1,402 / 2,022
本編
人馬と緋眼4
しおりを挟む
拳の嵐とでも言うような激しい乱打が俺を襲う。
咄嗟に金剣を出し、壁を蹴って脱出を試みるが──相手の反応の方が早い。肩の上を抜けたはずが、足首を捕まれ床に叩きつけられる。
「ぐっ、うぅ…!?」
『レィア!』
防御する暇もなく頭から叩きつけられ、衝撃が頭から首へと下に広がる。
当然相手の攻撃はそれで収まらない。
もう一度、二度、さらにもう一度。そこまでは覚えていた。恐らく数秒程気を失っていたのだが、気づいた時には壁に頭を押し付けられ、訓練所を一周していた。
「離し、やがれ!」
俺の頭を掴む腕に身体を絡ませ、そのままへし折ろうとするがびくともしない。ダメージがないのか、そもそも痛覚がないのか。なんにせよそれでもまだ離されず、再び床に叩きつけられそうになる。
「っ、《聖弾》!」
度重なる《聖弾》の使用により、俺が使う《聖弾》は戦技であると世界側から認められた。
そこまでの熟練があるからこその詠唱破棄。
技の名前を叫び、剣の側面を指でなぞる事でトリガーはみたされ、金の剣は魔法へと姿を変える。
現れた魔法は出現すると同時に人馬とぶつかる。本来なら俺の周りに浮遊するはずだが、人馬が近すぎたのだ。
『Viaa!?』
複数の魔法が直に人馬へ当たり、鼓膜を破らんばかりの轟音と共に俺と奴の距離を強引に作らせた。
「っ、ガァッ!」
ぶっ飛ばされ、転がり、即座に起あがると、俺の傍らには土の魔法。これだけが残ったか。
人馬も即座に起き上がるが、どうやら今ので腕が一本動かなくなったようだ。だらりと力なく垂れ下がっている。
普通ならあの魔法ひとつでも即死級の威力はあるのだが、奴には三つぶつけても腕一本で済む程度らしい。全く、戦っているのが馬鹿らしくなる。
《聖弾》ですらこの程度か。
もしも古い方の銀剣があれば。そう思わずにはいられない。
今の銀剣だと、俺の戦技《音狩り》あるいは《終々》が撃てないのだ。
理由は単純。今の銀剣では重すぎて戦技が出ないのだ。
あの二つの戦技は俺の奥義とも言えるまさに必殺技。まさに切り札。まさに真髄。戦技が決まりさえすれば、ほぼ間違いなくやつを倒せる。
だが、故に制約が三つある。
ひとつめは何よりも軽い事。どちらも速さの限界を超えた速度を出しながら、異常なまでの精密さを必要とするからだ。
ふたつめは切れ味がいい事。と言うより、骨だろうが甲殻だろうが何だろうが簡単に切り裂けることと言うべきか。
そして最後に双剣であること。双剣の方が圧倒的に戦技のイメージが湧きやすい。というか、今まで一度も双剣以外で《音狩り》も《終々》も発動したことがないのだ。
それらを満たすのが黒剣だったのだが…銀剣の双剣は重すぎる。あれは使えない。
それでも──
「やるしかねぇ」
そう言って覚悟を決め、銀剣を抜いた時だった、
銀剣の側面、そこに刻まれた謎の文字が光を放ち、強く輝きを放った。
咄嗟に金剣を出し、壁を蹴って脱出を試みるが──相手の反応の方が早い。肩の上を抜けたはずが、足首を捕まれ床に叩きつけられる。
「ぐっ、うぅ…!?」
『レィア!』
防御する暇もなく頭から叩きつけられ、衝撃が頭から首へと下に広がる。
当然相手の攻撃はそれで収まらない。
もう一度、二度、さらにもう一度。そこまでは覚えていた。恐らく数秒程気を失っていたのだが、気づいた時には壁に頭を押し付けられ、訓練所を一周していた。
「離し、やがれ!」
俺の頭を掴む腕に身体を絡ませ、そのままへし折ろうとするがびくともしない。ダメージがないのか、そもそも痛覚がないのか。なんにせよそれでもまだ離されず、再び床に叩きつけられそうになる。
「っ、《聖弾》!」
度重なる《聖弾》の使用により、俺が使う《聖弾》は戦技であると世界側から認められた。
そこまでの熟練があるからこその詠唱破棄。
技の名前を叫び、剣の側面を指でなぞる事でトリガーはみたされ、金の剣は魔法へと姿を変える。
現れた魔法は出現すると同時に人馬とぶつかる。本来なら俺の周りに浮遊するはずだが、人馬が近すぎたのだ。
『Viaa!?』
複数の魔法が直に人馬へ当たり、鼓膜を破らんばかりの轟音と共に俺と奴の距離を強引に作らせた。
「っ、ガァッ!」
ぶっ飛ばされ、転がり、即座に起あがると、俺の傍らには土の魔法。これだけが残ったか。
人馬も即座に起き上がるが、どうやら今ので腕が一本動かなくなったようだ。だらりと力なく垂れ下がっている。
普通ならあの魔法ひとつでも即死級の威力はあるのだが、奴には三つぶつけても腕一本で済む程度らしい。全く、戦っているのが馬鹿らしくなる。
《聖弾》ですらこの程度か。
もしも古い方の銀剣があれば。そう思わずにはいられない。
今の銀剣だと、俺の戦技《音狩り》あるいは《終々》が撃てないのだ。
理由は単純。今の銀剣では重すぎて戦技が出ないのだ。
あの二つの戦技は俺の奥義とも言えるまさに必殺技。まさに切り札。まさに真髄。戦技が決まりさえすれば、ほぼ間違いなくやつを倒せる。
だが、故に制約が三つある。
ひとつめは何よりも軽い事。どちらも速さの限界を超えた速度を出しながら、異常なまでの精密さを必要とするからだ。
ふたつめは切れ味がいい事。と言うより、骨だろうが甲殻だろうが何だろうが簡単に切り裂けることと言うべきか。
そして最後に双剣であること。双剣の方が圧倒的に戦技のイメージが湧きやすい。というか、今まで一度も双剣以外で《音狩り》も《終々》も発動したことがないのだ。
それらを満たすのが黒剣だったのだが…銀剣の双剣は重すぎる。あれは使えない。
それでも──
「やるしかねぇ」
そう言って覚悟を決め、銀剣を抜いた時だった、
銀剣の側面、そこに刻まれた謎の文字が光を放ち、強く輝きを放った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
233
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる