大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

連戦と決着

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こいつが原因?にしても出てくるタイミングが早すぎる。
俺は、ライナと名乗った彼女をめつける。
彼女は既にチケットを司会者に渡した後で、フィールドの中で準備運動を始めている。
「どうしたのお?不思議?」
屈伸しながらライナが聞いてくる。
「何、単純な話さあ。私の所にも警告が飛んできただけだよお」
「警告?」
「そお。ナーバーヤがやった手抜き同様、私の作戦が先生についにバレたんだよお。『首謀者はお前か?ナメた真似をするな』、って内容さあ」
あの黒い人、先生だったのか。見た事なかったから生徒かと思ってた。
そう言えば、学校長も先生を常につけるって言ってたしな。
「そういう訳で、そろそろ潮時ってわけえ。まぁ、キミのスタミナどころか身体も削れたし、結果も上々。調査した所、キミは魔法を使えないんだろう?金色の剣はちょっと情報にはなかったけど、何とかなりそうだしい」
「………」
既に色々調べた後か。
ライナが喋っている間に、俺は負傷した足をどうにかする。
さっきの鱗でやられた箇所は、両足、あとは腰か。
少し前に新調した防具のお陰で、上半身はほとんど軽傷。しかし、逆に防具がなかった下半身はズタボロか。
髪を足に纏い、膝から先に銀の脚を形成する。
これで走れるようにはなった。ただ、代わりに大剣の先輩の時の様に、髪を使って縛り上げたりだとかは出来なくなった。単純に髪の毛が足りない。…そうだな。銀盾を持ったら精一杯って感じか。
それに、慣れていないから本当に『脚』としてしか使えない。
「スキルは…たしか《超器用》って言ってたっけえ?身体を自分の思うままに、ありえない動きだろうと動かす、正直パッとしないスキル」
自分の肩を抱き寄せるようにして、入念に準備運動をしていくライナ。
それは余裕とも取れた。
「さて、そっちの準備はイイ?」
「まだだ。あと一日待ってくれ」
「何それえ。終わっちゃうじゃんかあ。却下」
見た感じ、武器は手にしていないという事は、魔法でも使うのか?
「魔法使いかってえ?うーん、半分正解かなあ?」
彼女がそう言うと同時に、どこか眠たげだった印象は吹き飛ぶ。
「『振り払え。この身を駆ける祈りを』」
どこかで聞いたことのあるような詠唱。
俺が思い出す前に、その魔法は発動した。
「《イーヴィル・ハンド》」
ミチミチ、ブチッ。
音にするとそんな音。
おぞましい音を立てながら、彼女の腕が変貌していく。
日に一切あたったことの無かったような白く細かった手は一気に節くれだち、黒く染まりながら隆起し、黒い煙を吹き上げる。
その変化はそこで留まらず、手先から伸びていき、手首、肘も犯してなお止まらず、肩口まで染まったところで止まった。
「ふう」
ライナが一息つき、トーン、トンと軽くジャンプし。
視界から残像すら残さずに掻き消える。
「いい調子」
その声は後ろから。
一体どうやって?魔法か?それともその手の能力か?
そんな考えが頭をよぎっている間に、ライナの腕が振り下ろされる。
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