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本編
答え合わせと神父
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「だから、知ってはいた。が、気づいたのは完全に偶然だ。
始まりは、とあるオッサンにイチャモンつけられて、金を渡したんだよ。ただ、金をタダでやるのは気に食わなかったんでな。少し細工をさせてもらったんだよ。俺が寄越した金が、独りでに帰ってくるようにな。けど、その金はいくら待っても帰ってこなかったんだよ。まぁ、最初はすぐに使われてそのまま運悪く都市の外に持っていかれて帰れなくなったのかと思ってたんだが…その金貨が、偶然教会で見つかってな」
聖女サマが祈りたいと言っていた夜、外をぶらついていた俺が偶然見つけたソレは、力尽きたようにしてそこに転がっていた。
「それが昨日だ。で、今日。聖女サマが攫われた後に同じオッサンが大量の武器を買ってた。俺の金貨を使わずに。普通、そんな大金持ちがたかだか数枚の金貨を俺に寄越せと言うか?言わねぇだろうなぁ…。ここで、オッサンが何故武器を大量入手していたのか、ということを考えた。結果、答えが一つ出た」
このオッサンが、教会に敵対する集団と何らかの関係がある、という事。
「何のためにそんな武器を大量に?簡単。武器ってのはすべからく敵を傷つけ、殺すためにあるものだ。どんな高尚な思想や理念があろうと、突き詰めりゃそうなる。そんな武器を、この第二都市である、ここゼランバで集めてどうするのか?魔獣の進行はまず有り得ないし、警備する人達は一応、非殺傷の武器…たとえば警棒とかを持つことを義務付けられてる」
これはエルストイが言ってた。
もっとも、だからと言って殺せない訳じゃないらしいが。
「何を攻撃するのか?敵を攻撃する。敵とは何だ?恐らく、人。それも、大勢で襲うような相手なら──超強力な一個人、あるいは、超膨大な一集団だと考えるのが妥当だ」
そうなると、自ずと答えが見えてくる。
強力な一個人と、膨大な一集団。
「アンタらは──今から無差別にここ、ゼランバの市民を襲う気だろ?いや、だったんだろ?わざわざこの日を狙ったのは、この星祭りって言う教会最大の祭りを敢えて潰すことで、教会の威信失墜とか?どうよ。これで合ってるか?」
万が一、他にこいつらが潜んでいる場合を考えて、アーネからエルストイにこの事を伝えるように言ってあったため、俺もここに集中出来たわけだ。
じっ、と神父を見つめる。
すると神父は、口をゆっくりと歪め「正解」、とこれ以上に嬉しいことは無いと言わんばかりに答えた。
「素晴らしい!百点満点中、九十五点差し上げましょう!!あなたの推理は完璧だった!!」
「あ?九十五点?残り五点は?」
「簡単ですよ」
神父が何も無い空間を押した。
と、クモの巣状に空間に罅が入り──。
「襲う気だった、ではありません。襲う気なんですよ、まだね」
──異形が出てくる。
始まりは、とあるオッサンにイチャモンつけられて、金を渡したんだよ。ただ、金をタダでやるのは気に食わなかったんでな。少し細工をさせてもらったんだよ。俺が寄越した金が、独りでに帰ってくるようにな。けど、その金はいくら待っても帰ってこなかったんだよ。まぁ、最初はすぐに使われてそのまま運悪く都市の外に持っていかれて帰れなくなったのかと思ってたんだが…その金貨が、偶然教会で見つかってな」
聖女サマが祈りたいと言っていた夜、外をぶらついていた俺が偶然見つけたソレは、力尽きたようにしてそこに転がっていた。
「それが昨日だ。で、今日。聖女サマが攫われた後に同じオッサンが大量の武器を買ってた。俺の金貨を使わずに。普通、そんな大金持ちがたかだか数枚の金貨を俺に寄越せと言うか?言わねぇだろうなぁ…。ここで、オッサンが何故武器を大量入手していたのか、ということを考えた。結果、答えが一つ出た」
このオッサンが、教会に敵対する集団と何らかの関係がある、という事。
「何のためにそんな武器を大量に?簡単。武器ってのはすべからく敵を傷つけ、殺すためにあるものだ。どんな高尚な思想や理念があろうと、突き詰めりゃそうなる。そんな武器を、この第二都市である、ここゼランバで集めてどうするのか?魔獣の進行はまず有り得ないし、警備する人達は一応、非殺傷の武器…たとえば警棒とかを持つことを義務付けられてる」
これはエルストイが言ってた。
もっとも、だからと言って殺せない訳じゃないらしいが。
「何を攻撃するのか?敵を攻撃する。敵とは何だ?恐らく、人。それも、大勢で襲うような相手なら──超強力な一個人、あるいは、超膨大な一集団だと考えるのが妥当だ」
そうなると、自ずと答えが見えてくる。
強力な一個人と、膨大な一集団。
「アンタらは──今から無差別にここ、ゼランバの市民を襲う気だろ?いや、だったんだろ?わざわざこの日を狙ったのは、この星祭りって言う教会最大の祭りを敢えて潰すことで、教会の威信失墜とか?どうよ。これで合ってるか?」
万が一、他にこいつらが潜んでいる場合を考えて、アーネからエルストイにこの事を伝えるように言ってあったため、俺もここに集中出来たわけだ。
じっ、と神父を見つめる。
すると神父は、口をゆっくりと歪め「正解」、とこれ以上に嬉しいことは無いと言わんばかりに答えた。
「素晴らしい!百点満点中、九十五点差し上げましょう!!あなたの推理は完璧だった!!」
「あ?九十五点?残り五点は?」
「簡単ですよ」
神父が何も無い空間を押した。
と、クモの巣状に空間に罅が入り──。
「襲う気だった、ではありません。襲う気なんですよ、まだね」
──異形が出てくる。
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