大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

二つ名持ちと変質者

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男から上手いこと撒けた…というか逃げれたようだ。あとは少し心配なのが男を蹴った時に周りにいた通行人達だが…どうにかなることを祈ろう。
それはさておき、本日二度目の公演無事に終了、男は姿すら見せなかった。
そんな訳で着替えも済んでウェイトレスに変身した俺が店に戻ろうとしたところで声をかけられた。
「おい《緋眼騎士》」
「あん?なんだ《雷光》」
俺を呼び止めたのは《雷光》…と、その後にウィルもいるか。
「単刀直入に聞くと…貴様、何かあったのか?」
「あ?」
何かって何さ。
「いや、レィアさんが公演中、ずっとチラチラと外を…大通りの方を見てたから。何か気になるのかな…と思ってね。昨日はそんなこと無かったから、今日、何かあったんじゃないかって僕らが思っただけだよ」
『よく気づいたな、こいつ』
同感。あれだけ動いてた俺をの目をよく追えたもんだ。
流石二つ名持ち…と言った所か。
『隠しても意味無い気がしてきたな…バラしたらどうだ?』
があの長身の男に俺が迫られてるって事を隠したいんだが…笑われること間違いなしだろ。
『けど、向こうは確信してる感じだぜ?変に誤魔化す方が難しいだろ』
そうか…?ならゲロっちまった方が早いか。
「ちとタチの悪いストーカー変質者が湧いたから対処に困ってるだけだよ。そいつが来ないか気になってただけだ」
スゲェ言いたく無かったから、多分俺の顔は驚く程シワが寄ってたと思う。
「………ストーカー?」
「んー…ストーカーってのも少し違うかもしれないが…まぁ迷惑なヤツだ。やたらしつこい男が俺にまとわりついて来る」
「長身に大剣担いでニヤニヤしながらちゃん付けしてくる若干筋肉質の男で合ってるか?」
「…へ?ドンピシャ。なんで知ってんの?」
「「はぁ…」」
俺がそう答えると、《雷光》だけではなくウィルすら溜め息をつく。
「どうしたの?」「何か面白いことでもあった?」
すぐに帰っていくはずの俺がのんびり二人と話しているのを見て、《不動荒野》もこっちに来た。
ちなみにルト先輩はまだ向こうで何かやってるっぽい。
ウィルが頬をかきながら苦笑し答える。
「あー…例のアレだよ」
「例の」「アレ?」
「貴様達も二年の時に受けたのだろう?」
「あー」「あの糞豚?」
「糞豚って…君達女の子なんだから、もう少し言葉遣いを…」
「そうだ。そんな汚い言葉は駄目だ。…だが同意だ」
「え?何?お前ら全員知ってんの?」
なにか通じ合う先輩達と置いていかれている俺。どうやら何か知っているようだが。
「おい双子、装備の数が──なんだ《勇者》、まだいたのか。早くどことなりと行け。とにかく私の視界から出て行け」
「僕らの店は同じなんだからそれは無理な話かな…それよりルト、毎年恒例のアレがレィアさんに目をつけたらしいよ」
ウィルは多分、軽い気持ちでそう言ったのだろう。だが──なぜだかこれは嫌な予感しかしない。
そしてそれは的中した、とだけ言っておこうか。
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