大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

三日目と開始

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ラウクムくん曰く、先輩達の連戦の始まりは午後訓練の直後。まぁ、確かにその瞬間が一番体力が減っているだろうしな。
学校へ行く途中、昨日通りのやかましい放送が鳴る。内容を要約すると、『昨日の挑戦者は零人、お前らチキってんのか!あと二十四時間!期待してるからな!』って話。…放送禁止用語を放送で垂れ流して、本当に大丈夫ナノだろうか?そして、一体全体何を期待してるのやら。ちなみに放送を流してたのは昨日の人と同じっぽい。
で、午前中はやはり誰も挑戦せず、午後の訓練でも、やはり挑戦者はいなかった。
訓練中はみんなが俺に負担をかけないようにしながら戦ってくれたが、そのせいでみんなはかなり体力を消耗しており、途中、何度も危険な場面があった。
「それじゃ、今日の訓練は終わりですね。一班が若干危うかったようですが、怪我も無いようですし」
「《姫騎士》の人はいますか!?」
先生が訓練を終わらせようとした所で、このクラスの生徒ではない男子生徒が声を張り上げて訓練所の入口にいつの間にか立っていた。
「今から勝負を申し込みます!」
「シィルさん、拒否は基本的に出来ないので、受けてください」
有無を言わせないクードラル先生の指示。
「はいはい、リョーカイリョーカイ」
適当に手招きし、チョイチョイと先輩っぽい男子生徒を呼び込む。
「今行きます!」
入口から離れ、男子生徒がこちらへ向かい…後ろからゾロゾロと他の生徒が列を為してやって来る。
その光景を、クードラル先生が目を見開いて見ているのが視界の端に写った。
ふーむ、ザッと見た感じ、二十人前後か?となると、旧一年クラスのまだ負けてないメンバーほぼ全員って所か。
「では」
「あー、ちょっと待ってくれねぇ?」
さっきの先輩が俺にチケットを投げようとして、俺が止めた。
「面倒くせェ。三人…いや、四人同時にかかってきてくれ。人数は…多少端数が出るが、問題無いだろう?」
「そ、それは構わないが…」
「んじゃ、頼む」
実はこれ、ラウクムくんに少し相談していた事だった。
一人一人に時間をかけるのは俺に不利。なら、一人当たりの時間を最小限にしてしまうために、強力な一撃で…例えばそう、煌覇こうはとかで蹴散らしてしまえば、かなり効率がいいのではないか、という事。
残念ながら、煌覇こうはは一度、鍵戦争の時に、全校生徒の前でブッぱなしてしまったので、対策をされている事を考えなければいけないが…ラウクムくんの見立てだと、旧一年クラスなら、これでなんとかなると言う考えらしい。
「それじゃ、改めて」
紳士淑女諸君!レッディース&ジェントルメーン!
くそ、タイミングをもろにズラされた。コケるかと思ったぞ。
そちらの方を見ると、何時ぞやの鍵戦争の時に見た、変な帽子の司会者が。
「話は聞かせてもらった!私も朝の放送は少しだけ、ほんの少しだけ謝らせて貰おう!それでは鍵戦争に引き続き、二つ名戦争、狙う椅子はただ一つ!《姫騎士》は守り切れるのかッ!司会はいつも通りこの私、アイクスナール・キュリーが努めさせてもらうよ!」
それでは…と一旦区切り。
勝負開始!Ready Go!
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