋いでしまえばその隙は最小限に抑えられる」
訓練所の隅で戦技をどうアレンジするかを話し合っていく。元々の型がある分、ユーリアの身体に馴染みやすいのか、それとも元々の才能か、連戦技はともかく、戦技そのものは不完全ながらも顕現し始めていた。勇者が言うのもなんだが、やっぱりこいつとんでもない化けモンじゃねぇか。
ちなみに《黒法師》はずっと至近距離に張り付いたまんま。
「ならその次の突きは──」
「あっ!」「レィアくん危ない!!」
『右斜め後方、火炎弾六つ。驚いたな、《魔法返し》があっても火傷ぐらいはしそうな火力だ』
ふざけんな馬鹿双子。
「銀腕……限界拡張」
盾のように張った銀腕を手のひらにつけ、振り向きざまに火弾を叩き落とす。振動が一、二、三、四、五──そして一際大きな六発。
「おいコラ《不動荒野》、テメェら何こっちに魔法飛ばして──」
七発目。
『あ、スマン。一発隠し球あったわ。六発目に隠れて見えなかった』
「ふっざけんな!!」
銀腕のついた右腕は大きすぎる。鈍くて動かん。左の拳を握り、《魔法返し》を強く意識してぶん殴──
「………。」
その時、黒い影が俺の前に躍り出た。
それは素早く黒く長い棒を取り出して棒の半ばを掴むと、棒を目にも留まらぬ勢いで半回転。その勢いで火球を真っ二つに断ち切った。
「……魔法を切るってのは耳長種の専売特許じゃなかったっけか?」
「技術とコツさえわかれば誰にでも出来るさ。もっとも──その境地に単独でたどり着くようなヒトはまずいないがな」
ユーリアが肩を竦め、おどけたようにそう言うが、その目は信じられないものを見たと言わんばかりに揺れていた。
「あー、《黒法師》、助かった。ありがとう」
「………。」
俺がそう言うが、火球を切った本人──《黒法師》は何も言わず、ただ静かにじっと俺を見つめ続けていた。
「レィアくん」「ごめんね?」「ちょっと手元が狂っちゃって──」
シャル、見てたか?
『見てたし聞いてた。ちゃっかりロックオンして撃ってたぞ』
「やっぱりテメェらわざとか!!」
「「わっ、バレた!?」」
「私はぁ…やめるようにぃ…言ったよぉ…?」
『そいつが発案だ』
「オーケー、三人とも首から下が地面に埋まるぐらいぶん殴ってやる。そこ動くんじゃねぇぞ」
「それをすると体勢が不安定になり、隙が出来るからあまりしたくないのだが…」
「いや、横薙ぎまでで一つの戦技、その後切り上げと逆の手で刺突とかの戦技を連戦技で繋いでしまえばその隙は最小限に抑えられる」
訓練所の隅で戦技をどうアレンジするかを話し合っていく。元々の型がある分、ユーリアの身体に馴染みやすいのか、それとも元々の才能か、連戦技はともかく、戦技そのものは不完全ながらも顕現し始めていた。勇者が言うのもなんだが、やっぱりこいつとんでもない化けモンじゃねぇか。
ちなみに《黒法師》はずっと至近距離に張り付いたまんま。
「ならその次の突きは──」
「あっ!」「レィアくん危ない!!」
『右斜め後方、火炎弾六つ。驚いたな、《魔法返し》があっても火傷ぐらいはしそうな火力だ』
ふざけんな馬鹿双子。
「銀腕……限界拡張」
盾のように張った銀腕を手のひらにつけ、振り向きざまに火弾を叩き落とす。振動が一、二、三、四、五──そして一際大きな六発。
「おいコラ《不動荒野》、テメェら何こっちに魔法飛ばして──」
七発目。
『あ、スマン。一発隠し球あったわ。六発目に隠れて見えなかった』
「ふっざけんな!!」
銀腕のついた右腕は大きすぎる。鈍くて動かん。左の拳を握り、《魔法返し》を強く意識してぶん殴──
「………。」
その時、黒い影が俺の前に躍り出た。
それは素早く黒く長い棒を取り出して棒の半ばを掴むと、棒を目にも留まらぬ勢いで半回転。その勢いで火球を真っ二つに断ち切った。
「……魔法を切るってのは耳長種の専売特許じゃなかったっけか?」
「技術とコツさえわかれば誰にでも出来るさ。もっとも──その境地に単独でたどり着くようなヒトはまずいないがな」
ユーリアが肩を竦め、おどけたようにそう言うが、その目は信じられないものを見たと言わんばかりに揺れていた。
「あー、《黒法師》、助かった。ありがとう」
「………。」
俺がそう言うが、火球を切った本人──《黒法師》は何も言わず、ただ静かにじっと俺を見つめ続けていた。
「レィアくん」「ごめんね?」「ちょっと手元が狂っちゃって──」
シャル、見てたか?
『見てたし聞いてた。ちゃっかりロックオンして撃ってたぞ』
「やっぱりテメェらわざとか!!」
「「わっ、バレた!?」」
「私はぁ…やめるようにぃ…言ったよぉ…?」
『そいつが発案だ』
「オーケー、三人とも首から下が地面に埋まるぐらいぶん殴ってやる。そこ動くんじゃねぇぞ」
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