大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

相談と予想

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さて、ここでちょっとした問題が発生した。
何を隠そう滞在日数のことである。
覚えているかどうか分からないが、俺のプクナイム滞在予定日数は丁度一週間。
で、今日…つまり元都市長と会ったこの日、この時点で滞在日数は六日目。明日の昼頃にはプクナイムを出て森へ向かわなくてはならない。
聖学の夏休みの日数はおよそひと月。ざっと三十日として、その四分の一近くを使っている事になる。この後にも行くところがあるので、正直言って、こんな所でもたついている場合では無いのだ。
だと言うのに、今このタイミングで謎が増えたり俺の知りたかったことのほとんどが知れなかったりと、手間は増える一方。正直やってらんない。
「…どうすっかな」
宿屋に帰る道すがら、シャルに話しかけるつもりで独り言をボソボソと呟き続ける。心の声が聞こえなくなったとはいえ、僅かな囁きでも聞き取ってくれるので正直以前とあまり変わらない気がする。
『…なるほどな』
俺の話を聞いたシャルは一言そう呟き。
『元都市長の話を無視するってのはどうだ』
と言った。
「別に問題は無いだろうよ。だがまぁ、なんだろうか、こいつが関わってる気がするんだよなぁ…」
そう言ってポケットの中に入れたままにしてある闇色の石ころを指先で撫でる。
『理由は?』
「ま、とりあえずは元都市長が知らなかったってこと。次いでそれが元都市長の家の地下にあったってこと、かな」
『それ、わざわざ別々にするような理由なのか?』
「当たり前だろ。この二つはまるで別の意味を持つ」
まず、だ。
「元都市長が知ってるかどうか。これはそのままの意味。この物体の存在をあいつが知ってるかどうか、だが知らなかった。その場合、二つ目の疑問が浮上する訳だ」
『なるほど、何故この石を知りもしない元都市長の家の地下に、これがあったのかって事か』
「ま、そんな感じ。それも地下だぜ?入口は家の中にあったあの下り階段一つだけだったし、誰かがあそこに置いたとしたら意味不明過ぎる上に、元都市長は侵入者が家にはいっても気づかなかった間抜けって事になる」
流石にそれは無いだろう。あそこは人にそう見せられるような空間では無いし、その辺の管理もしっかりしているはず。
『んじゃもう犯人ほぼほぼ決まりじゃね?』
「あ?誰よ」
『んー?だってさ、条件ってあれだろ?』
えーっと、と思い出しながら言うようにシャルは数え出す。
『まず第一に、メリットがある事。現状は何か断言は出来んが、ともかく計画犯にとってプラスに働く何かだ。次に元都市長の改竄を知ってた奴。じゃなきゃ表向きにあいつを捕まえることは出来ないだろうし、改竄についてはあの男が自分で言ってるし。そんで最後、ガロンがその情報提供者を隠すような奴』
「…ンなのいるのか?」
『あ?そりゃいんじゃん。今の都市長だろ』
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