266 / 2,022
本編
夕食と先輩
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嬉しくない予想だとか予感、予言ってのに限って大概当たるもんで。
んで、今日は授業すっぽかさせられて嬉しくない予言をいただいたわけで。
何が言いたいかってーと。
「やぁ、貴女がレィア・シィルさん?僕はウィルクライン。ウィルクライン・アウラング。気軽にウィルって呼んでね。そしてこちらが」
接しやすそうな優男。
淡く輝く金の髪に青い目。多分、聖女サマの男バージョンとかはこんな感じだと思う。
制服を見た感じ、三年生か。
それと。
「シオン・シラヌイだ。好きに呼べ」
突き放すような女。
光をすべて呑むような真っ黒の髪を長く伸ばし、後ろでまとめ上げ、キリッとした目鼻。見ただけでキツい印象を与える。
ちなみにこっちは二年生。
「…ごめんね?シオンはちょっとこういう所があるから」
俺の目の前にいる、対照的な男女が多分、《不動荒野》達の言う、狗のグループの人なんだろう。
「あー、うん。先輩方が何の用で?」
アーネが何やら寄り道してから来るとの話で、先に食堂へ行き、一人席をとっていたら、この二人組が非常に自然な動きで俺の正面に座った。てか、いつの間にか座ってた。
取り敢えず、位置的に飲み物のテーブルが近かったので、髪でコップを三つ取り、そのまま茶を入れて出してやる。まぁ、いつもの食堂のいつもの茶だが。
「えっと…貴女が今回、新しい二つ名を獲得した…んだよね?」
「あぁ、死ぬ程頑張って、殺す程剣ぶん回してたら、なんか貰えた」
やわらかな笑みをたたえながら話しかけるウィル。
「よかった。もしこれ以上間違えてたら、シオンに怒られていた所だよ」
「ウィル様。いくら何でも五人も間違えるのは最早確信犯かと」
ウィル、お前間違えすぎだろ。
「んで、改めて用件は?こっちはそろそろツレが来てもおかしくないんでな」
ピクリとシオンのコメカミが動いた気がしたが、気にしない気にしない。
「あぁ、実は貴女を……」
「俺を学校の派閥、そこの学校側の派閥へと引き込みたい。対抗派閥として自由にしてる《キャット・シー》とかって言う派閥があるけど、あそこはロクでもない。だからこっちへ来ない?今なら権力もついてくるよ!ただし、たまに学校のお手伝いもしてネ☆って話?」
限りなく巫山戯た感じで纏めてみた。
けど、ウィルは手を叩き、『うん、そうそう。いい感じに纏まってるね。わかりやすいよ』と褒めてきた。
怒ったのはこっちの方。
「貴様、巫山戯ているのか?」
「なぁに言ってるのよ、シーちゃん。本気も本気だよ。本気で巫山戯てる」
「し、シーちゃん!?」
「好きに呼べって言ってたのはアンタだろう?」
ガタン!と音を立てて立ち上がるシオン。
「ウィル様!コイツ絶対猫の方にもうついた後ですよ!派閥の話もそいつらから聞いて、猫についてからコッチを煽るためだけに……」
「いんやぁ?俺はまだどっちについた訳でもない。訳でもないが…どこぞの黒髪のキツめのシーちゃんに根も葉もないこと言われたら…向こう側につきたくなるかもなぁー」
「ッツ!」
「……ねぇ、レィアさん」
「あん?なんだウィル」
すっ、と笑みを消すウィル。
「貴女はどうしてそんなに敵を作るような事をわざわざしてるんだい?」
「なんだ、そんな事か」
理由はいくつもある。既になんとなくコイツらの中で『女』って扱いされてるんだろうって事、何処か見下した感がうっすら滲んでる事、あとは…そうだな。
「お前が《勇者》だから、かな」
端的に言ってやろうか。
気に食わねぇんだよ。
んで、今日は授業すっぽかさせられて嬉しくない予言をいただいたわけで。
何が言いたいかってーと。
「やぁ、貴女がレィア・シィルさん?僕はウィルクライン。ウィルクライン・アウラング。気軽にウィルって呼んでね。そしてこちらが」
接しやすそうな優男。
淡く輝く金の髪に青い目。多分、聖女サマの男バージョンとかはこんな感じだと思う。
制服を見た感じ、三年生か。
それと。
「シオン・シラヌイだ。好きに呼べ」
突き放すような女。
光をすべて呑むような真っ黒の髪を長く伸ばし、後ろでまとめ上げ、キリッとした目鼻。見ただけでキツい印象を与える。
ちなみにこっちは二年生。
「…ごめんね?シオンはちょっとこういう所があるから」
俺の目の前にいる、対照的な男女が多分、《不動荒野》達の言う、狗のグループの人なんだろう。
「あー、うん。先輩方が何の用で?」
アーネが何やら寄り道してから来るとの話で、先に食堂へ行き、一人席をとっていたら、この二人組が非常に自然な動きで俺の正面に座った。てか、いつの間にか座ってた。
取り敢えず、位置的に飲み物のテーブルが近かったので、髪でコップを三つ取り、そのまま茶を入れて出してやる。まぁ、いつもの食堂のいつもの茶だが。
「えっと…貴女が今回、新しい二つ名を獲得した…んだよね?」
「あぁ、死ぬ程頑張って、殺す程剣ぶん回してたら、なんか貰えた」
やわらかな笑みをたたえながら話しかけるウィル。
「よかった。もしこれ以上間違えてたら、シオンに怒られていた所だよ」
「ウィル様。いくら何でも五人も間違えるのは最早確信犯かと」
ウィル、お前間違えすぎだろ。
「んで、改めて用件は?こっちはそろそろツレが来てもおかしくないんでな」
ピクリとシオンのコメカミが動いた気がしたが、気にしない気にしない。
「あぁ、実は貴女を……」
「俺を学校の派閥、そこの学校側の派閥へと引き込みたい。対抗派閥として自由にしてる《キャット・シー》とかって言う派閥があるけど、あそこはロクでもない。だからこっちへ来ない?今なら権力もついてくるよ!ただし、たまに学校のお手伝いもしてネ☆って話?」
限りなく巫山戯た感じで纏めてみた。
けど、ウィルは手を叩き、『うん、そうそう。いい感じに纏まってるね。わかりやすいよ』と褒めてきた。
怒ったのはこっちの方。
「貴様、巫山戯ているのか?」
「なぁに言ってるのよ、シーちゃん。本気も本気だよ。本気で巫山戯てる」
「し、シーちゃん!?」
「好きに呼べって言ってたのはアンタだろう?」
ガタン!と音を立てて立ち上がるシオン。
「ウィル様!コイツ絶対猫の方にもうついた後ですよ!派閥の話もそいつらから聞いて、猫についてからコッチを煽るためだけに……」
「いんやぁ?俺はまだどっちについた訳でもない。訳でもないが…どこぞの黒髪のキツめのシーちゃんに根も葉もないこと言われたら…向こう側につきたくなるかもなぁー」
「ッツ!」
「……ねぇ、レィアさん」
「あん?なんだウィル」
すっ、と笑みを消すウィル。
「貴女はどうしてそんなに敵を作るような事をわざわざしてるんだい?」
「なんだ、そんな事か」
理由はいくつもある。既になんとなくコイツらの中で『女』って扱いされてるんだろうって事、何処か見下した感がうっすら滲んでる事、あとは…そうだな。
「お前が《勇者》だから、かな」
端的に言ってやろうか。
気に食わねぇんだよ。
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