958 / 2,022
本編
青髪と緋眼
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即座に動いたのはアンジェ。
地を蹴り、俺との間を即座に潰しにかかる。
「食らえッ──!!」
先日と比べて明らかに数段早い踏み込み、そして力強い横薙ぎ。
「んー?」
それを軽くしゃがんで回避、しかしアンジェは既に次の動きへ。
横薙ぎの勢いをそのまま一回転、真下から上へ振り抜く、豪快な一撃。
それをされると流石に不味い。零距離スライディングをかまし、体勢を崩す。
「ぃよっと」
両足の裏に確かな手応え──というか足応え。アンジェが転倒し、俺は追撃をすることはなく、代わりに一度距離をとる。
『どうした?攻めないのか?』
「んー、なんかなぁ…少し気になることってーか違和感が…」
「食らええええええええ!!」
倒れたばかりのアンジェが即座に身体を翻してこちらへ突っ込んでくる。
身体にはよく見れば黄色の淡い燐光が。戦技か。
「《ブレイクスラッシュ》!!」
突進と同時に大振りの一撃。
しかし戦技によって強化されたそれは油断の出来ないもの。
軌道は俺の脳天から股下まで一気に叩き斬るような剛撃の戦技。
だが。
「戦技に頼ってんなぁ…雑だ」
戦技は振り回されるモンでも振り回すモンでもないだろ。
「こうだ」
一歩、斜め前に踏み込む。
それだけで戦技の発動地点がズレ、戦技は最大限の力を発揮出来なくなる。
「ふッ──!!」
そして振り下ろされる大剣の側部を手にした《千変》で思いっきり叩く。
それだけで大剣から伝わる破壊の感触。
次の瞬間、ガラスを割るよりも澄んだ音を立てて大剣が柄を残して砕け散る。
「なっ」
「遅い。隙あり」
今度は俺の戦技が刺さる。
腰の辺りまで持ち上げた足をそのまま真っ直ぐ、アンジェの無防備な腹に叩き込む。
ぐっ、と足が沈む感覚の後、フィールドが作用してアンジェが後方に吹き飛ぶ。
ふむ、やはり剣を抜くまでもない──どころか戦技すら贅沢だった気がするな。正直《千変》も要らなかったか。
放った戦技は割と本気で撃った。再起は難しいだろう。
「おい審判、終わったからゴングなり何なり鳴らして終わ──」
殺気。
咄嗟に床を転がり、回避行動をとる。
丁度俺の首がついさっきまであった位置、そこに目掛けて何かが高速で通過し、それをシャルが捕捉した。
『短剣だ』
なんだ、まだ沈んでなかったのか。
などと思ってくるりと振り返ってみると──アンジェがいない。
不味い。そう思った瞬間、シャルが警告を飛ばす。
『後ろ!!』
振り向く間も惜しんで直感のままに鎚を振る。
結果、何かとぶつかり、それを甲高い音とともに弾いた。
しかし、弾いた所で流れるようにアンジェが次の動きへと移ったのが背後から感じ取れる。
「《ブレイクスラッシュ》!!」
二度目の戦技発動。
銀剣であれば後ろを向いていてでも防げただろうが──ナメてかかったのが悪かった。鎚では防げない。
猛烈な体当たり、そこからさらに放たれる縦振りの一撃。
フィールドに守られているはずのこの中で、鮮血が舞った。
地を蹴り、俺との間を即座に潰しにかかる。
「食らえッ──!!」
先日と比べて明らかに数段早い踏み込み、そして力強い横薙ぎ。
「んー?」
それを軽くしゃがんで回避、しかしアンジェは既に次の動きへ。
横薙ぎの勢いをそのまま一回転、真下から上へ振り抜く、豪快な一撃。
それをされると流石に不味い。零距離スライディングをかまし、体勢を崩す。
「ぃよっと」
両足の裏に確かな手応え──というか足応え。アンジェが転倒し、俺は追撃をすることはなく、代わりに一度距離をとる。
『どうした?攻めないのか?』
「んー、なんかなぁ…少し気になることってーか違和感が…」
「食らええええええええ!!」
倒れたばかりのアンジェが即座に身体を翻してこちらへ突っ込んでくる。
身体にはよく見れば黄色の淡い燐光が。戦技か。
「《ブレイクスラッシュ》!!」
突進と同時に大振りの一撃。
しかし戦技によって強化されたそれは油断の出来ないもの。
軌道は俺の脳天から股下まで一気に叩き斬るような剛撃の戦技。
だが。
「戦技に頼ってんなぁ…雑だ」
戦技は振り回されるモンでも振り回すモンでもないだろ。
「こうだ」
一歩、斜め前に踏み込む。
それだけで戦技の発動地点がズレ、戦技は最大限の力を発揮出来なくなる。
「ふッ──!!」
そして振り下ろされる大剣の側部を手にした《千変》で思いっきり叩く。
それだけで大剣から伝わる破壊の感触。
次の瞬間、ガラスを割るよりも澄んだ音を立てて大剣が柄を残して砕け散る。
「なっ」
「遅い。隙あり」
今度は俺の戦技が刺さる。
腰の辺りまで持ち上げた足をそのまま真っ直ぐ、アンジェの無防備な腹に叩き込む。
ぐっ、と足が沈む感覚の後、フィールドが作用してアンジェが後方に吹き飛ぶ。
ふむ、やはり剣を抜くまでもない──どころか戦技すら贅沢だった気がするな。正直《千変》も要らなかったか。
放った戦技は割と本気で撃った。再起は難しいだろう。
「おい審判、終わったからゴングなり何なり鳴らして終わ──」
殺気。
咄嗟に床を転がり、回避行動をとる。
丁度俺の首がついさっきまであった位置、そこに目掛けて何かが高速で通過し、それをシャルが捕捉した。
『短剣だ』
なんだ、まだ沈んでなかったのか。
などと思ってくるりと振り返ってみると──アンジェがいない。
不味い。そう思った瞬間、シャルが警告を飛ばす。
『後ろ!!』
振り向く間も惜しんで直感のままに鎚を振る。
結果、何かとぶつかり、それを甲高い音とともに弾いた。
しかし、弾いた所で流れるようにアンジェが次の動きへと移ったのが背後から感じ取れる。
「《ブレイクスラッシュ》!!」
二度目の戦技発動。
銀剣であれば後ろを向いていてでも防げただろうが──ナメてかかったのが悪かった。鎚では防げない。
猛烈な体当たり、そこからさらに放たれる縦振りの一撃。
フィールドに守られているはずのこの中で、鮮血が舞った。
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