大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

休憩と対策

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昼過ぎまでは挑戦者が来たり来ていなかったりとしていたのだが、途中からぱったりとヒトが来なくなった。
「レイくぅん…交代だよぉ…」
「ん?あぁ、分かった」
二度目の交代。昼食をとりに食堂へ。
で、そこで軽く周りから聞こえた話をまとめると、どうやらアーネの魔法について対策を考えている様子。
保健室送りにされた奴の情報と自分達で集めた情報を合わせ、どう倒すか話してるらしい。
こう言う光景は去年の二つ名争奪戦の時に見た覚えは無いので、相当特殊な例になるのだろう。
集まっている生徒は五、六人。あまり見覚えのない顔ばかりなので多分一年か。
「──だから魔力切れを狙うぐらいしかない訳で…」
「馬ッ鹿お前、そんなの待ってられるかよ。それに待ってたら他の上級生が先に倒すって」
「じゃあ水系の魔法で防御ってのはー?」
「この前の聖学祭で西学の奴がやってたみたいに?」
「…それぐらいかな…?」
「やめとけ一年共。あんなの真似た所で三秒後には消し炭になる」
思わず横から口出しした。
「え、《緋眼騎士》!?」
なんだ、俺に気づいてなかったのか。
「あの西学がやってた水の玉、ありゃ相当強力な魔導具で補助しながら発動してたから持ち堪えてたんだ。普通にやりゃ一撃でぶち抜かれて終わりか、なまじ耐えても魔力が枯渇して終わりだ。それにアーネも馬鹿じゃない。一度された防御策ならもう突破する方法ぐらい用意してあるだろうよ」
そう言うと、少々戸惑いながらも一人質問をしてきた。
「…では魔力切れは…?」
「並の術者ならいい判断だろう。だがアーネは昨日相当量魔力を溜め込んでた。あれなら半日全力で魔法ブッ放し続けても余裕があるだろうな」
「なぁなぁ直球で聞きてーんだけどさ、アーネ先輩に勝つ方法ってあんの?」
「無くはない。魔法使いだから接近戦に強くないし、至近距離だと自身の炎で身体が焼けるから大技を撃ちにくくなる」
「え?でも聖学祭の時…」
「アレか?《炎竜の顎ドラゴ・バイト》の中での詠唱」
流石にあの場面は印象に残ったのだろう。それ故にアーネ自身が自分の炎でダメージを受けるとは思っていなかったらしい。
「ありゃ本人の痩せ我慢だ。あとは尋常じゃない集中力と訓練…要は慣れだよ」
「嘘…あんな所で詠唱する事を自分から練習して…?」
「それぐらいやるさ。だから候補に選ばれるんだ」
空気が焼かれても、自身が焼かれても絶対にこの詠唱は止めない。
それを成す精神力と集中力。
「じゃあ何、結局距離詰めても大技撃たれる時は撃たれるの?」
「そりゃ撃たれるだろうな。まぁ安心しろ。今日半日見てきたが、そもそもアーネに近づけた奴は見てない」
それに近距離戦が苦手とは言え、出来ない訳じゃない。
代表的なのがあの《炎牙の刃フランベルジュ》とかいう炎の大剣の魔法。
こちらも聖学祭で使っていたが、おそらくあれは《圧縮》を使わずに撃っていた。それなのにあの威力。
仮に圧縮された《炎牙の刃》を受けようものなら…まぁ流石にそんな物をフィールドもない所で撃てばどうなるか。それを彼女も充分分かってるだろうから撃たないだろうが。
「ま、怪我したくないならやめとけ。少しでも上の方のヤツらの実力に触れたいなら行ってもいいが、火傷は重症だと特に痛いぞ。覚悟してから来い」
「あのぅ…失礼かもしれないんですけど、参考までに聞きたいんです。もし貴方が《緋焔》と戦ったら、どちらが勝つんですか?」
「ん?んー…どうかな…」
色々と考えて、シュミレーションしてみて答える。
「五分五分。もしかしたら少し不利かもな」
そう答えた所で俺にメッセージが入り、一年達にじゃあなと一言言ってメッセージに出る。
相手は…ん、ユーリアか…手短に終わらせよう。
「どうした?」
『何、少し面白いカードが揃いそうで連絡をした。次の挑戦者、義肢の彼女だぞ』
「あ?セラが?…分かった、すぐ行く」
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