大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

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さて、部屋に戻ったはいいが、まだみんなが起き始めるまで時間はある。なら、この後のことを考えて時間を潰すか。
椅子に深く座り、一度身体の力を抜く。
とりあえず《臨界点》の話を鵜呑みにすんのは不味いよなぁ。かと言って黒幕が研究所ってんなら止めないといけないし。
しかしどうやって?研究所にメリットのある取引でも持ちかけるか?でもメリットのあるってどんな?
いや、実はないことも無いのだが…切れない手札をあるとは言えない。
うーん、俺馬鹿だからよくわかんねぇし、とりあえず潰してみるか?でもそれって完全に《臨界点》の予定通りなんだよな…
そこまで考えて一度思考を切る。背もたれに体重を預けながらゆっくり椅子を後ろにたおし、斜めの状態で椅子を止めて天井を見る。
…にしても、死者の蘇生ねぇ…
『どうした今代の』
うんにゃ、なんでも。つーかお前もどうしたよ。最近こっち来ることも減ってよ。
『ん。まぁ、ちょいとな。で、死者の蘇生がどうしたって?』
そういや、ちょっと前からシャルやレイヴァーがこっちに来ていなかったと思い、その説明を軽くする。
『ほーう、そんな事が。今代のはどうするつもりなんだ?』
そりゃ勿論シエルが安心して過ごせるように…
『そりゃわかってる。具体的に何をどうしていくつもりなんだって聞いてる』
それを考えてた。多分《臨界点》の情報は大体合ってる。っつーか、九割以上は合ってると思う。だから黒幕とかも疑ってないし、研究所を襲えばシエルの方も収まると思う。
『そりゃ研究所側に、また荒らされたくなけりゃシエルに手を出すな、って言えばどうしたって黙るしかないだろうしな。いや、ワンチャン退学がありえるか』
どうだろうか。その辺は五分五分な気がする。
一応、狭間の子についての情報を研究所は欲しているし、万が一シエルが暴れたら安全に止められるのは俺だけ、学校長の依頼もそれなりにやっているし、そもそもシエルがハーフっていうこと自体がある種切り札か。そう簡単に切られはしないと思うが…あぁ、口封じで殺そうとする可能性も無くはないのか。
『口封じは余程の事がないとされないだろ…と、思いたいが。そもそもあの学校長、そんなに短絡的な奴だっけ?』
んにゃ、冷静沈着と出来る女って言葉が似合うクールビューティさんだ。俺はアイツ嫌いだけど。なんか好きになれねぇ。
『お前の好き嫌いの話を聞いてる訳じゃないだろ……ならそう簡単に殺されはしないだろ。というか、そんだけ抱えてるなら学校側も黙ってた方が得策かもな』
だからある程度無茶しても大丈夫なはず…《臨界点》はこれも見越してたのか?それとも退学になるって踏んで俺に依頼してきたのか?分からんが…まぁどっちでも有り得そうな話だ。
『ちなみに、シエルの件はいつまでに蹴りをつけるんだ?』
今週中。出来りゃもっと平和に解決したいんだがな…現実はままならないものだ。
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