大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

朝と訪問

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………。
あ、おはよう。
なんかずっとベッドにいたから変な気分だわ。
あぁ、昨日貸してもらった本は一応読破した。
内容は予想通りというかなんと言うかご都合主義かつ美化され切ったお話。
そんな囚われの姫が死ぬ直前で騎士が姫を助けるとか…どんなんだよ。
現実には、まぁ有り得ない話だった。
っつーかアーネよ。
まさか、トイレについてきたからもしかしてと思ってたけど、風呂にまで着いてきやがったよ。
しかも、トイレん時は外で待ってたけど、風呂はどこから取り出したか知らんが赤い水着を着用(その癖制服はつけてなかった)して入って来やがった。
いや、助かったのは否定しないけどさ…。
この南のはじっこで、湖すらないこの荒野で、どんな想定でお前はソレを荷物に入れてたんだと問いたかった。マジで。
んでまぁ、夜は夜で治療だよな。
アーネ曰く、肋骨はこれでほとんど治ったらしいが、まだ完璧ではないらしい。あと、内臓の傷もまだ幾分残ってるらしい。
これで歩く程度なら出来るようにはなった。
…さて。
今の時間は朝の九時。
少しばかり遅いが、朝食を作ろうとアーネがキッチンに篭って、既にいい匂いがそっちの方から匂っているからそろそろ出来上がる頃だろう。
多分、朝食を食べ終わり、片付けなどが済んだ頃にユーリアが来る…と思う。
そんな訳で朝飯を食ってたら。
ガチャ。
「え?」
軽い既視感を感じつつドアの方を見ると。
「レィア、体調はどうだ?」
「おう、ユーリアか。おはよ。あと、怪我人だからココにいるんだ。体調がいい訳ねぇだろ」
「それもそうだな。よかった、元気そうだ」
「おいテメェ、話聞いてたァ?」
とかなんとか雑談してたら。
「ゆっ、ユーリアさん!?まだ約束の時間には──」
まぁ、アーネが言う通り。
確かに時間はまだ九時半にすらなっていない。
けどまぁ。
「元々朝飯食おうぜって話でこの間集まったんだ。別にいいんじゃねぇ?…まぁ、ユーリアの分の飯はないっぽいけど」
「あぁ、私は済んだからいい。が、その前に」
「あん?何だ?…あ、剣か?剣を持ってるなら少し待っててくれ。もう少しで食べ終わるから、そしたら受け取るから」
手元にあった剣が全く所在が分からなかったり、敵の手の上にあったら不安で仕方ないが、信頼の置けるユーリアが管理してるなら大丈夫だろ。
と、そこで気づいた。
「…あれ?俺の剣は?部屋に置いてきたか?」
今、ユーリアは私服で、まさに耳長種エルフって感じのワンピース。
つまり、武装とかしてる雰囲気が一切ない。
もちろん、あの大層ゴツい金剣銀剣も。
「あぁ、外にあるんだ。持ってくるか?」
そういう事なら。
「なら持ってきてしまってくれ。流石に部屋の外に剣を置きっぱなしなのは少しな…」
すると、ユーリアは「わかった」と返すと、手を叩く。
何してるのか分かんなかったけど、ドアが勝手に開き、剣が運ばれてきた。
────ルトが担いで。
白銀の腕アガートラムッ!」
俺は迷わずに銀腕を作り、思いっきり振りかぶった。
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