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本編
剣と大剣2
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《剣姫》の懐へ入り、彼女が剣を生成出来ない程の至近距離で剣を振る。
見たところ、剣が完成するまで約一秒。多少距離があれば問題ない生成時間だが…零距離なら絶対に間に合わない。
しかし──。
──当たらない!?
「このスキルは、一度魔力を消費してしまえばどんな剣でも具現化することが出来る、非常に便利なスキルです」
と、声が聞こえた。
目の前の《剣姫》から。
嘘ん。別人じゃねぇか。
『こいつ、戦うと性格変わるタイプだな。ここまで変わるヤツは珍しいが…』
「しかし──同時に弱点もあります。まず、起動時に一対一では絶対に無視出来ない隙が生まれます。次に接近戦では打ち合える程の強度が無いために不利になります。ですので私がまず鍛えたのは──回避出来る程の敏捷さでした」
俺の剣を紙一重で避ける《剣姫》。触れそうで触れないという絶妙な間合いで回避し続け、それでいて決して致命的な一撃は与えさせない。
──上手い!!
「そして──気づいていますか?あなたが近づいてからずっと、私の剣があなたを襲っていないことを」
知ってる。どうせ生成する暇がないから──。
「あなたが攻めてきて…大体一分程ですか?それだけあれば……私は一体いくつ剣を作れると思いますか?」
『──やられた。今代の、上だ』
シャルに言われ、一瞬だけ上を見る。
そこには数えるのも馬鹿らしい程の剣が空を埋めていた。
長剣、細剣、突剣、曲刀、大剣、刀、短剣、鉈、 両手剣────!!
「私は避けるのは得意ですが……あなたはどうですか?」
その一言で切っ先が俺に向き、《剣姫》が手を握ると同時に全ての剣がまるで弾丸のように飛来してきた。
「くっそ!!」
俺が取った行動は走行。とにかく早く走った。
一秒前まで俺がいた場所に突き刺さる何本もの剣を見て、顔を青くしながら走り、近くに突き刺さっていた金剣を引き抜いて加速。
それでも俺を追いかける剣群の方が速い!!
もう一度上を見れば、次々と落ちてくる剣と、次々に生み出される剣が見えた。
『おぉ。こりゃ終わったな。半永久機関だぞ、アレ。一応生み出す方が遅いが、この調子じゃそう簡単に尽きねぇしな』
呑気に言ってる場合かテメェ!?
「くっ!」
その場で踵を返し、金剣の面を構える。
「《征断》!!」
発動と同時に剣が豪雨のように降り注ぐ。
絶え間なく俺を襲う剣の衝撃。
やがてそれが止むと同時に、俺は戦技の動きに従って射出された白剣を確認しながら金剣を横に振る。
無数に突き立つ剣を折り砕きながら金剣が振るわれ、視界が開ける。
しかし──。
「いけ」
途切れたのではなく、途切れさせられたのだと気づくには遅すぎた。
見たところ、剣が完成するまで約一秒。多少距離があれば問題ない生成時間だが…零距離なら絶対に間に合わない。
しかし──。
──当たらない!?
「このスキルは、一度魔力を消費してしまえばどんな剣でも具現化することが出来る、非常に便利なスキルです」
と、声が聞こえた。
目の前の《剣姫》から。
嘘ん。別人じゃねぇか。
『こいつ、戦うと性格変わるタイプだな。ここまで変わるヤツは珍しいが…』
「しかし──同時に弱点もあります。まず、起動時に一対一では絶対に無視出来ない隙が生まれます。次に接近戦では打ち合える程の強度が無いために不利になります。ですので私がまず鍛えたのは──回避出来る程の敏捷さでした」
俺の剣を紙一重で避ける《剣姫》。触れそうで触れないという絶妙な間合いで回避し続け、それでいて決して致命的な一撃は与えさせない。
──上手い!!
「そして──気づいていますか?あなたが近づいてからずっと、私の剣があなたを襲っていないことを」
知ってる。どうせ生成する暇がないから──。
「あなたが攻めてきて…大体一分程ですか?それだけあれば……私は一体いくつ剣を作れると思いますか?」
『──やられた。今代の、上だ』
シャルに言われ、一瞬だけ上を見る。
そこには数えるのも馬鹿らしい程の剣が空を埋めていた。
長剣、細剣、突剣、曲刀、大剣、刀、短剣、鉈、 両手剣────!!
「私は避けるのは得意ですが……あなたはどうですか?」
その一言で切っ先が俺に向き、《剣姫》が手を握ると同時に全ての剣がまるで弾丸のように飛来してきた。
「くっそ!!」
俺が取った行動は走行。とにかく早く走った。
一秒前まで俺がいた場所に突き刺さる何本もの剣を見て、顔を青くしながら走り、近くに突き刺さっていた金剣を引き抜いて加速。
それでも俺を追いかける剣群の方が速い!!
もう一度上を見れば、次々と落ちてくる剣と、次々に生み出される剣が見えた。
『おぉ。こりゃ終わったな。半永久機関だぞ、アレ。一応生み出す方が遅いが、この調子じゃそう簡単に尽きねぇしな』
呑気に言ってる場合かテメェ!?
「くっ!」
その場で踵を返し、金剣の面を構える。
「《征断》!!」
発動と同時に剣が豪雨のように降り注ぐ。
絶え間なく俺を襲う剣の衝撃。
やがてそれが止むと同時に、俺は戦技の動きに従って射出された白剣を確認しながら金剣を横に振る。
無数に突き立つ剣を折り砕きながら金剣が振るわれ、視界が開ける。
しかし──。
「いけ」
途切れたのではなく、途切れさせられたのだと気づくには遅すぎた。
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