607 / 2,022
本編
荷造りと幻覚
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通った。
何が?申請が。
もちろん、二つ名持ちの方の。
かなり強引な説得をしたのだが、まぁ通った。
具体的に、完全武装…とまでは言わないものの、半武装ぐらいまで来ちゃってる二つ名持ちのメンバー全員で申請書出しに行ったり。
色々と希望が見えてきた《雷光》が、これで通らなければ斬ると言った雰囲気を出したり。
というかぶっちゃけ、生徒会の方もかなり面倒だったんだろうな。
時間が足りないから、とにかく早くしてくれと。
時間があったら、もっと考え直して欲しかった、というオーラがありありと見えた。
悪いな。こっちもまさかあの冷静な《雷光》がトチ狂うなんて想像もつかなかったんだ。
さて、決まった内容はまた今度伝えるとして、今は大急ぎでやらなきゃならん事がある。
今日は移動日前日、その夜。
二、三日前からそれなりに準備をしていたアーネやシエルは既に準備を終えている…のだが。
犬と猿がドン引く程に仲の悪いウチの《犬》と《猫》、それ+個人の確執などで全く進まない会議にヘトヘトになって、毎日泥のように寝ていた俺にそんな用意をしているヒマなど全く無かった。
つまり今現在、大慌てで荷物を纏めているところだ。
なんせ、一週間以上寮を離れるのだ。
服の用意などをしなくては。
つい先日、荷解きしたばかりなのに…なんて思いながら、シエルの面倒を見ているアーネに少し感謝しながら再び荷造りしていた。
その時。
キンっ、と。
細い鉄が折れた様な音がした。
「………?」
『どうした?今代の』
「いや、今なんか変な音が──んのっ!?」
何だこりゃ!?
『……どうした?』
なんか目の前に、封蝋を押してある手紙が…シャル、見えてないな?
『見えてないな。手紙どころか紙切れ一枚見えやしない』
ふむ…。
とりあえず開けようとして、手を伸ばしてみるが…すり抜けた。
………。
「アーネ、ちょっといいか?」
「はい?何ですの?」
シエルのままごとに付き合ってくれていたアーネの方を向いて呼び、今起きたことを説明する。
ちなみに、首をひねっても手紙はそのまま浮遊してついてくる。
「音がした後、目の前に手紙が見える、ですの?」
「そそ。幻視?それとも俺の気が触れた?」
割と真面目に聞いていたのだが、アーネが溜息をついた。
…んだよ。
「とりあえず、その手紙を開けてみればいいですわよ」
「は?どうやって。触れれねぇけど」
「触れる必要はありませんわ。そのまま封を切って開けるイメージだけでいいんですの」
「うん?…こう、か」
たしかに、イメージすれば手紙の封を切れた。
へー、幻覚ってこうすればコントロール出来るのか。
…ん?この封蝋、どっかで見たことある紋様が…まぁいいか。
「んで医者、俺の病気は何?」
おふざけ半分でアーネをそう呼びながら聞いてみると、アーネが「はい?」とまるで俺が理解不能な言語を話したかのような反応をして、こう言った。
「それ多分、長距離通信の魔法ですわよ」
……魔法?
何が?申請が。
もちろん、二つ名持ちの方の。
かなり強引な説得をしたのだが、まぁ通った。
具体的に、完全武装…とまでは言わないものの、半武装ぐらいまで来ちゃってる二つ名持ちのメンバー全員で申請書出しに行ったり。
色々と希望が見えてきた《雷光》が、これで通らなければ斬ると言った雰囲気を出したり。
というかぶっちゃけ、生徒会の方もかなり面倒だったんだろうな。
時間が足りないから、とにかく早くしてくれと。
時間があったら、もっと考え直して欲しかった、というオーラがありありと見えた。
悪いな。こっちもまさかあの冷静な《雷光》がトチ狂うなんて想像もつかなかったんだ。
さて、決まった内容はまた今度伝えるとして、今は大急ぎでやらなきゃならん事がある。
今日は移動日前日、その夜。
二、三日前からそれなりに準備をしていたアーネやシエルは既に準備を終えている…のだが。
犬と猿がドン引く程に仲の悪いウチの《犬》と《猫》、それ+個人の確執などで全く進まない会議にヘトヘトになって、毎日泥のように寝ていた俺にそんな用意をしているヒマなど全く無かった。
つまり今現在、大慌てで荷物を纏めているところだ。
なんせ、一週間以上寮を離れるのだ。
服の用意などをしなくては。
つい先日、荷解きしたばかりなのに…なんて思いながら、シエルの面倒を見ているアーネに少し感謝しながら再び荷造りしていた。
その時。
キンっ、と。
細い鉄が折れた様な音がした。
「………?」
『どうした?今代の』
「いや、今なんか変な音が──んのっ!?」
何だこりゃ!?
『……どうした?』
なんか目の前に、封蝋を押してある手紙が…シャル、見えてないな?
『見えてないな。手紙どころか紙切れ一枚見えやしない』
ふむ…。
とりあえず開けようとして、手を伸ばしてみるが…すり抜けた。
………。
「アーネ、ちょっといいか?」
「はい?何ですの?」
シエルのままごとに付き合ってくれていたアーネの方を向いて呼び、今起きたことを説明する。
ちなみに、首をひねっても手紙はそのまま浮遊してついてくる。
「音がした後、目の前に手紙が見える、ですの?」
「そそ。幻視?それとも俺の気が触れた?」
割と真面目に聞いていたのだが、アーネが溜息をついた。
…んだよ。
「とりあえず、その手紙を開けてみればいいですわよ」
「は?どうやって。触れれねぇけど」
「触れる必要はありませんわ。そのまま封を切って開けるイメージだけでいいんですの」
「うん?…こう、か」
たしかに、イメージすれば手紙の封を切れた。
へー、幻覚ってこうすればコントロール出来るのか。
…ん?この封蝋、どっかで見たことある紋様が…まぁいいか。
「んで医者、俺の病気は何?」
おふざけ半分でアーネをそう呼びながら聞いてみると、アーネが「はい?」とまるで俺が理解不能な言語を話したかのような反応をして、こう言った。
「それ多分、長距離通信の魔法ですわよ」
……魔法?
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