大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

内容と間引き

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ホントに十二人もいやがった。ふざけんな。
もう明らかに俺が教えられるキャパを超えてるんですが。そもそも、二人程度、多くとも三、四人の予定だったのに。一体どうしてこうなった。
『どうするよ今代の。お前の思い描いてる練習、生半可な気分でやろうとしても出来ないもんだろ』
…ま、いっか。それでふるい落とそうか。
『…それしかないよな』
「はーい、んじゃ始めるぞー。あと、本格的に受けたいヤツ以外は速攻であそこのデカイ扉から帰ることをオススメする」
一応、まだこの時点では誰も出ていかないか。ちなみに男子七人、女子五人。
「それじゃあまず、前に来てこのブロックを取りに来てくれ。まずは一人一つな。その後は周りの人と少し離れて陣取ってくれ。そうだな、自分の武器の間合いの二倍は最低離れてー」
俺が持ち上げたのは、大体の大きさが三十センチ四方の茶色い立方体。
それぞれが一つずつ持っていき、離れて立つ。
「んじゃ、これで彫り物してくれ。お題は…うん、自分の持ってる武器で」
「「「は?」」」
似たような反応があちこちから上がった。
「彫り…物?」
一番俺に近い位置にいた少女が繰り返す。
「そそ。ただ、地面に置いてコツコツ彫るアレじゃない。こうやって──」
ぴっ、とブロックを宙に放り投げ、既に抜いてあった黒剣を超速で振るう。
ガガガガガガガ!と、剣戟にあるまじき音が十秒以上響いた後、俺が手を止めると、それが俺の手の上に落ちた。
ブロックだったものはふたまわりほど小さくなっており、形は細長い棒の剣が交差する形のオブジェクトに変貌を遂げていた。もちろんモデルはこの黒剣。よくよく見ると、俺の黒剣に刻まれている細かい文字すらも彫られている。うむ、我ながらいい出来だ。
「ほい、出来上がり。これをやってもらう。最初は不細工な作品になろうが関係ないから、とりあえず数をこなすことになると思うけど、まぁ頑張れ。コツは下からの攻撃を加えると多少落ちるのが遅くなるから、攻撃は下からする方が最初は楽だぞ。さて、他になにか質問はある?」
文句は無かったようだが、漏れるでっかいは大いにあるようで。
「おい、今の手元見えなかったんだが…」「えー、ウチあんなん無理ー」「俺、メイン魔法だし。こんなのするの時間の無駄なんだよな…」
『基本的に無理、ってのがコイツらの思い、だな』
まぁ、俺もそう思ったよ。初めて見た時は。
けど、これが一番手っ取り早いんだよな。
「もう一回言うぞ?本気でやりたい、と思っている奴だけ残れ。それ以外は今すぐに出てけ。じゃなきゃ時間の無駄だ。互いにな」
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