大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

違和感と問題

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「まずは」「事件の概要の確認から。」
「アーネ・ケイナズがある日突然失踪。」「学校側は捜索隊も結成し、数日かけて探すも発見されなかった。」「しかし、《緋眼騎士》とその仲間、計四名が学校のスレイプニルを奪い、結界へと向かった。」「遅れて学校はその五人の生徒の救援、保護を目的とした部隊を結界の外へと送りこんだ。」「結果、部隊が見つけたのは魔族の死体が二つと、」「捜索を打ち切ったアーネ・ケイナズと」「《緋眼騎士》達の六名。」「それらを保護し、学校へと連れて帰った。」「そうして、この事件の主犯は魔族で、」「見事行方不明者も発見できた。」「メデタシメデタシ」「で、合ってるよね?「《緋眼騎士》さん」」
「…あー、うん、多分合ってると思う」
この二人、長文だとホント聞き取りにくいな。
もういっそ、ライナが喋ってくんないかな…。
…あれ?でも、俺達が馬を奪って行ったこととか、学校長が全力で隠蔽してたよな?どうやってコイツら知ったんだよ。
「さてさて」「ここで問題です」
「あん?」
「「なぜ、アーネ・ケイナズが狙われたのでしょう?」」
「なんで、って…そりゃあ」
言えなかった。
理由はわかってたけど、言えないだろ。
魔族がスキルを奪う事を目的とした魔法を使っていたとか。
「……触媒、そう、触媒だろ。たとえば、超強力な魔法を使って、結界をぶち破ろうとしたとか。それに誰か必要だったんだろ」
魔法を放つ時、その威力や精度、効果などを上げるために、触媒や贄を使うと、それらが飛躍的に上がるらしい。そういう事なら、説明がつくだろ。
けど、俺の答えは納得させることが出来なかったらしい。
「うーん、」「違うねぇ?」
「それは多分、大ハズレだねぇ」
「え、なんでだ?」
「だから、どうしてピンポイントで彼女を狙って攫ったのか、って事とかあ。適当に攫うなら、事務員さんとかでもいいしねえ」
流石に答えは出せなかった。
「つまり、学校の情報が」「確実に漏れてる。」「何処から?」「誰から?」「恐らく、」「学校の内部」「それも、「かなりの力を持った人から」」
「しかも、アーネちゃんは生きてたあ。これの意味、わかるう?」
「生きてた?別にいいじゃねぇか。なんだ?死んでた方が良かったか?」
青筋がビキビキと額に浮かぶ。
「ああ違う違う!落ち着いてえ!そうじゃなくて、生きて結界を抜けるには、?」
そういや、そうだ。
俺は聖女サマから貰ってたし、それを予測できなかった先生は当然護符を馬車の荷物に積んでいた。だが、アーネは?あいつが持って出る訳がない。
しかも、とライナは話を続ける。
?そんなの、よっぽど学校の中枢に近い人じゃないと用意できないよお?」
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