大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

ルールと名前

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さて、そこからの話は少しかいつまんで話すとするか。
まず、俺の話はこれで終わったが、アーネの話。
まぁ、学校長がアーネに話した事は、単に謝罪だけどな。
なんでも、俺がすぐに行動を起こしたため、学校側が正式に生徒に《アーネ・ケイナズの捜索打ち切り》を伝える前にこの件でなんやかんやで有耶無耶になった、しかし、それでもその判断は誤りだった、本当にすまない、といった内容を馬鹿らしくなるほど丁寧かつ、言葉の原型がわからなくなるほど装飾を施した言葉で十分近く謝罪し続けていた。
アーネは若干恐縮しながら謝罪を受け入れていたが…まぁ俺は許す気はない。
で、ここからが問題。
学校長がやった行動が、な…。
俺達が扉のない学長室を出て、一分程した頃か。
《キンコンカンコーン》
「ん?校内放送?」
「ですわね。珍しい」
《皆さん、おはようございます。一年生は南下遠征、お疲れ様でした。今日は重要なお知らせがあります》
んげ、学校長の声…なんか嫌な予感しかしねぇんだけど…。
《新しい二つ名候補が決定しました。一年生新クラスのレィア・シィルさんです》
「うっわ…ここまですんのかよ…」
まぁ、確かに二つ名ってのはみんなに知ってもらいつつ、周りから呼ばれるようになるのがベストだしな。
《期間は今現在、七時五十五分から三日後までです。その間は、良識の範囲内で自由にシィルさんへ勝負を仕掛けても構いませんが、挑戦権は一人一回のみとします》
へー、そうなんだ。
実は学校長、あの場ではルールはほぼ一切喋っていなかったりする。
だから、俺が知ってるのは、三日間勝ち続ければ二つ名ゲット、二つ名は後から一回だけ変更可能、って事ぐらいしか知らねぇ。
あと、二つ名候補が負けると、勝者が二つ名候補になるって事か。
《それでは、この三日間、頑張ってシィルさんの二つ名、《姫騎士》を取り合ってください。以上で放送を終わります》
キンコンカンコーン、という放送の終わりを知らせるチャイムが、虚しく響く。
しかもご丁寧に、放送の直後にどうやってか知らないが、俺の妙に上手い似顔絵が飛んでくる。恐らく、全校生徒の手元に飛んで行っているのだろう。
「あ、あんのアマぁ…!わざとだろ!絶対あれわざとだろ!」
手元の紙をくしゃりと握りつぶし、アーネしかいないのに思わず叫ぶ俺。
学校長曰く、『姫を守る騎士』だから《姫騎士》らしいが、あの放送を聞いただけだと、『姫騎士』として理解されるだろ…!
「あら、理由はわかってますでしょう?」
「あん?」
「扉を壊された意趣返し、でしょうね」
くそ、なんか負けた気分…!
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