大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

行きと掲示板

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なんでも、話によると向こうは向こうでかなり頑張ったらしい。がんばっちゃったらしい。
そりゃまぁ、出し物をする以上、ある程度は、頑張るだろうが…。
「七人しかいないってのに、どうして頑張ったんだよ!?」
マジで。本当に。
しかもこの七人はクラスの出し物も並行しなきゃならない訳で、そうなってくると常に七人同時に出られる訳では無い。
え?何?一応出し物は演劇だろうってか?
間違いじゃないが、演劇とはとても呼べない代物だよコンチクショー。
「仕方ないよ。毎年二つ名持ち達は決まってバトル関連だったからね。そういう伝統みたいなのはもちろん、それが悪い事じゃないんだけど…」
「頭が思考停止して、結果的にこれでいいや、ってなった挙句に前と同じにしようぜ、ってのは伝統って言わねぇよ。そりゃ単なる繰り返しだ」
二つ名の方も大変なことになりそうだと言う事で、学級委員長に許可をもらってから二つ名持ちの店が予定されている場所へと向かう俺たち。
ちなみに、走ってもいいが、夕暮れ時であり、しかし人々はまだ多い事から事故を避けるために歩いている。
「返す言葉もないよ。…それが今年、少し趣が違うって言うことが目を引いたみたい。しかも、期待の新人の方も注目されていたよ。おかげで掲示板に貼ってある関心度は二つ名うちが一番高い…ほら、あそこに」
ウィルの指を目で追ったその先に、人の背丈よりも大きく広い掲示板があり、その脇には小さめの箱が置いてあった。
『あんなモンあったんだな』
だな。気づきもしなかった。
「近づいて見てみる?」
「あぁ、初めて気づいたから、少し見てみたい」
ウィルにそう言われたので素直にそう答える。
急いでいるとはいえ、それぐらいの時間はいいと言うことだろう。
見てみると、掲示板の中央にでかでかと注目度と書かれた棒グラフが。
一番高いのが残念ながら二つ名持ち、その次に二年のアトラクションハウス、その次に一年新クラスの喫茶店。それより下は面倒なので省略。
しかしこれ…どうやってカウントしてるのかね?
そう思っていると、小さい子供が赤い紙切れを一枚、掲示板の横に置いてあった箱に入れて行った。
すると、ぽーん、と言う軽い音と共に掲示板のグラフに表記してある「二つ名」のグラフが少し伸びた。
「…やるこた前とあんまり変わんねぇんだけどな」
「あはは…まぁ、注目度だから…」
だから尚更タチ悪いんだろうが。
そんだけ人が集まる、って事を最初から知っときゃまだ何か考えれただろうに…このタイミングで知ってもな…。
「脚本…って言うのも憚れるようなアレ、変更した方がいいか?」
「いやー、どうだろう。そんな時間あるかい?」
答えは言うまでもない。既に日は傾いており、そろそろ沈む頃だ。
「さ、その注目度に答えられるよう、少しでもマシなものにしに行こうか。そろそろ行こうぜ」
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