大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
319 / 2,022
本編

発端と剣

しおりを挟む
「あー、そうだな…事の始まりはだな、今この場にはいない、システィ・ルゼットという少女の話からだ。…システィが誰かわかるか?」
「わからんでもない。あの小べ──」
「?…どうかしたか?」
「いや、何でもない」
アーネ、俺怪我人だぞ?見えない位置から脇腹にそっと拳をねじ込むんじゃありません。
肋骨、また折れちゃうから。
「んで、あの女がどうかしたか?」
「あぁ、彼女はゼヴァルナアークに仕える使用人…というかの使用人でな?彼女が今年一緒にこの学校に入ったのだ」
コレ、の所で先輩のケツをぺしぺしと叩くユーリア。
お前…《逆鱗》の逆鱗に触れてるよな?ってか引っぺがす勢いだよな?
「で、彼女が入学した目的は単にコレに学校でも仕えようとしたらしく、今年ようやく受かったらしいのだが…まぁ、そこはどうでもいいだろう。問題の始まりはレィア、君の剣にあった」
…まぁ、何となく知ってた。
ってか、ルトが何度も「その剣寄越せェェェ!!」みたいな事言ってたしな。
『お、なになに?やっと答え教えてくれんの?』
シャル、ナイスタイミング。
もし出てこなかったら後日また教えるのが面倒だった。
『後から教えるから待ってろ~みたいな事言っといてあれから一週間だからな。ちょっと文句言ってやろうと出てきたトコロだ。よかったよかった』
「レィアが銀剣と呼んでいるその剣、それは元々、龍人種ドラゴニアンの物だったんだ。ちなみに金剣はウチの…耳長種エルフの物だな。宝剣とかよく呼ばれてたな」
うん、それはまぁ、戦う直前にそれっぽいことをルトが言ってたな。
『だな。ここはおさらいパートってことで読み飛ばしてもいい?』
こら、微妙にメタい事を言うな。
あと、そんな事したら作者が泣くぞ。
とか何とか言ってたら。
「───ひゃうっ」
なんか変な声が聞こえた。
隣を見ると、変な顔で固まったアーネ。
あぁ、そうか。
コイツはその場にもいなかった上に急にこの話が始まったから完全に話が飲み込めてない奴だな。
「え、あの、その、えーっと?あな、あななな、貴女?貴女ってもしかして大貴族の子供とかそんな話ですの?」
……あぁ、そっちに勘違いしたか。
「んなわきゃないだろ。…俺は確かに捨て子だから、隠し子…とかって考えれば有り得なくはないかもしれないが、有り得ないだろ。俺の出身は東にある紅の森、大貴族の家は遠く離れた王都。東の貴族なら会ったりだとかは無いことも無いかもしれないが、少なくとも俺がこの学校来るまでに出会った人間はナナキを除いて…いや、除かなくてもいいか?まぁ、両の手で収まる程度だ。その中に妖精種フェアリーはいなかったと思うぜ」
「それは…その、すみませんでしたわ」
「ん?気にすることじゃねぇよ」
「あー…、話の続き、いいか?」
悪い、ちょっと忘れてた。
「どうぞ」
おほん、と咳払いを一つした後、ユーリアが再び口を開く。
「実はその剣がだな、三十年ぐらい前に奪われてしまってな…」
少し言いにくそうにユーリアはそう言った。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

種族統合 ~宝玉編~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:481

まほカン

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:32

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:94

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:666

処理中です...