大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

生徒会と演劇

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さて、そろそろ彼、もしくは彼女らを紹介してもいいだろうか。
この学校の生徒側からの運営者…とでも言うべきか。
しかしそれは、学校長が囲っている二つ名持ちの集団《シェパード》とは違う。
あれはどちらかと言うと、学校を国として見立てるのなら《シェパード》は治安を守る警備隊とかになるだろうか。
今回紹介するのは警備隊ではなく、国…までは行かないものの、都市や街を任されている者に近いだろうか。
まぁ、端的に言ってしまえば生徒会の連中なのだが。
かなり前に、ほんの少しだけ触れたと思うが、この学校には、そういう物が存在する。
ほとんど俺と関わりがなかったため、紹介する必要も無かったのだが、今回の聖学祭の準備やら何やらを進めていく中で、どうしても避けられないため、今回話しに上ったわけだ。
え?なんで避けられないかって?単純に、聖学祭の運営が生徒会だから。
確かに二つ名持ちは、一般生徒と比べて優遇されるなどと言った特権こそあるが、逆に言うとそれだけで、生徒という枠組みからは大きく外れてはいない。
特権だって、『二つ名持ちならコレコレこういう事までなら許されますよ』というルールの内側にある。
しかし生徒会は、若干その枠組みから外れる。
俺達二つ名持ちが『一般生徒より力を持った生徒』であるとするなら、生徒会の奴らは『一般的な先生より若干権限の低い先生』に近い。
何が言いたいのかと言うと、基本的に俺達の発言などにロクな力は無い。
いや、二つ名持ちに恩を売っておきたい奴や、逆に目を付けられたくない奴が多いため、結果的にその話が通るというケースがほとんどなのだが。
一方、生徒会の発言は、比較的弱いとは言え、生徒が逆らえない明確な命令となる。
つまり、俺達も逆らうことが出来ない。
…さて、そろそろお分かりの人達も多いだろう。
今回の問題は、俺達二つ名持ちと、生徒会との話。
簡単に言ってしまえば、二つ名持ちの出し物である演劇の申請が通らなかったというだけの話なのだが。
出し物の申請を簡単に言うと、クラス等で何をしたいかという事を書き、それを学校側へ提出、先生や生徒会が問題無しと判断すれば、その申請が通るというものだ。
問題というのは、様々な要因がある。
たとえば、生徒規則(とかいうものがあるらしい。知らなかった)に反する物や、良識の範囲外である物、実現不可能であると判断された物など。
しかし、俺達の出した内容は演劇。比較的誰にでも出来、ありふれたものではないだろうか。
《雷光》が軽く書いたシナリオにザッと目を通したが、特に何の問題も無い内容…いや、ごく一部の龍人種ドラゴニアンには非常に問題がある内容だったのだが、まぁ問題は無いとさせてもらう。
たった一つを除いて。
「何…?被った?」
目を見開き、驚愕という表情を顔に貼り付けているのは、もっとも楽しみにしていた《雷光》。
「はい。こちらの申請である演劇は、二年旧クラスの内容と同じ物になります。同じ物が申請された場合、先に申請されていた物が優先されますので、あなた達の演劇は却下となります」
生徒会の副会長を名乗った少女は、そう言って俺達二つ名持ち全員の前から去っていった。
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