大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

確認と決闘

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「「レィアくん!」」
「…」
「確認を取りたい」
《不動荒野》は、どこか嬉しそうに。《雷光》はジッと俺を睨んで。
周りの観客は、一瞬の出来事に呆気に取られ、すぐにブーイングをして来た。
あぁ、一体俺の気分を察している奴はどれ程いるのだろうか。
「テメェらの喧嘩の景品に俺が賭けられた。端的に言うとそれで合ってるな?」
「そんな、」「私達はただ「レィアくんを守ろうと」」
「私は貴様が泥棒猫に盗られないように」
ギャアン!!
両手に携えていた黒剣を地面に突き刺す時に激しい音が鳴った。
「そこは聞いちゃいねぇんだよ。もっかいだけ聞いてやる。テメェらの下らない喧嘩で俺の意思を無視して好き勝手に俺を景品にした。『イェス』か『ノー』で答えろ」
「「「…」」」
無言、か。
周りの観客も、遅れて俺が当事者だと気づいたらしい。ブーイングは消え、ザワザワと何事か囁きあっている。
「無言ってことは肯定ってことでいいな?間違いはないな?」
「間違いはないが、問題もないはずだ」
「あん?どうしたシーちゃん」
声を上げたのは《雷光》。
「私達が賭けたのは、『レィア・シィルへ各派閥が手を出す権利』で、貴様そのものをどうにかするものではない。…だから、問題は無い。違うか?」
なるほど、それなら俺が口出しすることも出来ない訳だ。
「おい《不動荒野》、それで合ってるか?」
「ッ、うんうん!」「間違いないよ!」
この糞アマ共、こっちがそう聞いたから内容を微妙に変えやがったな?
ラウクムくんから聞いた話を無理のない程度にねじ曲げやがった。
…さて、ならば。
「わかった。それなら俺は文句は言わない」
すると、あからさまに機嫌を悪くしたのは《雷光》だ。
「しかし、貴様のせいで勝てた勝負を無駄にさせられた。この落とし前、どうしてくれるんだ!」
クソ、腹立つな。
「わかった。なら、お前の勝ちでいいよ」
「「えっ!」」「なっ!」
この一言は三名に衝撃を与えたらしい。何がおかしなことがあるか。
「《不動荒野》が《雷光》に負けたのは誰の目にも明らかだ。違うか?」
「ううん!」「まだ私たちは「やれたもん!」」
「本当に、か?なら、多数決を取ろうか」
ふっ、と後ろを向き、観客へと身体を向ける。
「お前ら!今さっきの試合、《雷光》が勝ったと思うヤツ、手ぇ挙げろ!」
最初、観客は戸惑っていたらしいが、おずおずと手を挙げ始める。
結果は《雷光》か勝ったと思うヤツが少し多い。まぁ、それも当然だろうな。《雷光》に賭けたヤツが多かったんだから。
「ほらな?」
「「っ」」
「そうか、では早速……」
《雷光》が勧誘でもしようとしたのだろうか。
しかし俺は、胸元から金剣を取り出し、《雷光》へと突きつける。
「んじゃ早速、決闘だ」
一発カマさせろ。
「内容は、『レィア・シィルへの勧誘の権利を賭けて』、だ。俺が負けたら、そっちに入るが、負けたら二度と勧誘すんな。わかったな?」
「なんだその決闘。私に受けるメリットがないではないか」
拒否しようとする《雷光》へ、俺は宣言する。
「もし、この決闘をしないなら、俺はテメェらがどんな手を使ってもそっちの派閥に入らねぇ。むしろ、《キャット・シー》に入ってやる」
これなら決闘の違反にはならない。あくまで『手を出す権利』つまりは俺が勝手に入る分には問題ないからな。
「今すぐやるが、問題はないな?『はい』か『イェス』で答えろ。俺は今……」
最ッ高に頭にキてるから。
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