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本編
湯船とメッセージ
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ざぱざぱとシエルの頭にお湯をかけながら副会長とメッセージを繋げる。
ちなみにマキナは脱衣場で正座させて待機中。聖学祭の時のようにマキナの一部を耳に入れ、さらに俺の声を拾いやすいように口元まで伸ばしたものを装着してメッセージを使っている。
「──あ、あ。聞こえるか?悪ぃ。ちょっと取り込んでてな。そんなに気を悪くしないでくれ」
頭にシャンプーをかけ、わしゃわしゃと泡立てていく。ちらりと鏡を見ると、気持ちよさそうに目を細めるシエルがいた。
『いえ、私としてはそれほど待っていた訳ではありませんので特に機嫌を悪くした訳ではありませんので問題ありません』
ざぱーっ、とお湯をかけて流してやると、シエルはそれこそ猫のように身体を震わせ、雫を飛ばす。
「で、今夜は何用だ?決まったのか?」
『はい』
端的な答え。
待っていたが待っていなかったその言葉が遂に来てしまった。
「一応確認するが、誰だ?」
一応シエルにもバラしちゃいけない事なので、細部は伏せなければならないのが面倒で歯がゆい。
『三名共に許可済です』
この一言で少しだけホッとするも、同時にこれで終わった訳じゃない、むしろ始まったのだと再認識する。
「おっけー、いつだ?」
シエルが身体も洗ってくれとせがむので、わしゃわしゃと泡立てたタオルで隅々を洗っていく。
『三日…いえ、四日後です。月曜は祝日ですので』
ちなみに今日は金曜日。そこから土日と祝日を挟んで四日後、つまり休みが明けてすぐにだ。
にしても祝日か…。
「……なんかそういやアーネとかオードラル先生が言ってたな…」
基本的にこの学校は祝日があろうと土日しか休みを取らないのだが、この日は別だ。
確か現国王の誕生日…この日ばかりは一応休まなければならないらしい。
「まぁ分かった。さんきゅーな」
『はい。ところで《緋眼騎士》』
「あ?なんだ?」
再びシエルにお湯をかけると、シエルが笑って楽しそうにしていた。
『生徒証の二つ名特権の欄を全てしっかり読みましたか?』
「あ?いや?」
あ、しまった。嘘でも読んだって言っときゃ良かったかもしれん。
そう思ったが時すでに遅し。
『それでは説明します』
と副会長が喋り始めた。
あ、湯冷めしないように一度湯船に浸かるか。
そう思ってシエルを抱えて湯船に入る。
ふー、やっぱあったけぇわ。
『二つ名持ちの方々は争奪戦の間、争奪戦の運営の手伝いをして頂きます。加えて今回は三人同時という異例の事態となります。そのため、一度集まって会議することとなりました』
「ふーん、いつ?」
『明日の午後一時、寮の第三会議室です。遅刻は厳禁ですのでご注意ください』
「了解了解。これで終わりか?」
『はい。それではまた明日』
そう副会長は告げるとメッセージを切った。
耳に付けられた《千変》を取り外し、一言「マキナ!」と呼んでから扉の方に投げる。
もちろん意図を察したマキナは扉の方から手を伸ばすと破片をキャッチ、そのまま扉を閉めて消える。
「さて」
身体も温まったし。
髪洗うか。
「………ん、てつだ、う」
シエルがそう言ってくれたので、少し楽だった。
ちなみに。
俺達でお湯を使いすぎたらしく、途中で水しか出なくなったシャワーをモロに浴びたアーネの叫びが聞こえたのはどうでもいい余談だ。
ちなみにマキナは脱衣場で正座させて待機中。聖学祭の時のようにマキナの一部を耳に入れ、さらに俺の声を拾いやすいように口元まで伸ばしたものを装着してメッセージを使っている。
「──あ、あ。聞こえるか?悪ぃ。ちょっと取り込んでてな。そんなに気を悪くしないでくれ」
頭にシャンプーをかけ、わしゃわしゃと泡立てていく。ちらりと鏡を見ると、気持ちよさそうに目を細めるシエルがいた。
『いえ、私としてはそれほど待っていた訳ではありませんので特に機嫌を悪くした訳ではありませんので問題ありません』
ざぱーっ、とお湯をかけて流してやると、シエルはそれこそ猫のように身体を震わせ、雫を飛ばす。
「で、今夜は何用だ?決まったのか?」
『はい』
端的な答え。
待っていたが待っていなかったその言葉が遂に来てしまった。
「一応確認するが、誰だ?」
一応シエルにもバラしちゃいけない事なので、細部は伏せなければならないのが面倒で歯がゆい。
『三名共に許可済です』
この一言で少しだけホッとするも、同時にこれで終わった訳じゃない、むしろ始まったのだと再認識する。
「おっけー、いつだ?」
シエルが身体も洗ってくれとせがむので、わしゃわしゃと泡立てたタオルで隅々を洗っていく。
『三日…いえ、四日後です。月曜は祝日ですので』
ちなみに今日は金曜日。そこから土日と祝日を挟んで四日後、つまり休みが明けてすぐにだ。
にしても祝日か…。
「……なんかそういやアーネとかオードラル先生が言ってたな…」
基本的にこの学校は祝日があろうと土日しか休みを取らないのだが、この日は別だ。
確か現国王の誕生日…この日ばかりは一応休まなければならないらしい。
「まぁ分かった。さんきゅーな」
『はい。ところで《緋眼騎士》』
「あ?なんだ?」
再びシエルにお湯をかけると、シエルが笑って楽しそうにしていた。
『生徒証の二つ名特権の欄を全てしっかり読みましたか?』
「あ?いや?」
あ、しまった。嘘でも読んだって言っときゃ良かったかもしれん。
そう思ったが時すでに遅し。
『それでは説明します』
と副会長が喋り始めた。
あ、湯冷めしないように一度湯船に浸かるか。
そう思ってシエルを抱えて湯船に入る。
ふー、やっぱあったけぇわ。
『二つ名持ちの方々は争奪戦の間、争奪戦の運営の手伝いをして頂きます。加えて今回は三人同時という異例の事態となります。そのため、一度集まって会議することとなりました』
「ふーん、いつ?」
『明日の午後一時、寮の第三会議室です。遅刻は厳禁ですのでご注意ください』
「了解了解。これで終わりか?」
『はい。それではまた明日』
そう副会長は告げるとメッセージを切った。
耳に付けられた《千変》を取り外し、一言「マキナ!」と呼んでから扉の方に投げる。
もちろん意図を察したマキナは扉の方から手を伸ばすと破片をキャッチ、そのまま扉を閉めて消える。
「さて」
身体も温まったし。
髪洗うか。
「………ん、てつだ、う」
シエルがそう言ってくれたので、少し楽だった。
ちなみに。
俺達でお湯を使いすぎたらしく、途中で水しか出なくなったシャワーをモロに浴びたアーネの叫びが聞こえたのはどうでもいい余談だ。
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