大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
794 / 2,022
本編

新しい二つ名と必死

しおりを挟む
ルトのメッセージの後、俺はそのまま部屋に戻ることなく学校長の部屋へと突撃、しかしその途中でルトに会い、本人から「本当に大丈夫だから」と必死に説得され、引っ込むしか無くなった。
何となくモヤモヤしたものを抱えながら、学校側は改めて三人を正式な二つ名になったことを宣言。ユーリアとルーシェの二つ名に変更は無かったが、リザとか言う先輩の二つ名は流石に本人から嫌がられたそうで、《死神》から変更され、新しく《黒法師》と名付けられた。本人はそれも渋々だったらしいが、死神よりかは何倍もマシだろう。
これで二つ名争奪戦関連の事については、何箇所かに禍根を残しつつも、一応ひと段落ついたと言えるだろう。
…争奪戦に関しちゃな。
次に始まったのは《犬》か《猫》の派閥云々の話。
二つ名争奪戦終了直後、各派閥の力関係は大きく変わった。これは言うまでもなく《逆鱗》ことルト先輩がユーリアの一件で《猫》から《犬》へ移ったためだ。
その結果、《勇者》、《逆鱗》、《臨界点》と《雷光》の四名が《犬》、逆に《猫》は《不動荒野》のみとなった。
戦闘力のみならず権力なども兼ね備えていた《逆鱗》がいたからこそ《猫》は《犬》と比べて少数でも《犬》と張り合ってこれたが──それが相手に寝返り、二人で一組とされる《不動荒野》のみが《猫》というチームを張るのは正直不可能。
パワーバランスは当然崩壊、《猫》についていた一般生徒もほとんどが《犬》のサイドに回ってしまい、《猫》は事実上解体という形になってしまった。
が、しかし。
ちょうど最近、中立である俺を除いても三人、新しく二つ名持ちが新しく出来たところだ。
もし仮に──そう、仮にだが──三名全員を《猫》に入れることが出来たなら。
実際のパワーバランスはともかく、表面上、数字上では二つ名持ち四対四のバランスが保たれることになる。
そうなれば──なんて事を考えたらしい。
「全く、そんなものが余程大切なのかねぇ…」
食堂のよく陽が射す、それなりに人気の場所スポットを俺一人が独占しながらボソリと呟く。
俺の視線の先には必死こいてルーシェに《猫》に入るよう説得する《不動荒野》のどちらか片方(どっちがどっちか分からん)、少し視線を横に泳がせれば今度はユーリアに勧める同じく《不動荒野》のどちらかの姿が。
『あいつらにとっちゃそうなんだろうよ。それにもう《黒法師》が《猫》に入ったらしいじゃねぇの?無駄じゃねぇならやる価値はあるだろうな』
「それもそうか」
さて、食器を片付けて…と。
同室のアイツの面倒を看てやるかな。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

種族統合 ~宝玉編~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:481

まほカン

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:32

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:94

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:666

処理中です...