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本編
特訓と答え
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「よし、回復したか?」
「…は、はい」
「んじゃ、また始めるぞ」
やや腰を落とし、そう宣言した後に聖女サマが頷いたのを確認してから、俺は地面を蹴って接近。勢いそのまま聖女サマの右肩を蹴り抜いた。
朝食が終わり、十分程度休憩した後に屋敷の裏に俺、聖女サマ、アーネが集まって聖女サマの特訓を始めた。
ちなみに今回はアップとか無しで、ハナっから俺が殴る蹴るをし続けるだけ。
既に聖女サマは三回ほどギブアップしており、そのたびにアーネの回復魔法のお世話になっている。
『今代の。落ちたぞ』
ん?おぉ悪い。
聖女サマが気を失ったらしいので、一瞬ラッシュを止めようかと思ったが──チラリとアーネを見ると、まだ気づいていないらしい。
なら。
そのまま流れるように回転し、裏拳を頬に強く叩きつける。
それだけで聖女サマは意識を取り戻し、自分の現状を再確認する。
よし、これでいい。
再びギリギリ死なない程度の攻撃を続ける。
『いや、よしじゃねーだろ。この一方的なサンドバッグ、一体いつになったら終わるんだよ…基準は何だ基準は。いい加減、俺にも教えろ』
あれ、お前は心読めるんじゃ…?
『何かよくわからんが、お前、ガッチガチに心にロックかけてるだろ。そのせいでこのリンチもどきの事に関しては一切わからん』
………よくわからんが、無意識にブロックしてるのかね?
まぁいいさ。
答えは単純、俺に痛打を入れる事だ。
『…は?お前、一方的にボコられろって聖女に言っときながら、逆にやり返せって言ってんの?』
おう。
「ちょっとあなた!聖女様が意識を失ってますわ!」
「ん?おぉ、頼んだ」
「頼んだ、じゃありませんわ!!」
ぐちぐち文句を言いながら回復魔法をかけるアーネ。ついでに俺にもかけていってくれたが、何となくいつもより雑になっているような気が…まぁ、治っているからいいか。
「よし、再開かな」
ペチペチと顔を叩き、聖女サマを起こす。
「…あ、あとどれぐらい続けるのですか?」
「さぁ?お前が合格になるまでじゃね?とりあえず、昼になれば休憩はするけど」
そう言って再び拳を握り、聖女サマを殴る。
正直、俺もうんざりしている。
もういっかなー、なんて思ってる。
『じゃあいいじゃねぇか。そもそも、その試験?は戦士の心構えの確認…みたいなもんだろ?』
お、シャル、よくわかったな。
けどさ、ここで適当にやって「ハイ合格」って言ったところで聖女サマが納得すると思うか?
『それは…しないだろうな』
だろ?クソ真面目で絶対に曲がらない、その上何もかもを信じきったような目をしてこっちを見てくるんだ。
その目がなんとも………………………………………………気に食わない。
だから俺の「ボコられ続けろ」って内容を疑いもせずにずっと実行し続けてる。
これじゃあ絶対に合格できないし、合格と嘘を言っても意味がない。
痛打を俺に入れろとは言わないから、せめて何か行動を起こしてもらわないと。
「ちょ、ストップ!ストップですの!!」
アーネのそんな叫びを聞きながら、俺は頭を捻っていた。
…あと二日と半日、か…。
「…は、はい」
「んじゃ、また始めるぞ」
やや腰を落とし、そう宣言した後に聖女サマが頷いたのを確認してから、俺は地面を蹴って接近。勢いそのまま聖女サマの右肩を蹴り抜いた。
朝食が終わり、十分程度休憩した後に屋敷の裏に俺、聖女サマ、アーネが集まって聖女サマの特訓を始めた。
ちなみに今回はアップとか無しで、ハナっから俺が殴る蹴るをし続けるだけ。
既に聖女サマは三回ほどギブアップしており、そのたびにアーネの回復魔法のお世話になっている。
『今代の。落ちたぞ』
ん?おぉ悪い。
聖女サマが気を失ったらしいので、一瞬ラッシュを止めようかと思ったが──チラリとアーネを見ると、まだ気づいていないらしい。
なら。
そのまま流れるように回転し、裏拳を頬に強く叩きつける。
それだけで聖女サマは意識を取り戻し、自分の現状を再確認する。
よし、これでいい。
再びギリギリ死なない程度の攻撃を続ける。
『いや、よしじゃねーだろ。この一方的なサンドバッグ、一体いつになったら終わるんだよ…基準は何だ基準は。いい加減、俺にも教えろ』
あれ、お前は心読めるんじゃ…?
『何かよくわからんが、お前、ガッチガチに心にロックかけてるだろ。そのせいでこのリンチもどきの事に関しては一切わからん』
………よくわからんが、無意識にブロックしてるのかね?
まぁいいさ。
答えは単純、俺に痛打を入れる事だ。
『…は?お前、一方的にボコられろって聖女に言っときながら、逆にやり返せって言ってんの?』
おう。
「ちょっとあなた!聖女様が意識を失ってますわ!」
「ん?おぉ、頼んだ」
「頼んだ、じゃありませんわ!!」
ぐちぐち文句を言いながら回復魔法をかけるアーネ。ついでに俺にもかけていってくれたが、何となくいつもより雑になっているような気が…まぁ、治っているからいいか。
「よし、再開かな」
ペチペチと顔を叩き、聖女サマを起こす。
「…あ、あとどれぐらい続けるのですか?」
「さぁ?お前が合格になるまでじゃね?とりあえず、昼になれば休憩はするけど」
そう言って再び拳を握り、聖女サマを殴る。
正直、俺もうんざりしている。
もういっかなー、なんて思ってる。
『じゃあいいじゃねぇか。そもそも、その試験?は戦士の心構えの確認…みたいなもんだろ?』
お、シャル、よくわかったな。
けどさ、ここで適当にやって「ハイ合格」って言ったところで聖女サマが納得すると思うか?
『それは…しないだろうな』
だろ?クソ真面目で絶対に曲がらない、その上何もかもを信じきったような目をしてこっちを見てくるんだ。
その目がなんとも………………………………………………気に食わない。
だから俺の「ボコられ続けろ」って内容を疑いもせずにずっと実行し続けてる。
これじゃあ絶対に合格できないし、合格と嘘を言っても意味がない。
痛打を俺に入れろとは言わないから、せめて何か行動を起こしてもらわないと。
「ちょ、ストップ!ストップですの!!」
アーネのそんな叫びを聞きながら、俺は頭を捻っていた。
…あと二日と半日、か…。
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