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本編
潜入と潜伏
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と言う訳でその日の夜、俺は学校に忍び込むことにした。
狙いはカイル先生が言っていた血の受け渡し現場をおさえること。
血はあの注射痕からして明らかにシエルの物だろう。《臨界点》曰く、半魔の血はかなり貴重なものらしいので何か用途があるのだろう。
とりあえず学校に侵入完了。もちろん一人だ。アーネは身体スペック的にそもそもこういうのに向いてないので置いてきた。
「さて、と」
職員室の引き戸をそっと開けて入ろうとするが…中々開かない。鍵がかかっているらしい。
手応え的に魔法的なものじゃなく物理的に鍵がかかっていると分かったので、鍵穴から髪をそっと入れて鍵を開けて入る。もしも魔法的な鍵だったら…力づくしかないな。俺には。
小さくカララ…と音を立てて開いた先、職員室に潜入成功する。
いつもならコーヒーの匂いと独特の温い空気、先生だけでなく生徒の活気も満ちているこの空間。誰一人としていない、物音すら聞こえない、あるのは部屋に染み付いたコーヒーの匂いと月明かりだけ。
ひとまずカイル先生の机を探し、物色する。
あの先生はいつも身の回りのものを白で揃える癖があるので、すぐに見つかった。
しかし、引き出しを開けて血の入った試験管なり瓶なりを探すがどこにもない。いや、三段引き出しの一番下が魔法的なロックと物理的なロックに阻まれた強固な引き出しだった。あるとしたらそこか。
「ぐぅ…」
だとしたらどうしようもない。引き出しをぶっ壊して取り出すのは容易だが、それを直すのは容易ではない。一度確認しておきたかったが、見れないのなら仕方ないか。
夜に引取りに来るとか言っていたので、正確な時間が分からない。なら、いつ来ても大丈夫なように、早めに隠れた方がいいだろう。
少し考え、カイル先生の机から少し離れた先生の机の下に隠れる。ここの位置ならカイル先生の机からは見えないはず。あとはただひたすらそいつを待ち続けるだけだ。
そうしてどれだけ待っていただろうか。
しゃがんだままの状態というのは意外と身体が疲れる。と言うか足の血流がぐっと押えられて悪くなってる気がする。
俺だってスキルを総動員して和らげているものの、大変なのは変わりない。早く来てくれと思いながら机の下で踏ん張っていたその時。
微かだが確実に音が聞こえてきた。
カツンコツンと硬い床を硬い靴底で蹴るようにして歩く足音。
その音は徐々に大きくなってこちらへ──来る。
いや、しかし足音が突如止まり、沈黙が流れる。
「………。」
扉の外で止まった。何をしている?
まさかバレた?でもなんで。
そう思っていると、ガラガラガラと音を立てて戸が開かれる。良かった。入って来てくれた。
カツンコツンと足音がゆっくりと進み、ゆっくりと職員室に入ってくる誰か。
俺の位置からは足元しか見えんが、女だろうということはわかった。
男で口紅のような真っ赤なヒールを履く奴はそうもいまい。
やがてそいつがカイル先生の机の辺りに来たところで、俺は机の下から飛び出し、相手に飛びかかった。
狙いはカイル先生が言っていた血の受け渡し現場をおさえること。
血はあの注射痕からして明らかにシエルの物だろう。《臨界点》曰く、半魔の血はかなり貴重なものらしいので何か用途があるのだろう。
とりあえず学校に侵入完了。もちろん一人だ。アーネは身体スペック的にそもそもこういうのに向いてないので置いてきた。
「さて、と」
職員室の引き戸をそっと開けて入ろうとするが…中々開かない。鍵がかかっているらしい。
手応え的に魔法的なものじゃなく物理的に鍵がかかっていると分かったので、鍵穴から髪をそっと入れて鍵を開けて入る。もしも魔法的な鍵だったら…力づくしかないな。俺には。
小さくカララ…と音を立てて開いた先、職員室に潜入成功する。
いつもならコーヒーの匂いと独特の温い空気、先生だけでなく生徒の活気も満ちているこの空間。誰一人としていない、物音すら聞こえない、あるのは部屋に染み付いたコーヒーの匂いと月明かりだけ。
ひとまずカイル先生の机を探し、物色する。
あの先生はいつも身の回りのものを白で揃える癖があるので、すぐに見つかった。
しかし、引き出しを開けて血の入った試験管なり瓶なりを探すがどこにもない。いや、三段引き出しの一番下が魔法的なロックと物理的なロックに阻まれた強固な引き出しだった。あるとしたらそこか。
「ぐぅ…」
だとしたらどうしようもない。引き出しをぶっ壊して取り出すのは容易だが、それを直すのは容易ではない。一度確認しておきたかったが、見れないのなら仕方ないか。
夜に引取りに来るとか言っていたので、正確な時間が分からない。なら、いつ来ても大丈夫なように、早めに隠れた方がいいだろう。
少し考え、カイル先生の机から少し離れた先生の机の下に隠れる。ここの位置ならカイル先生の机からは見えないはず。あとはただひたすらそいつを待ち続けるだけだ。
そうしてどれだけ待っていただろうか。
しゃがんだままの状態というのは意外と身体が疲れる。と言うか足の血流がぐっと押えられて悪くなってる気がする。
俺だってスキルを総動員して和らげているものの、大変なのは変わりない。早く来てくれと思いながら机の下で踏ん張っていたその時。
微かだが確実に音が聞こえてきた。
カツンコツンと硬い床を硬い靴底で蹴るようにして歩く足音。
その音は徐々に大きくなってこちらへ──来る。
いや、しかし足音が突如止まり、沈黙が流れる。
「………。」
扉の外で止まった。何をしている?
まさかバレた?でもなんで。
そう思っていると、ガラガラガラと音を立てて戸が開かれる。良かった。入って来てくれた。
カツンコツンと足音がゆっくりと進み、ゆっくりと職員室に入ってくる誰か。
俺の位置からは足元しか見えんが、女だろうということはわかった。
男で口紅のような真っ赤なヒールを履く奴はそうもいまい。
やがてそいつがカイル先生の机の辺りに来たところで、俺は机の下から飛び出し、相手に飛びかかった。
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