大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

許可とまとめ

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結局、部屋の増築は認められなかったが、彼女は俺達と同じ部屋で過ごすことが渋々ながら容認された。
また、残りの要望も少し眉をひそめられたりしたが、どちらも容認された。
そして、彼女の今後の扱いについてだが、どのみち彼女を御せる者がいないと不味いという判断から、俺達のクラス…ってか俺の班に無理矢理捩じ込むことになったらしい。説明とかどうするんだろ。
さて、ここから軽くダイジェスト。
この後、午後の実戦訓練が控えてる。
多分、俺は参加しても参加しなくても特に何も言われないから、俺は休んで、彼女と過ごした。
学校長が「明日の朝に先生方へ通達を出すので、それまで暫く彼女の事を隠しておくように」的なことを言ってたので、夕飯は自室に運んで食べた。
んで翌日。
学校長の言った通り、先生達にしっかりと話は通したらしく、オードラル先生に彼女を会わせ、制服やら何やらを貰った。
一応、彼女も一緒に学校の授業を受けたが、さっぱりわからないと言った風だった。そもそも字が読めてない雰囲気だしな。
午後の戦闘訓練も少しだけ参加させる予定だったが、彼女が素手だったため、クードラル先生が急遽彼女を見学に回していた。素手でも何とかなりそうな感じなんだがな。
あぁ、そうそう、いつまでも彼女じゃ少し不便だな。
学長室で名前を聞かれたから、適当に名前を俺がその場で考えてつけてやった。あ?シンって名前?んなモン犬にでも食わしとけ。
シエル・フィーネ。そう名付けた。ちなみに、シエルって名前はいつぞやに赤髪の魔法使いに借りた本に出てきたお姫様の名前をそのまんま拝借した。フィーネについては聞くな。
そんな訳で数日もたった頃には彼女は少しずつクラスに溶け込もうとしていた。
白い髪と暗い色の肌は魔族の特徴だが、そこに赤い目、という特徴が無いだけで、誰も彼女が魔族とのハーフって事には気づいてない様子。魔族とのハーフって存在は、気にするやつは気にするらしい。逆に、気にしないやつは気にしないらしく、学校長はどちらかと言うと気にしないらしい。が、やはり火種は持ち込みたくなかったのだろうなぁ、と今更思う。
まだ言葉に少し不自由していて、喋る時に「……あそ…ぼ?」みたいな感じで結構途切れたりするが、それがどうやらクラスの女子にウケたらしく、よく構ってもらっている。俺には小さい子供の面倒なんて見た経験がないから、非常に助かる。…たまにシエルが彼女達から逃げて、俺に飛びつく事があるが。
最初に懸念されていた事故とかは今の所ない。シエルにも言い聞かせてるしな。
ただ、一個だけ問題があるとすれば。
「……おかあさん」
「…シエル、俺の事をお母さんって呼ぶの、やめような?」
「……?」
俺のことをそう呼ぶのを止めない事ぐらいだろうか。
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